表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/45

【第六章】それでも私は†ep.0 少年†

うーん。エピソード0…あまり今回必要ないけどかいたきがしますw

校正出来てないので間違いあったらすみません。

 私は夢を見ていた――。

 ラクロエが私に感謝している夢だった。

 その姿はよくわからなかった。

 口元が微笑んでいたことだけは覚えている。

 それと、最後に聞いた――ずっと一緒だね――という言葉。

夢ではなくラクロエの言葉だったのかと思いながら、まだ薄暗いこの町並みをひとり上から見下ろすその場所は、勿論時計塔の屋根の上だった。

「――ラクロエ…かぁ……」

 そう呟いてレティシアは再度眠れない気晴らしのために来たこの時計塔で、ため息を吐いた。

 エンブレミア王国からサユラナの港街、クレトスの港町、カザフールの村、ミールティアの街、ダムルニクス王国、エルフの街エルフィード、ドーラの港町、ザルークス国…他にも様々な場所に足を運んで来たが、何故かミールティアの街は落ち着く。

 精霊達の魂のかけらが神殿に集まっているからなのか、そういえばここに来た時にも何だかすごく嬉しいようなわくわくしていたのを思い出す――。


 ラクロエは私、私はラクロエ――。


 ――でも、私と直接会話することはなかった。


 私が裏にいる時、ラクロエは私が裏に存在していることを知っていたから『ごめん』と思考したけれど、私の返事は聞こえていない、近く遠い存在……。

 それに――。


『――えっ…ちょ、ちょっとっ。だっ駄目――――ッ!』


と私が叫んでいたなどとは、誰にも言えない――。


 レティシアは少し顔を紅潮させながらばたばたと手足を暴れさせた。

 少ししてその動きをぴたっと止めて、ため息を吐いた。


 ――ラクロエに嫉妬してどうするんだ…。

 そんなにアイツのこと好きなのか……私は。

 なんだか悔しいと――思う。

 それでも、その通りなのかもしれないと口元を軽く緩ませた時だった。


「――何ひとりでじたばたしたりにやけたりしてるんだ?」


「!!!」

 ばっと見た宙には、ミグの姿があった。

 ミグは呆れた様な表情をしている。

「――わっ! なっなんでもないッ…。し、下にいたなら言えっ」

「…お前が上にいるとは知らなかったんだよ。――起きちゃってさぁ、ちょっと気晴らしにと思って時計塔にいたら、どたどたと上から音がするから上がってみれば、お前か……」

 レティシアはため息を吐いてその場から右にずれると、ミグに座るスペースを空けた。

 ミグと二人時計塔の上。レティシアが遠く眺めていたエンブレミア王国のある方向。

前もこうやってその方向を眺めていたことがあった。

「っくしゅ」

 早朝の空気は朝冷えして少し寒い。レティシアはくしゃみをして腕を抱えた。

 ミグはレティシアの肩に自分の上着をかけて穏やかに微笑んだ。

「少し朝は冷えるな…」

「――あ、ありがとう…」

 そう言って上着を着ると、思いついたかの様にエンブレミア王国の方角を指差した。


「あ……なぁミグッ。エンブレミア王国の近くの森――行ってみないか?」


「えっ―――?」

 ミグは何を言っているんだとか言っていたが、レティシアは右手をかざして白い魔法陣を上空に出すと、目を輝かせて納得して頷いていた。


 ――ラクロエは左手をかざしていたと森に着いてからミグは言った。

 少し考えて、ラクロエは左利きなんだとレティシアは言って微笑んだ。


 懐かしいエンブレミア王国の近隣の小さな森――。ここには色々な思い出が詰まっている。

 10歳くらいの頃、『魔物討伐だぁ!』と言って森に二人でこっそりと出かけた。エミュ~とはそこで出会ったというのは過去にも触れたが、レティシアはここに昔、絵本の通りにエルフに逢えると思って探しに来たことさえあったこと、暇で森へひとり探索に来て迷った私をミグが見つけてくれたこと――。思い出すと懐かしくて笑えてくる。

 朝靄のかかるこの森の空気は湿気を含んでいるが心地いい。

 鳥達がまるで二人を招き入れる様に歌うこの森を、少し歩いてレティシアは突然歩みを止めた。


 ――こっちだよ…こっち。


 レティシアは突然聞こえたその声の方向を向き、目を凝らすが何もない。

「?」

 そして首を傾げるレティシアにミグが不思議そうにしている。

 しかし聞こえる声は確かに、こっちだよと呼んでいるみたいだ。

「なんか、声、しないか?」

「…いや?」

 どうやらミグには聞こえていないらしい。

 とにかく呼ばれているみたいだと伝えるとレティシアはその方向へと足を進めた。

 少し広場のように草原が広がる場所に歩みを進めた時、少し遠くの一本の木の前に誰かが立っているのが見え、近づいて行ってみると白銀の様な髪をした可愛らしい少年が木の前でこちらを見て立っている。

「!」

 レティシア達は立ち止まった。

 少年はレティシア達より少し幼いと思う。耳はミュイエの様に白い猫の耳の様な耳が頭にぴんと立ち、しっぽもある。どうしてかわからないが懐かしい様なそんな気がした。そしてその名を呼んだ。

「――エ…エミュ~なのっ?」

 レティシアが言った一言にミグは驚愕している。

 そう声をかけられた少年はレティシアに向かって微笑みをうかべた。

「えっ…えぇええぇっ!?」

 ミグが驚いて声を上げるのも束の間、レティシアは少年に駆け寄った。

 少年の緑石色の瞳はレティシア達の瞳の色に似ているが、エミュ~もその色の瞳をしていた。白いエミュ~の毛は白銀の様な色をしていて、しっぽも長くてふさふさとしていたのを思い出す。

