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【第ニ章】†ep.2 使えない――。使わない…。†

チェックしてないので、校正必要かもしれないですがとりあえず…

Cafe(カフェ) Letisier(レティシア)

 何の因果か、看板にはそう書かれていた。

 二人が顔を見合わせ、少し苦笑しながら店内に入る。


「いらっしゃいませぇ~2名様ですね? ごあんなぁ~い 」


 城の中にあるようなアンティーク調の壁の模様や、テーブル、椅子などがレティシアの目を冷めさせた。妙に高級感がある造りに仕上げられたそれは、レティシアにとって城下に来たというのに斬新でもお洒落でも何でもなく、面白味が感じられなかった。

 その様子を横目に、リュシファーが苦笑いを浮かべる。

 席を案内してくれた妙にテンションの高い店員の格好も、マリアみたいなメイドの格好が制服らしく、テーブルに両肘をついてレティシアはつまらなさそうにため息を吐いた。

「…ほら、何にするんだ?」

 メニューを差し出して、未だに少し見慣れない姿のリュシファーが聞いている。

「同じのでも何でもいい…」

と窓の外を眺めていると、リュシファーが『俺、コーヒーだぞ?』と言うので慌ててレティシアはメニューを奪い取る。レティシアがコーヒーが嫌いなのを、勿論リュシファーは知っていた。

「ははは…コーヒーも飲めないなんて子供だなぁ」

 馬鹿にする様に言われた言葉にレティシアは「むっ、じゃあコーヒーでいいっ」と拗ねた様に言ったが、『え、本当にいいのか? そんな所で意地を張らなくても…』と苦笑してリュシファーが言うと、レティシアは少し考えて、不機嫌そうに窓の外を見ながら「…や…やっぱり。……ミルクティー」と、どうせ聞こえると思い小さく呟いたのだった。

 そんないつも通りのやり取りをして、レティシアの調子を戻すというリュシファーの思惑通りに、レティシアは拗ねている。微笑んで言われた通りに店員にオーダーした後、しばしリュシファーは変装したレティシアを眺めていた。


 ツインテールの金の髪、魔法使いの服、とんがり帽子を被り、不機嫌そうに窓の外を見つめるレティシアは、いつもと違って違和感があるものの、その瞳はいつもの翡翠の様な澄んだ緑石色をしていて、その変装した格好もなかなかよく似合っている。

 城下で見ると、レティシアは目立つな…とリュシファーは思った。

 あの路地からここまで歩いてきた道のりと、カフェの店内でさえ、普通の魔法使いに変装したところで、ただの魔法使いではなく、魔法使いの格好をした美少女としてレティシアは男からの視線を浴びていた。その証拠に、今いるカフェの店内でさえリュシファーが視線を辺りを見回せば、気まずそうに男性客は目を逸らした。

 …城の中だと手のかかるお姫様としか思ってなかったが、……こうして外で普通の女の子としてお茶してひと時を過ごしていると思って見てみれば、見れば見る程可愛い事は確かだ……まだ子供だが。…こんなのが外をちょろちょろ一人で歩いてりゃ、そりゃ…俺も見るだろうな…やれやれ。

 世間知らずのお姫様――。教育係兼目付け役の俺――。カフェ――。

 普通に考えればあり得ない事だ……。

 って、俺はのん気に何を考えているんだ――俺はコイツが危険な目に遭わぬ様ついて来た監視役――ま、ちょっとしたボディガードって所だ。

 影ながらというのは結構疲れた……、どうせコイツは城下に時々出たがるだろうな…。

 ま、時々なら付き合ってやっても良いか…一人で歩かせるのはいくら変装していても危険だ。大した魔法も使えないし。でも少し今回で懲りてくれればいいんだが……。

 なんて事をリュシファーは考えてふとある事が気になり、ため息を吐いてから口を開いた。

「…そういえばお前さ、変装の簡易魔法は使えるんだなぁ。結構、難しい魔法だぞ? それ」

 唐突に言われた言葉に、レティシアは意外そうな顔をしながらはっとした様に口を開いた。

「あ、すまないが内緒にしてくれ…。私が変装の魔法を使えるというのは、城の者たちは知らない…。覚えたのは、簡易魔法を幼い頃に習っていた時、ミグと一緒にこっそり本見て練習したら使える様になっただけだから…教えてもらった訳ではないが、城を時々抜けるのに使っていた。…変装していたのに気づいたのは、お前が初めてだ」

