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4 つまらないと申されましても

「つまらん女だな」


アガヤ第二王子はよっぽど私を怒らせたいらしい。

何を思ったのか、アガヤ第二王子が再びオーザッカ侯爵邸に来られお茶会をする事になった。

もしかして、態度を改めニーハの事を真剣に考えているのかと思ったが違った。

アガヤ第二王子は挨拶もまともに行わず、座るや否や脚を組み腕も組み顔はそっぽ向いている。


この方は何しに来たのだろうか。

対面に座るニーハと向き合うつもりはないようなのでニーハは今回もただただ、お茶を飲むだけにした。

そして発せられたのが先程の言葉である。


「あら、私と話したかったのですか?他所を向かれていたので話したくないのかと思いましたわ。お話をしたいのですね?」


「だ、誰がお前なんかと・・・」


「そうですよね、それでは・・・」


ニーハはアガヤ第二王子の言質をとり、再び喋る事をやめお茶を飲む。

アガヤ第二王子は文句を言いたいが、自身が話したくないと言ってしまったため何も言えない。

徐々にアガヤ第二王子の苛立ちが積み重なり「くっ、つまらん!帰るぞ!」と叫びアガヤ第二王子は帰られる。

そのようなお茶会が数回行われるとアガヤ第二王子がオーザッカ侯爵邸に来られる事はなくなった。

それとは逆にニーハが王宮に通う日が増えつつあった。

王家の教育を受けるためである。

前世でも勉強をすることは嫌いではなかったため、タダで高度な教育を受けさせて貰えるなんて、これだけはアガヤ第二王子に感謝している。


「オイ!」


この声はアガヤ第二王子だ。

王家の教育を終え王宮から帰路へと向かうなか、アガヤ第二王子が私の事を見掛けたのだろうけど、私の名前は『オイ』ではないのでそのまま帰る事にした。


「オーザッカ侯爵令嬢!貴様を呼んでいるのだ!」


「アガヤ殿下でしたか、どうされましたか?」


「惚けおって・・・何故帰る?」


「はい?」


「貴様は王宮に来たのに俺と顔を会わせようとも思わないのだな。本当につつまらない女だな」


「何故、顔を会わせなければならないのです?対面しても他所を向かれ、発せられる言葉は『つまらない女』です。顔を合わせても文句しか言われませんのに何故お会いに伺わなければ行かないのです?」


「なっ!」


「それでは」


「ま、待て!」


「まだ、何か?」


「俺の事が嫌いなのか?」


「・・・そのような問いをされても困ります。意に沿わない返答を致しましたら、また『不敬だ』と叫ばれるのでしょうからお答え出来ませんわ」


「どのような事を言われても不敬とは言わんし裁くこともしない」


どうやら返答しないと帰してくれそうもない。不敬で裁かないと言質も頂いたことなのでニーハは正直に話すことにした。


「嫌いでございます。何処に初対面で『悪役令嬢』と罵られ好む者がおられましょうか?その後も謝ることもせず、顔合わせる度に不満そうな顔をされる方をどうして好むと思われるのか解りません」


「そ・・・」


「それでは」


今度こそ踵を返し王宮を後にする。

後ろでアガヤ第二王子が片手を上げてニーハを呼び止めようとしていたとしてもニーハは見えていない。


「オーザッカ侯爵のニーハ様ですか?」


ニーハに話し掛けて来たのはアガヤ第二王子から毒気を全て抜き取ったような可愛らしい男の子であった。


「挨拶が遅れましてすみません。兄がお世話になっております。ユージュック・ドーギヨンと申します」


目の前にいるのは第三王子のユージュック殿下であった。


「失礼致しました。オーザッカ侯爵の娘ニーハ・オーザッカでございます」


「ニーハ様は兄上と婚契約を結ばれたとお伺いしましたが、どうしてなのですか?」


「そうですね。私も貴族の娘として政略的な婚姻も覚悟はしております。ですが、そのような婚姻にも歩み寄りや互いの尊重と言ったものが必要かと思うのです。誠に申し訳御座いませんが、アガヤ殿下には私とそのような絆を結ぼうとする考えが無いように思えてならないのです。ですので、契約と言う形でアガヤ殿下のお考えが変わるのをお待ちしております」


「そうなのですか、ですが兄上は変わらないと思いますよ」


「そうですね、私もそう思います。本当に残念ですわ、婚約の話がユージュック殿下であったならば素晴らしかったですのに」


「えっ!」


「ふふふ。ユージュック殿下は尊重し会える相手と婚約を結ばれて下さい」


「は、はい」


同じ王家の者でもこうも違うのか。

ニーハは可愛いユージュック殿下を目に焼き付けオーザッカ侯爵邸へと帰った。

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