 そしてエミュ~は羽はあったが猫の様な容姿だったのだというのに、何故かわからないがレティシアは少年がエミュ~の様な気がしてならなかった。

 エミュ~(?)も、だっと駆けて来てレティシアに抱きついた。

「エミュ~! エミュ~なんだなっ!? さっき呼んだのも、エミュ~だったのか!?」

 少年は頷いてレティシアの顔を見上げた。

「ぜったい来てくれると思ってたんだっ」

と、天使のような愛らしい顔と可愛らしい声で言った。

 しかし、これはどういうことだとミグは二人を一周して眺めている様子だったが、エミュ~に横から尋ねた。

「あ、僕、始めから本当はこの姿なんだけど、びっくりすると困るし。とりあえずあの姿のままで過ごしてただけなんだ」

「え…えとイマイチ意味がわからないんだけど、エミュ~お前は一体何者なんだ? 魔族か何かではないよなぁ?」

「魔族じゃないよ。精霊族。光の精霊族なんだけど、でも…、滅んじゃった…」

「せ、精霊族ってじゃあミュイエと同じ――」


 レティシア達が驚愕してエミュ~を見て詳しくエミュ~の話を聞くと、とある大陸の森に住んでいた光の精霊族は大魔王ザロクサスの手先に滅ぼされてしまい、エミュ~はなんとか逃げて来て平和そうなこの森に身を潜めていた。しかし、危機を二人に助けられて一緒について行った。

 という話であったが、いまいち理解不能な気がしてレティシアは言った。


「――ん? ちょっと待った。エミュ~さっきお前、光の精霊族って言わなかったか?」


「うん。言ったよ?」

「――六大属性じゃないじゃないか…。光の精霊族って…」


「ふふっ、やっぱりそこ気付いちゃった? じゃあ詳しく話すかぁ…もう済んだみたいだし」

「??」

 エミュ~は困った様に微笑むと、怪訝そうな表情の二人にこう説明した。


 ――精霊界の王族が無…と言っているが光の属性を持ち、全ての精霊を取りまとめている様に、精霊族にもまた光の精霊族がその中心として君臨している。


 …先程、ややこしくなるので『とある森』と言ったのは、精霊界につながる森のことを差していた。


 光の精霊族だけは精霊界に住まい、人間の世界の精霊族達を取りまとめているのだとか。


 精霊界の危機――これにより、ラクロエは人間へ転生して逃がされたが、光の精霊族を一人でも残すため、エミュ~もまた風の大精霊セイレシルによって逃がされた。

 そして、風の大精霊セイレシルとともに時が来るまでラクロエ王女を見守る役目に協力した。

 エミュ~は光の精霊族の王子だったが、まだ幼く、セイレシルに育てられながらここまで来たと言っていた。

 レティシア達が14の誕生日近くになり勝手に抜け出した様子だったが、もし城を出ないならば自分がミールティアまでセイレシルとともに力を合わせレティシアを導こうと思っていた。

 しかし、城を抜け出すなど予想外だった――とも苦笑して最後に話していた。

「――な、なーるほどぉ…では、要するにお前は用済みってことだな?」

「よ、用済みって…ミグいくらなんでもそれは…言いすぎだ」

「でも無事ラクロエ様復活したみたいだし良かったよ。――ねぇ、僕も連れていって――」

 その時太陽が明るくエミュ~の顔を照らし、緑石色のエミュ~の瞳はきらきらと不思議な力を持つ様に強い意志と願いを込め、真っ直ぐに向けられていた。

 ――エミュ~にも関係のある話で、その目に自分は逆らえないと、そう思った。

「…そうだな。ミグは城に残すわけには行かないと思って森に放したようだけど、そういうことなら置いて行くわけにはいかないな…」

と言ってレティシアは頭上に時空移動のゲートを作る。

 シュッと移動して時計塔の上――。

 エミュ~に言った。

「その、悪いんだけど他の皆がびっくりするといけないから猫(?)に戻ってくれないか。それが条件だ」


 玄関からルクチェの屋敷に戻った二人とエミュ~は、予想通りにリュシファーに叱られた反面、エミュ~に驚く皆の顔を見て、レティシアはふふっとも微笑んだ――。

 ルクチェとリアジュは目をきらきらとさせて、エミュ~を連れて行って遊んでいる。


 白銀の様な毛色――それはふさふさとした猫の様に毛が長く生えている。

 愛くるしい緑石色の瞳――それは大きくて丸い木の実のような形。

 背に生えた天使のような小さな羽根――それはパタパタと飛び回り猫ではないと告げる。

 愛くるしく『ミュ~』と鳴く声――それは誰もを、きゅん、とときめかせるように可愛らしい。


 そして――。


 猫――? と言ってみるが、猫じゃないみたいだと言い、

 それでは何――? と聞かれてもやはり猫…? としか答えようのないエミュ~は、

 猫ではなく光の精霊族であったのだが、皆には内緒にしておこうと思う――。


 レティシアとミグは、顔を合わせてにっこりと微笑んだのだった。


つづく。

エミュ~うちの猫モデルですが、マスコットキャラだったのに勝手な設定無理やり入れましたw

色んな精霊族や精霊たちの願いも込められながらラクロエ&レティシアは成長しながら大魔王ザロクサスに立ち向かうことでしょう。

ではでは、エピソード1からが本編的になりますので、どうぞお楽しみに。全部終わったら番外編とかも書いてみようかなぁと今思いました。

長くなりましたが読んでくださりありがとうございますっ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