【第六章】†ep.2 割られた魔鏡†
例により校正チェックしてませんが。すみません。
レティシアは宙でため息を吐いて下を見下ろしていた。
眼下の海の水面は穏やかな波が揺れ、嵐の脅威はなくなったことを告げている――。
船の光の防壁を解いたレティシアは、船へと戻った。
「――すっげぇー……」
唖然としていたミグが一言言った。
「あはは、だってさっさと片付けないといけないだろう? とにかく、やっともう一つ魔境が手に入って、あとは二つだ。――雷鳴のセルローズともう一人を倒すだけ……」
レティシアの言葉に船の下に避難していた筈のロッドが入り口で唖然としている。
「た、ただのお姫様かと思ってたら、すげー魔力じゃねぇか…。あの嵐、もうすっかり落ち着いちまってるし……こりゃいいや、がっはっはっはっ」
次第に状況を理解したロッドは大笑いしてレティシアのもとへやって来た。
ぎこちない笑みを浮かべながら、レティシアはロッドにばしばしと背中を叩かれていた。
「いやぁ、あの嵐の原因がやはりあの女だったとは。しかも倒しただなんて海の男を代表して礼を言おうっ。噂には聞いていたが本当にいると思わなかったし、実際死も覚悟して航海に出たんだが、これなら一安心だ。おいラテ、酒持ってこい酒っ」
そう言ってロッドは酒を持ってこさせて何やら船員達と朝っぱらから酒を飲み始めた。
しかしこの男――すっかりごきげんである。
「よーしっ心配もなくなったし、飲もう~」
あれ? ルクチェ??
何だかよくわからないけどミュイエもルクチェも船員達も飲んでいる。
「――俺も行って来ようっと」
ミグが行こうとしたが、リュシファーが止めた。
「……未成年はダーメ。おまけにお前も酒弱いんじゃないのか?」
「え? 飲んだことない」
そう言ってミグはリュシファーの言った一言に気付いた様子でレティシアを指差してリュシファーを見た。
リュシファーは頷いて言った。
「ダムルニクス王国で誤ってジュースだと思って酒一口だけでコイツは酔っていた」
「……お、覚えていないが……大変だったらしい」
「え、そなの……? まぁまぁ、せっかくだしどうせあと二日はセルク島着かないだろうし今日位いいじゃない」
何やら盛り上がっている様子のルクチェたちの様子をちらっと見て、リュシファーはため息を吐いて微笑んだ。
「仕方ないな……ちょっとだけだぞ、介抱するのは俺の役目なんだからな」
そう言って三人も皆の輪の中に入って行ったのであった。
――……
「――で、結局こうなるわけか……」
リュシファーは酔っ払って騒ぐだけ騒いだミグを担いで、ミグの部屋へと連れて行って戻って来た。
レティシアはほよほよと浮いている様な気分でリュシファーに言った。
「やーん戻ってきたぁ。一緒にいてくれなきゃいやあ~」
「はぁ……壊れすぎだ。お前も……」
そう言ってリュシファーははっとした。
レティシアの目には涙がうるうると浮かんでいる。
ま、マズイ……っ。
「ひどぉ~い、リュシファーがおこったあ……わたしは……うれしかっただけなのにぃ……ぐすっ……」
くすんくすんと女の子らしく泣き始めるレティシアに怒っていないと弁解して微笑みながらも、コップに一口しか相変わらず口をつけていないことに呆れていた。
「わ、悪かった悪かった。お、お前もそろそろ少し横になった方がいい。さぁ行こうな」
とそう言うと、レティシアを抱っこして連れて行こうとした時だった。
「あはは~、ティアラちゃんかーわいい~あんなんで酔っ払っちゃうなんて、ふふっ」
ルクチェが嬉しそうにそう言った。しかもルクチェは半端ない量を飲んでいるというのに全然潰れる様子もない。――酒豪だな……とリュシファーはルクチェにも呆れてそう思った。
微笑んでレティシアを連れて部屋に戻ると、リュシファーはレティシアをベッドの上に降ろして座らせて言った。