「ほぉ…ま、内緒にはしてやるが、それにしても今と違って研究熱心な事だな…。しかし、お前その魔法さ、最後のページの方に載ってなかったか?」

 レティシアは首を傾げながら、しばし考えた後答えた。

「んー覚えてない…。ただ面白そうなのを探して二人で練習しただけだ…」

 レティシアの言葉が終わった瞬間に、店員が飲み物を運んできた。

「お待たせいたしましたぁ~ん。若様、姫様っ。こちらコーヒーとミルクティーでございまぁす」

「え………」

 どういうコンセプトのカフェなのかは良くわからないが、どうやら女性客には『姫様』、男性客には『若様』と言うらしい。『若様』と言われてリュシファーは引きつったが、レティシアも勿論、少し引きつっているのには少し笑えた。

 城の中と全く変わらないティータイムだと多分そう思っているだろう。

 レティシアはため息を吐いて、ミルクティにふぅと息をかけ、熱を冷ましている。

「…なるほどねぇ。次学期からは魔法中心に勉強するつもりだとは前にも話したけど、前に一度魔法の授業をしただろう? 少し気になってた事がある……」

 途中で、一呼吸置くためコーヒーに一口口をつけ、静かに口を開いた。


「――あのさ、その時なんだけど…。お前…わざと――、力抑えていなかったか?」


 はっとした顔をしてレティシアは否定の言葉を明らかに動揺した様に訴えてくる。

「……そ、そんなことない。ただ、使えないだけだ――」

 それを遮って、リュシファーは冷静にこう言った。


「…俺には…何度やっても、力を抑えて失敗している様に見えたが……?」


「…なっ何を言う! たっ…ただっ、失敗しただけだっ!!」

 テーブルに両手を乱暴に叩く様についたレティシアは立ち上がり、リュシファーを無気になった様に怒鳴りつけた。それで周りがざわついているので、リュシファーは慌てて小声でレティシアに注意して席に座らせた。

 目立つ行動を慎めと言われたレティシアは、大人しく座ったものの不機嫌そうにテーブルに肘をついて手に顔を乗せて、窓の外を眺めている。

 先程の様子からしても伺える焦り…それが何なのか、リュシファーは考えていた。

 おおよその見当がついたリュシファーは、何かを悟っている様な真っ直ぐな視線をレティシアに向けて言った。

「――ふぅん…。それってさ、本当は…、使えない――…じゃなくて、使わない――…の間違いじゃないのか…?」

「!」

 案の条、その言葉にレティシアは詰まる――。

 表情は明らかに驚きと動揺を隠してはいなかった。

 レティシアはリュシファーのその見通した様な瞳を見て、驚愕していた様子だった。


 ……………。

 レティシアは、その脳裏でこう考えていた。

 ――もともとリュシファーが只者じゃないというのは最初会った時から感じていたが、先程、魔法を少しだけ使っているのを目の当たりにし、その力量の凄さを確信した。

 その力量ならば、力を抑えていた事など全てお見通しだったのかもしれない…。

 ……………。

 レティシアが魔法を使う時わざと力を抑えていた事は、今まで誰にも気づかれた事はなかった事だった――。

 ただ、使えないと思わせておけば使わなくて済む――レティシアはそう考えていた。

 心臓は、ばくばくとその鼓動を急ぎ走らせ、それは――焦りなのか。それとも―――、リュシファーの妖しい光をその奥に携えた様な瞳が、何かを見通すように真っ直ぐに自分に向け、決して離さないからなのか――。額にも汗が滲み、動揺していた。

