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【第四章】†ep.1 教えてくれたこと†

すみませんねぇ。今回も…欝回です(汗)

あと、校正もしたつもりで載せてから「あぁぁぁ(泣)」と気付く事もすっごく多くてですね、変な部分があるかもしれませんが後で一応チェックして直してますが何かあれば感想欄でもメッセージでもなんでもいただければ直しますので…すみませんです。ではどうぞ。

 レティシアは宙に浮かんで、ミュイエの後を続く。

 昨日までは凍りつくような空気も、深い森が心地よい湿気を含む気温に変わっていた。

「――あ、レティシア…あそこに何人か人がいますよ? あの方たちがそうですか?」

 一人走って来る少年が遠目に見えて、その後を背丈が少し高い二人が続く。

「レティ!! 無事だったかっ、すっごく探したんだぞっ」

 ミグが肩を掴んで来たので、レティシアは顔を歪めて声を上げた。

 驚いてぱっと手を離したミグが右の肩を押さえて宙で蹲っているレティシアに声をかけるより先に、後ろから到着したルクチェとリュシファーが駆け寄る。

「だ、大丈夫かッ? 怪我はないかッッ? 崖から落ちたからただじゃ済まないと思って心配していたんだ」

「――レティシアは右肩と左足を骨折しています。怪我もしていましたが、それは治しましたから心配はいりません…」

「あ…えと…」

 レティシアの顔を覗きこんでいたリュシファーが困惑しているので、レティシアはようやく落ち着いた身体を宙で起こし静かに口を開く。

「――落ちたところを助けて貰った……ミュイエだ。魔物ももういない…心配かけてすまなかった……」

 ミグがレティシアを怪訝そうに見ている。

「魔物倒したのか…?」

「…………」

 レティシアは黙って俯いてしまった。

 それをミュイエがみかねて事情を説明していた。

 レティシアは説明が終わるなり、魔物もいない森の出口へと先に進んでいく。


 ――私が、倒してたら…よかったのに……


 後ろから皆が走って来る。

「こら、レティ…一人で歩くと危険だ。いくら魔物が封印されたからって、少しはまだいるかもしれないだろう?」

 リュシファーがレティシアの左手を取り、宙で犬を散歩させるかの様に引いて歩く。

 レティシアはずっと俯いていたし、何も返事をしなかった。

 後ろでミグがルクチェとどうでもいい話をしているとレティシアは思っていた。

 魔物が消えた報告をしにいくために、一度ミールティアに戻るという。

 ミュイエが知っている森への出口までの近道を通り、レティシア達は夕方前にはミールティアへと到着していた。それまでレティシアは色々と考えていた。

 屋敷に着いた時、ふとノヴァの声を思い出した。


 ――レティお姉ちゃんって魔法使える?