「――お前は酒を飲んだ時だけは素直で可愛らしいな……」
「?」
レティシアはよく意味がわかっていないらしく、きょとんとしている。
ふっと微笑んでリュシファーはレティシアの頭を撫でた。
「――わからなくていいんだ」
そうしている内に子供のようにレティシアははたっ、とベッドに倒れこんだ。
寝ている――。
無防備な表情で眠るレティシアをちゃんと布団の中に寝かせると、その寝顔に向けてふっと微笑んでリュシファーは部屋を後にした。
時刻は夕焼けになる頃になっても皆は宴に騒いでいた。
ルクチェも大分酔っ払っていて、ロッドと肩を組みながら「飲めー海の男はもっと飲め~」とか言っている。周りの船員たちも浮かれて騒いでいる。
ミュイエはそれほど飲んではいないらしかったが、ルクチェを上手く介抱するために待機しているらしい。
リュシファーは一人船の先端に座り煙草を吸っていた。
「――平和だな……」
夕焼けの橙色に燃える空が映る海の水面。舵を適当にちゃんと時々ロッドは取りながらも酔っ払っているところはさすが海の男だ。
近づく足音にリュシファーは振り向いた。
――マズイ……。
そう思った。
「こらぁっそこのすかした男ーーっ、何で一人で黄昏ちゃって。酒飲めーっっ」
……やっぱり。レティより厄介だ、ルクチェは。
「いや、俺はもうかなり飲んだから酔い覚ましだ。はは、大分酔っているなぁルクチェ」
「何ぃ? 酔い覚ましなんてする必要なんてどこにあるのよー」
無気になって酒の入ったコップを手渡して来たルクチェの睨みつける様な表情。
それは、従っておいた方が良いと告げている。
やれやれと思い一気に飲み干すと、冷めた目でコップを渡した。
「満足したか。もういい加減そのくらいにしとけよ…」
そう言ったリュシファーにルクチェはふぅとため息を吐いて座り込むと、なおも絡んで言った。
「はぁ~、それよりねぇ、ティアラちゃんとどこまでいってるの?」
「……は?」
「だから、どこまでとかあるでしょうがぁ、チューとかあーんなことやこーんなこととか」
リュシファーはどこの酔っ払いのおっさんかと思いながらため息を吐いた。
「――想像に任せる」
ルクチェはそう言ったリュシファーに不服そうにしていたが、ミュイエがやって来てルクチェを連れてそろそろ部屋へと連れ戻して行ってくれた。
やれやれ、やっと宴も終わったかと甲板の上を見ると酒の瓶は転がっているわ、船員は床で寝る者もいるわでとんでもないありさまだった。
リュシファーは仕方なく後を片していると、ミュイエが戻って来てそれを手伝った。
「やっとうるさいのが消えたな……はは」
とそう言うと、ミュイエとふふっと微笑んだ。
レティシアが目を覚ました時には、リュシファーは隣に寝ていた。
どうやら夜らしい――。
部屋が暗くて怖くなりリュシファーの服を掴んだ。
「……ん? なんだ……目、覚ましたのか……」
「暗い……」
「あぁ、少し明かりつけないと眠れないんだっけ…子供じゃあるまいし」
「こ、子供ではないっいいから点けてくれっ」
「――嫌だと言ったら?」
「む……意地悪」
ため息を吐いてレティシアはベッドから起き上がってパチッと全点灯にした。
密かな仕返しだった。
レティシアはにっこり微笑んで、トイレ行って来ると部屋を出た。
リュシファーはがばっと起き上がって、頭をくしゃくしゃと掻いて呟いた。
「あの馬鹿姫……っ、わざとだな……。はぁ、酒でも飲ませりゃ素直で可愛いんだがな……」
レティシアがトイレから戻ると、リュシファーは電気を点けたまま眠っている様だった。
「何だ、寝たのか。つまんないの」
そう言って明かりを一個だけ灯して薄暗くすると、自分も布団に入る。
レティシアは目を閉じて少したったが、なかなか寝付けずにため息を吐いた時だった。
「――レティ、お前はたいしたヤツだ。単なる一国の王女にしておくのは勿体無いくらい強い精神力だと思う。もちろん、魔力もそうだがな……」