 ――幼い頃、教えられた通りにミグは普通に火の法術を放ったというのに…、私は何故かその何倍もの威力の火の法術を放ってしまった。一本の木が燃え、消し炭の様になった程の威力のあの火炎――。

 思い出したくもない――。

 ―――あの思い出。

 それから魔法を使おうとする度に怖くなり、自然と力を抑えるよう意識が集中してしまい、失敗を繰り返し……“もう魔法なんて使えなくていい――!”と思った事――。

 突然、きゅっときつく目を閉じ俯いたレティシアに、リュシファーが声をかけてくる。

「どっ、どうしたっ……? な、なんか悪いことでも言ったか? 気に障ったなら謝る。ただ、少し不思議に思っただけだ。突然どうしたんだ…」

 リュシファーが心配そうに顔を覗きこんでくるが、レティシアは小さく呟いた。

「…リュ、リュシファーに何がわかる……っ」

 俯いたまま顔を逸らし、しばしリュシファーは何も答えなかった。

 リュシファーは沈黙の間その脳裏に、この異変が何なのか思考を巡らせているだろうなと、レティシアは思った。変な間がしばらく流れても、全て見通されている様な瞳を見るのが怖くて、顔をあげる事が出来なかったレティシアに、ついにリュシファーは口を開いた。


「………何か――事情があるのか? お前が魔法を使わない理由」

 レティシアははっとした。

 思わず俯いた顔をあげてリュシファーの見通した様な瞳を見て怯えた表情をしてレティシアは、覚悟を決めて口を開いた。


「……リュ、リュシファーは怖くないのか? 初めからお前は只者ではないと思っていた。何か強く底知れない魔力を秘めている様な…でも普段は隠していて穏やかに笑ったりするし、穏やかだからいつも見えるわけではない。ただ、時々感じられるその隠している力の力量の凄さの様な物を、魔法をろくに使えぬ私でもその位感じられる…。先程も、力を抑えてはいたが本当はもっと威力を持つ魔法を使うだろう? …リュシファーは、そんな魔法を使える事を怖く思う事はないのか…?」

 その言葉を黙って聞いていたリュシファーは、ふっと口元を微笑ませ、静かに話し始めた。

「――怖い――か…。そんな事もあったな……。でもそれは魔力を高めていけば、克服される。ちゃんと使える上で抑える能力もちゃんと身につく。使えないうちから抑えても出来ないだけだがな…」

 リュシファーの言葉を聞き、意外そうにしているレティシアに、少し微笑んでリュシファーは肘をテーブルについて顔を手に乗せながら口を開いた。

「――それはそうと…、お前初めから俺が只者じゃないと感じた――と言っていたが、それはどういう感じだ?」

 レティシアは一瞬怪訝そうな顔をしたが、少し考えて答えた。


「…そんなの、瞳の奥に何か不思議な魔力を秘めた妖しい光が揺らめいてるっていうか――…それとも雰囲気? うーん。何ていうか上手く言えない…でも、初めから弱くだけど…瞳の奥にそれが大きく揺らめいていたから、『何者なんだ?』と思っていた」


「!」

 驚愕したリュシファーは、つい言葉が出ない。

 それを他所にレティシアは更に悩んで続けた。

「あっ後、怒った時とかそれが特に強くなって――辺りが怪しい煙にでも巻かれた様にそれは恐ろしい空気が流れて…、ぞくっとして目を見れなくなったりして…すごく怖い。…とか…そんな感じかな? ――う~ん。でも、ミグにはそういうのわからないらしくて、よくわかんないんだけど、何となくお前は只者じゃない程それが強く見えたんだ」