 そして、その時の自分の返事も………。


 ミグとミュイエとルクチェは町長に報告に行き、リュシファーは薬を調合してくれている。

 レティシアはベッドから窓の外を静かに眺めて気分は重苦しくため息が出る。

「――らしくないな…ずっと黙って大人しくしてるなんて」

「……放っておいてくれ」

 レティシアはリュシファーは自分が何故落ち込んでいるかとっくに知っているだろう。

 多分ミグも――と考えていた。

 当たり障りない会話から始めて、言われたくない言葉を言いたいのだ…きっと。

「不機嫌そうなところはいつも通りか……さ、出来た。少し服脱がせて貰うぞ」

「………好きにしろ」

 右肩の患部に薬を塗るため、少しだけ服をずらして患部にリュシファーは薬を塗る。

 少し焼ける様な痛みにレティシアは顔を歪めて耐えた。

「なんせ骨折なんて重体じゃ、確かに捻挫の薬の様に心地いいもんじゃないかもしれないが、ちゃんと即効性があるように作ってある。少し我慢してくれ」

「べ、別にっ…痛むなんて一言も言ってないじゃないか」

 レティシアが無気になって言った一言に、リュシファーはくすっと微笑んだ。

 それにレティシアは更に口を開こうと思った。が、リュシファーはくるっと背を向ける。

「…ひとりになりたいならここでじっとしているといい。俺は足にも薬塗ったし、下に消えよう…では、またな――」

 ――何か言われると思っていたのに何も言われなかった。レティシアは少し意外だったが、よく思い出してみればリュシファーとはそういう者だったと思い返した。

 ――気付いているのかいつも聞いて欲しくないという時、何故か何も聞かない……。

 リュシファーが出て行ったドアを見つめながら、開けられている窓から聞こえる物音や人々の声に耳を澄ましていた。

「――“私は………魔法という魔法は……使えないんだ”………」

 レティシアが静かに呟いたそれは、自分がノヴァに答えた言葉だった。

 本当は使えるのに――私、


 ―――嘘つき………


 一方、下の階では――。

 ルクチェ達3人がそれぞれ散らばっている。

 ミグは窓の側。リュシファーは壁に背をつけ立ち、ミュイエは席に座り、ルクチェはお茶を入れ台所から戻って来るなり、立ち止まり苦笑いを浮かべる。

「――皆どうしたのぉ? 席につけばいいじゃないの。お茶入ったわ」

 三者三様に何か考え事をしていたらしく、はっとしてテーブルへ集まった。

 ルクチェはそのままレティシアのいる2階へとお茶を持ち向かおうとした。

「――ルクチェ、…今はそっとしておいた方が…多分あいつご飯も食べないぜ…こういう時」

 ミグに止められてルクチェは困った表情を浮かべて、二階のレティシアのいる部屋の方向へと視線を向けた。

「…あら…、そ、そう…でも、心配だわ……」

 心配するルクチェを見てミュイエは言った。

「……子供にはショックが大きいでしょうね…城の者が魔物に次々と殺されていく様を見たのですから…ノヴァとのことも気に病んでいるのでしょう…心配ですね」

 ミュイエが言った一言に、ミグが苦笑いを浮かべて口を開いた。

「――何も聞いてないのか。あいつ10歳くらいに見えるけど、本当は俺とは双子で14だ」

「っ…よ、よくわからないんですが…。何故、双子なのにレティシアは成長が遅いんでしょう…?」

 ミュイエは怪訝そうな顔で思考しているのをミグが唖然として言う。

「あ…よくわかんないんだけど、突然小さくなったんだ。最初五歳くらいだったんだ」

「!? な…何とも不可思議な――どういうことなのです?」

 三人顔を見合わせて、苦笑を浮かべるとリュシファーが首を振って事情を説明した。


「――そう…だったのですか……だから昨日――」

「昨日…?」

「あ、いえ…泣きながらずっと謝っていたんです。それから思いつめたように塞ぎこんでしまったのは、ショックが大きかったからだと…思っていました。いえ…しかしこれもまたショックでしょうね。多分、自分のせいだと余計に気に病んでいるのでは…」