リュシファーが起きていた様子でそう背を向けたままで言った。
「――な、何だ……急に……?」
リュシファーはゆっくりとレティシアの方を向き直り、顔をじっくりよく見る様に優しく微笑んで見つめていた。
「でも――お前は王女だ。俺とこうしていられるのもあとどのくらいだろうと、ふと思った……」
「え……何を……言って……」
レティシアは困惑した。
穏やかな顔をして、何か聞きたくない言葉を紡ぐ気がした。
「――大人扱いしてもいいんだが、やめておこうと思ってな……」
「……?」
よくわからない事を言われ、さらにレティシアは困惑の表情を浮かべながらリュシファーが重ねてきた唇を黙って合わせた。その後ふっと微笑むとリュシファーはレティシアを抱きすくめ、子供を寝かしつける様に背中を優しく叩く。
レティシアはその静かな沈黙の中、さっきの言葉を思い返していた。
しかし、考えても考えても何か哀しいことでも言われた気がして、しくしくと胸が痛む。
でも聞いてはいけない気がして聞けず、そして自分でもよくわからないというのに、目には浮かんで来る涙――。レティシアはそれを気付かれないように、何故か必死に我慢していた。
そうしている内にレティシアは、ゆっくりと眠りへと堕ちていく――。
そして、夜は二度更けた――。
「――おっ、見えて来たぞー! あれがセルク島だ!!」
ロッドはそう手を額の前にかざして大きな声で言った。
入道雲が浮かぶ目の前の遠くの方向に見える島。
そこに見える紫色の靄――。セルク島のその雰囲気は妖しく包まれていた。
レティシアは真っ直ぐにそれを眉をしかめながら見つめていたが、ミグははしゃいで喜んでいる。おそらくミグには見えていない――そう思った。
ルクチェに視線を配る。。
「ルクチェ、靄見えるか? 紫色の」
「紫色の靄……? いや……見えてないわ?」
「――じゃあ、誰にも見えていないということか……」
レティシアはため息を吐いた。
近づいて来て見える中央の森を取り囲む四つの塔――。
恐らくアレが“魔鏡の塔”――。
塔は黒く、遥か高くまでそびえ立っている。
レティシアはその場にしゃがみ込んで、リュシファーから昨日返してもらった剣を取り出した。
「!?」
皆が慌ててレティシアを囲う。
「リュシファー……魔鏡一個持っているだろう? それを出してくれ」
レティシアはリュシファーの方を見ずに冷淡に言った。
言われた通りにリュシファーが手渡した魔鏡――。
それと自分の持つ魔鏡を二つ並べて床に置き、レティシアは目の前で剣の鞘を抜いた。
真横にぎらりと光る刃が太陽に照らされてちらつく中、レティシアは刃に少し触れて引いた。「なっ……!? 何を――」
少し流れ落ちる血は二つの鏡にぽとっと滴り落ちたのを確認すると、次にレティシアは剣を持ち替えて両手で思い切りひとつの魔鏡に向けて突き刺した。
ピシッという音を立ててひび割れた魔鏡。
それは次第に紫色の光をぼんやりと放ち、ボロボロと崩れ白い灰へと姿を変えていった。
そして顔を上げて見た前方の森にそびえ立つ塔は、一本スッと消滅していく。
跡形もなく塔が一本消えたので、レティシアは同じ様にもうひとつの魔鏡も灰へと葬り去る。
唖然として見ていた皆の内、リュシファーが口を開く。
「――お、おい……まとめて壊すって言ってなかったか? 大魔神にこっちの動きを知られるとかなんとか前に言ってただろう」
そう言ったリュシファーの言葉にレティシアはリュシファーを鋭く見上げて言った。
「――もう逃げも隠れもせぬという宣戦布告だ……」
リュシファーはその真意がわかったであろうか。
私は自分なりに考えてリュシファーが言いたかったことを想像していた。
そして聞きはしないが多分わかった。
リュシファーは途中までしか言わなかったのだと思う。