「……………」

 リュシファーが黙っているのでレティシアは、何かおかしな事を言ったかと思い、リュシファーの顔色を伺っていたが、どうやら固まっている様子で何も答えない。

「な…なんだ? 怖い顔して黙っちゃって…な、投げっぱなしか……?」

 驚愕した表情でしばし思考にふけっていたリュシファーが、はっとした様にその重い口を開き始めた。

「ま…“魔力無き者――有りき者見えず滅す”って言葉、…知ってるか? 有名な高等魔術師ルーザスという者の言葉でな。魔力が低ければ真の相手の力量も測れずに、戦っても負けるから魔力を高める修行に励めっていう言葉なんだが――」

 突然、難しい言葉を聞き、レティシアが怪訝そうな顔を向けていたので、リュシファーは難しい話は止めておこうと、少し困った様に微笑んで続けた。

「――ま、要はだな…俺はさっきのは大した力を使ってはいないし、普段も力を抑え、力量がわからない様にしている。封環もしてるしな――ほら、これ」

 そう言ってリュシファーは耳に着けている、古代文字の様なものが描かれていて、象牙で出来た輪の様な物を、その耳元でぴんと手に触れてみせた。

「――ふう…かん??」

「そう――。自分だけの力では制御出来ない程の強大な力を封じるための補助の役割となる物だ。そして、そうして封じたその力を感じているならば、お前は魔力が高いという証拠。しかし、お前は資質がありながら魔法を学ばずに魔力を高める修行もしていない。よってその資質も眠っている――と、おおよそそんなところだ」

「え?」

 リュシファーの目の奥に携えている様に感じる不思議な魔力を秘めた様な光――。

 それが今一層強くレティシアを真っ直ぐに見つめている。

 全てを見通した様なその視線が、時々怖かったのは魔力を感じていたからなのだろうか。確かに、ミグにそれを話した時にわからないと言っていたのを思い出す――。

 レティシアはごくっと息を呑んだ。

「それでだ。そのルーザスの言葉の意味をもう少しお前には難しいかもしれないが、補足しておこう――」

 そう言ってリュシファーは力量を見破る方法について話し出した。

 力量を測る方法というのには色々とある。


 見破り易さは第一第二第三という順番で分けられている。

【初級】第一に、雰囲気、物腰――。

・これは一般人でも感じられる者も多いが、その曖昧さは力量に寄る。

何となく嫌な予感がする時などに感じている場合が多いという。


【中級】第二に、オーラの様にその者を取り巻く波動――。

・ある程度魔法を使う者が感じる物で、測ろうとすれば色や波動の大きさで測る事が出来るという。しかし、これら第一第二のこの方法は、高等の魔術を扱う者が制御した力の力量までは見破れないという。

 

 それを見破る事が出来るのは、次に説明する第三―――。


【上級】第三に、瞳――。

・レティシアが言う様に、魔力を秘めた光が瞳の奥に揺らめいて見えるというもの。

・大抵、高等な魔術師は、普通の魔術師程度に見える様にその優れた能力を隠し制御する。

しかし、第一第二の方法ではその場合の真の実力は見抜けず、第三の方法で測れる高等魔術を扱う者が見て、初めてその力量を見抜く事が出来るという。

したがって初級中級の魔術師が、上級の相手を高等魔術師だと見抜けず判断し、後になって力量を思い知る事も多い。

・第一第二と違い、この方法は簡単に誰でも使う事が出来ない。第三の方法で測れる者は、“高等魔術を使いこなせる資質がある者”や、よっぽど修行を積んだ者のみだろう…。

「――そして、それが――何を意味するか…お前には解かるか?」

「!?」

 リュシファーが真剣な眼差しで最後に説明した言葉に、レティシアは耳を疑った。


 ……………う、嘘――…!?


 驚愕して手が震える。

 それは話している途中から、リュシファーの瞳からは先程よりも強い光が揺らめき始めている気がしていたからなのだろうか……。

 信じたくないからなのだろうか……。

 何かに縛られている様な………この感じ………。

 周りの空気も、なんか違う気がする……。

 何かわからないけど、何故か…

 …こ、怖い…………っっ!