「…………おそらくな」

 ――誰もがそれには気付いていたことだった。しかし、今は声をかけることは出来ないと誰もがそう思っていた。

「――少し…レティシアの元へ行ってきます…」

「や、やめといた方がいい……」

 リュシファーが止めるのも聞かずに、ミュイエはその手に触れると首を横に振って2階へと上がっていく。

 ミグがため息を吐いて呟いた。

「――やめといた方が…いいのになぁ」

 ―――…

 2階――レティシアのいる客室。

 コンコンと言うノックの音。

 返事がない――。

 ミュイエはノブに手をかけるが、鍵はかかっていない。

 ゆっくりと開けると、強い風が窓とドアに通り吹き抜けた。

「レティシ―――…ア?」

 しかし見渡した部屋に、レティシアの姿はない。

 開かれた窓にかけてあるピンクのカーテンが風に揺れている。

 はっと慌ててミュイエは声を上げながら階段を駆け降りていく。


 ――レティシアがいない事を3人が知ったのは、レティシアが窓から部屋を出て30分後のことだった。


 レティシアが向かったのは時計塔。

 屋根の上で、もう暗くなった町並みをただ眺めていた。

 左足には包帯が巻かれ右足も裸足である。

 町並みに飽きたレティシアは妖雪の森の方角へと向き、目を潤ませる様に遠く哀しい目で見つめる。

 その時はっとする。

 隣に座る人の気配。誰かというのはわかっていた。レティシアは視線を森からずらさずに言った。

「――……なんだ、もう見つかったのか」

 その言葉に隣の人物はふっと微笑んだ気がする。

 レティシアもその後口を開かず、隣の人物も黙っていた。

 ノヴァのストールが自分の目の前の視界で風に揺られている。

 ストールを握りしめて右足に左腕をかけ、レティシアは俯いた。

 隣の人物は黙って慰めるように自分の胸へと引き寄せる。

「……っぐ…ひっく…うわぁぁぁ~」

 声を上げて泣いていた。

 それを何も言わずに頭を撫でてくれた優しさがありがたかった。

 何も言えなかったんじゃなく、言わなかったと知っていた。

 落ち着いた頃に屋敷へ戻った。

 夕食時だ。

 食卓に並ぶ料理は少しいつもより豪華だ。

「腕によりをかけて新しい仲間も増えたことだしぃ? 歓迎会しなくちゃね」

とルクチェが言って微笑んでいる。

 レティシアは俯いてルクチェに詫びた。

「……ごめん。さっき外で食べてしまったんだ」

「あら…そう……」

 本当にごめんと言ってレティシアは静かに上の階へと上がっていく。

 下の階では連れ戻してきたリュシファーが、ルクチェの意味ありげな視線に落胆の表情を浮かばせながら首を横に振っていた。

 だがそれは誰もが聞かなくてもわかっていただろう。

 口数も少なくルクチェが作った豪華な食事に手をつけていた……。


 次の日――。

 レティシアは一晩悩んだあげくにリュシファーの元へと行った。


「――話がある」


 突然のレティシアの言葉に、少し圧倒された様にリュシファーは答えた。

「ど、どうした…改まって……」

「………時計塔まで後で来い」

とそう言ったレティシアは時計塔まで先に向かった。

 ――リュシファーが来たのは5分程後のこと。

「――ふぅ~…今日も天気がよいな…。――で、なんだ。話って…」 

 声にレティシアは振り返る。

 目で座るよう合図を送り、レティシアのその合図にリュシファーは座り、手には煙草。

 リュシファーは白い煙をふぅっと吐きながら、黙ってレティシアと同じ方向を見る。

 息を吸い、そして深く吐いたレティシアはリュシファーの方を見ずに少しずつ言葉を紡ぐ。

「リュシファー…、その………私―――」

 しかし、言えずに言葉を詰まらせたレティシアにリュシファーは口を開いた。


「――『魔法を教えてくれ』…か」


「!」

 驚いた――。

 レティシアのなかなか言えない言葉をリュシファーは紡いだのだ。

 驚愕の表情を浮かべて自分の方へ向いたレティシアに、リュシファーは続けた。


「…言うと思ってたよ。お前ならそう言うだろうって」


「なんだ――全部……お見通しなんだな……悔しいが…」

「はは…少しお前といればわかるさ。理由も何も聞かなくてもわかってるから言わなくていい…」

 少し睨みつけるようにリュシファーを見た後、レティシアはその表情を崩して静かに言った。

「……………頼む」


 レティシアは俯いてそう言った言葉に、リュシファーは少しふっと微笑んで答えた。


「――了解」


 リュシファーはその後煙草の煙を吐いて、レティシアの頭を強めに撫でた。


 ――昨日一晩中考えて…、――逃げていてはいけないと思った。

 ノヴァが――教えてくれた…。

 もう一度、ノヴァに会えて聞かれたとしたら、こう答えるだろう。


 ―――“勿論、使える”――


 と……。


つづく。

欝回終わってついに決意回ってところですね。

いやー良かった良かった。

少し哀しい曲をかけながら書いてました。

曲はヴィーナス&ブレイブスより【Waltz For Ariah】がニコ動にピアノ弾いてる人がいて高音質だったので、気に入ってかけてました。それかけると雰囲気伝わるかもしれないですね。ちなみにピアノ私も独学で1年目です。←結構どうでもいい。 ではまたっ読んでくださりありがとうございます。次は欝回脱出です。

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