多分、聞きたくもないそのことをいつか言われる日が来るんじゃないかと思うと、レティシアはリュシファーとあまり会話をしないようになっていた。
何だか怖くて――苛々としていた。
昨晩のこと――。態度がおかしいとリュシファーに言われた。
“お前がどういうつもりかは知らないが、私は今やるべきことをやる――そう決めた。
だから、今はそれだけを考えたい。後のことは後に考えればいい――。
私の力はそのためにある――。……別に強いわけでもなんでもない。“
それだけ言い残し、レティシアはミグの部屋に行き、ミグのベッドに入り込んで寝たのだった。
きっと睨みつける様な視線を送り、ぷいっと船の後ろに歩いていった。
そんなレティシアとリュシファーの様子には、勿論誰もがおかしいと気付いていた。
「……なんだ、まだお前ら喧嘩でもしてんの?」
「――……いや……まぁ……そうだな」
リュシファーはそう言うと、少し切なそうな表情を浮かべてレティシアを見ていたという。
セレス大陸――小さなその島にも人は住んでいたらしい。
しかし、今現在、人々は忽然と姿を消しどこにも一人も見当たらない。
あるのは大きな森と、草原、荒地――。
レティシアにだけ見えている紫色の靄が、頭上は遠く空に覆っているだけである。
「いやぁ~無人島ってヤツかなぁ~何もない……」
確かに……塔が見えてなければそうだろうな……。
「天気だけはいいんだからバカンスにでも来たみたいね」
どこが……天気が良いのだ。紫色の靄に覆われて薄暗いというのに…。
レティシアはミグとルクチェのその発言にツッコミを入れながらため息を吐いた。
「じゃ、俺はまた帰ってていいんだな?」
「あぁ、大丈夫だ。もう嵐もないからきっと安全だ。世話になったな……シーシェルの父上」
レティシアは言った。
しかし、ロッドに突然腕を引かれて少し離れた所に連れて行かれ、レティシアは困惑の表情を浮かべていると、ロッドはレティシアにこっそりと言った。
「! なっ――」
「がっはっはっはっはっ。まぁその時が来たら声かけてくれ~じゃまたなぁ」
レティシアは顔を真っ赤にして慌てて否定、困惑、怒り、全ての言葉を混ぜてよくわからない言葉をロッドに投げかけようとしていたというのに、ロッドはそそくさと逃げる様に大笑いをして船に乗り、ゆっくりと去って行った。
な……なんという身のこなし、素早い。
と変な感心もしながらレティシアは困った様にため息を吐いて、皆の元へと戻って行った。
リュシファーをちらっと見ると、少し照れた様に視線を上に向けた。
『結婚式とかやるなら呼んでくれよ』
とロッドは言ったのをリュシファーは絶対に聞いていた――とそう思い、レティシアはため息を吐いた。
その時だった――。
「――あっはははははっ」
という高々に笑う、女の笑い声――。
紛れもなくそれは雷鳴のセルローズの声だった――。
ばっと見上げた先には、ふふふ……と微笑を浮かべる見た事のない金と銀が混ざった様な短い髪をした女がセルローズと背中合わせに腕組みをして宙に立っていた。
「なっ! 二人……!?」
リュシファーが言った一言に、セルローズは言った。
「――お前、死んでなかったのか……なかなかの腕か……。まぁどちらにしても私の相手が出来るのかしら?」
「……かしら? ふふっ」
その金と銀の髪が混ざった様な髪の短い女は、なんだか言うのが面倒なのかセルローズの語尾だけを言ったので、レティシアは怪訝そうに誰なのか尋ねた。
「……私? ……私は、風のエアローズ……ふふふ」
・・・・・・・・・・・・。
何だか緊迫した空気だというのにエアローズの言葉に、何か違和感を感じずにはいられない。
今まで雷鳴のセルローズ、炎殺のメルローズ、水魔のブルガローズ…皆、何かしら決め台詞があった筈だ。いや、本来ならばこれだけ言えば十分であったが、やはり何か物足りない気がした。