 ――レティシアには何かわからなかった。


 手に汗を握りながら掴んでいたティーカップがソーサーとスプーンに擦られ、カタカタと音を鳴らす。

 レティシアの身体は何故か震えが起こり、まるで自分を見えない何かが動きを封じているかの様に重い空気が辺りを包み始め、リュシファーの瞳からも目を逸らしたいのに逸らせない。


 そして、レティシアは気づいた――。


 呼吸がしずらくなり、過呼吸の様に息を吐き出す事が出来なくなっていた。


 ……っ! う…駄目…だ。…苦……し――…


 そう思った時、突然リュシファーの瞳に妖しく揺らめく光が小さくなった気がした。

 途端に、震えは止まり身体も動かせるようになったレティシアの呼吸だけは、平静を取り戻そうと激しく繰り返されている。

「はぁ…はぁ……っ…な………」


 何か言おうとしても呼吸をするのに精一杯だったレティシアに、リュシファーは苦笑して背中をさする。

「あぁ、悪い…す、少し強め過ぎた様だ。ちょっとだけ試させて貰った…」

「……な…!? い、今の――」

 そのレティシアの言葉を最後まで聞かずに、リュシファーは頷いていつもの様に微笑んで言った。


「――お前さ…、本格的に魔法勉強した方がいい。…何があったかは知らないがちゃんと覚えれば怖くなくなる。本当に第三の瞳で見破れるならば、今のお前では俺と魔力の差がありすぎて、自然と恐怖を感じ勝手に体が震えてしまいさえするだろう――と思って少し自分で抑えている力の抑制を解いたが、案の定お前の言っている様にそれを感じたんだろう? 瞳から目も離せない程身体が縛られて動けない様な感覚に陥った筈だ――。お前はおそらく何か資質を秘めている。 ――はっきり言って、そのまま眠らせて置くにはもったいない力だ」

「!」


 ――その後、そんなリュシファーにレティシアは文句の嵐――。

 困った様に微笑みながらリュシファーは必死に弁解したが、レティシアはずっと不服そうにしていた。

 しかし、リュシファーは考えていた。

 一番初めに出逢った時に、俺を真っ直ぐに鋭く睨みつけたその瞳は、何か吸い込まれそうな鋭い光を、綺麗に澄んだ翡翠の様な緑石色の瞳の奥に携えていた気がして、言葉通り何か力を吸い込まれたかの様に、俺はしばらく動けなかった――。

 それは今思うと、何か魔力の様な何かを眠らせ、秘めている事を予期させていたのかもしれない。

 魔法が使えない――と調書にも書いてあったので、資質がないのかもしれないなと思っていたレティシアは、初めから…俺が何者か知らない内からその瞳で力量を測り、只者ではないと感じ取っていたとは……。


 レティシアは、魔法を…


“使えない――ではなく…、――使わない。”


と、今日の一件でリュシファーは確信した。


 その底知れない何かをレティシアはその瞳に秘めているにも拘らず、その更に核とも言うべき奥底にある“怖れ”――。

 それが自然とその才を見せぬよう、隠していたのだろう。

 しかし、力は眠ったままその片鱗は少しずつ抑制から反発しようとするだろう。

 それをレティシアが抑制し続けるのは、――多分無理だ。

 幼い頃より何か怖れの様なもので、力を無意識に抑制し隠してきたのかもしれないが、隠されている間にも少しずつ反発し始めている。

 魔法は使わなくとも、その瞳で相手の魔力の力量を感じ取ってしまう程に、その力は表に出たがり始めたのだろうか。


 あいつ自身が自由に憧れる様に、おそらくその力自身も……。

 ―――…


 リュシファーは、レティシアと城に帰る間も、ずっとこのレティシアの眠った力量について考えを巡らせていたという―――。


 ――――…



 つづく。 

相手の力量を瞳で測る能力というのを思いつきました。それから色々考えて設定付けるために時間がかかった回でもあります。

リュシファーが投げかけた一言により、怖くて魔法なんて使わなくていいと思っていたレティシアには、すごい力が眠っているのかもしれないという片鱗を見抜く事となったという回でした。


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