困惑した表情を浮かべていると、セルローズでさえため息を吐いてエアローズに言っている。
「――あっあんなに私が一緒に考えてあげただろうッ、それを言うんだ。早く――」
「……え……でも……」
「でもじゃないっ。かっこがつかないだろうがッッ」
・・・・・・・・・・・・。
何だこの二人、何だか揉めている様子だ。
しかし、ようやく上手く解決したらしく、セルローズが口を開いた。
「――か、代わりに教えてやる……待たせたな。この者は大魔神ザロクサス様の配下、殺戮の四天王――風に知るは風に泣く、双龍の竜巻は死の旋律…疾風のエアローズとはコイツのことだ。あ~人の決め台詞を何故私が……だるい……」
「ふふふ、……そう……それ」
エアローズは妙に冷淡にそう言っているが、自分が発する言葉自体が少ない。というより、セルローズでさえ絡みずらそうだ。
風……といえば、風の大精霊セイレシルは声を聞いたことはないが、風属性の者とは皆こういう者なのであろうかとふと思い、レティシアはやれやれと呆れてため息を吐いた。
「――それより、お前こんなところまで何をしに来た? それに、メルローズもブルガローズも殺って魔鏡を壊したたのはお前か……?」
セルローズは相変わらず偉そうに微笑んで言った。
見下ろされているのが気に食わず、レティシアは上昇して二人よりも少し高い位置に来ると、腕を組んで言った。
「――だと言ったらどうする」
「く、生意気な小娘め……」
セルローズはさらにレティシアより少し高い位置に上昇して口を開いた。
「――その罪、万死に値するが、ひとりではまた負けると思ってな。あまり相性は良くないが、こいつを連れて来た」
「ふふふ、連れて……来られた……」
…だ、だから…っ。
あぁ、もう、この者が喋ると少し間が抜ける……。
ため息を吐いてレティシアは風――。雷――と考えていた。
風は炎に弱い。そして雷に強い。一方、雷は風に弱い。そして炎に強い。
同属性の魔法を放てば無論それは効果がないどころか、強めることとなるだろう。
仮に、炎をエアローズに向けて放ち、それをセルローズがかばえば、効果はない。
そして風をセルローズに向けて放ち、ウィローズがかばえば、これも効果はない。
「――なるほど? で、二人同時にとは少し卑怯だとは思わないのか?」
レティシアは余裕な表情を浮かべて言っていた。
「魔族に卑怯も何もあるまい? 私はお前の怖れ慄く様を見れればそれで良い」
そこまでセルローズが言った時だった。
「――レティ……!」
リュシファーが宙に上昇して来た。
「リュシファー、来なくていいぞ。別にどうってことない。黙って見ていろ」
レティシアは冷淡に言った。
しかし、それに怒り狂ったセルローズがエアローズに声をかけ、二人同時に手をレティシアにかざしてきた。そこから繰り出される激しい突風の渦の中心に真っ直ぐ向かう雷光と激しい稲妻――。
リュシファーがはっとしてレティシアの前に向かおうとする所を、レティシアは瞬時にリュシファーの頭上に白い魔法陣を発生させると、ふっと穏やかに微笑んだ。
スッと消えるリュシファーの姿。
「!!」
ミグが下から見上げたレティシアのその口元に浮かぶ笑み。
……!? あ、アイツ……。
一体何を考えている……!?
避けないと死ぬぞ、あんな凄い魔法……!
その心配も虚しく、両手を左右に広げたレティシアは二つの雷風の渦に飲まれている。
「レ、レティーーーーーーーッッ!!」
ミグはそう空中に向けて、叫んでいた――。
――……
つづく。
どうも。りんごです。
二人同時とは本当なんて事でしょう。エアローズ…なんとも言えないある意味かわいい不思議キャラ。しかし、何やらリュシファーとレティシア…ギクシャクしている様子ですが大丈夫なのでしょうか…。
その前に最後は一体大丈夫なのでしょうか…という不安も感じつつ、次の話へ進みます。
ではでは、りんごでした。