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運よくナンバーワンカードゲットだぜ?

全てにおいて完璧な人などいない。

スポーツだってなんだって、常にパーフェクト勝利を続ける事などできはしないのだ。

なのにどうしても、一つの負けを受け入れられない人はいる。

そういう人は結局大切な所で負ける事が多い。

負けてもいい場所を捨て、絶対に勝たなければならない所に注力する。

それが何においても勝利を掴む為に必要な事。

分かっちゃいるけれど、割と俺も一つの負けを受け入れられないタイプなんだよなぁ。


グレートアイランド二日目、俺たちは東の湖に向けて走っていた。

まずは湖を見てから、今度は西に向けて走る事になる。

正直天冉か俺だけが見に行って西に向かえば良いのだけれど、今更だしみんな一緒でいいだろう。

クタクタになりながら走る恵美も、これはこれで良いトレーニングにはなりそうだ。

それに途中、魔獣と言えるようなモンスターが襲ってきたりもしている。

ついつい癖で狛里なんかはサクッと排除してしまうのだけれど、徐々に慣れてくると恵美に任せるようになっていた。

「もうクタクタだし。この状況で戦うなんて拷問だし」

「いやトレーニングだよ。その為に俺に付いてきたんだろ?狛里がやったら一秒も掛からず倒してしまうからな。頑張れ!」

ちなみに倒さずに走り去るという選択肢はない。

何故なら、モンスターを倒せばカードが手に入るんだよね。

お金だったり素材だったりのアイテムカードとか、魔法カードだったりもする。

ナンバーカードはドロップしていないけれど、おそらくその内手に入るだろう。

「なんだかもう魔法を使うのにもなれてきたし」

常に読書モードな恵美は、モンスターが現れると素早くかずみの魔法で対処していた。

それにしてもカード魔法か。

あまり気にしてはいなかったけれど、瞬時にマナから魔力を集めて放てるのは、俺たちの常識から考えると凄い。

俺たちは常に『マナ』から、アルカディアでは『魔素』とか『エーテル』とか言われるそれから、魔力を集められるだけ体に蓄えておき、魔法を使う時はそこから使用する。

しかし体に魔力を貯めるという概念を持たないこの世界では、魔法は魔力を瞬時に集めて発動されるようだ。

もしも俺たちがそうする事ができれば、魔法の威力も爆発的に大きくする事ができるだろう。

これはちょっと時間のある時にでも研究したいな。

「あらぁ~、このカードはナンバーカードよぉ~」

今しがた恵美が、少し巨大で強そうなサイクロプスのようなモンスターを倒したけれど、それがドロップしたカードはどうやらナンバーカードだったようだ。

俺は天冉の後ろから覗き込んでカードを確認した。

「おお!これはトラップカードじゃないか!『ハイスチール』などのマジックカードでナンバーカードが奪われそうになっても、このカードでカウンターができるぞ」

他人のカードを奪うカードにはいくつかの種類があるようだ。

最初の町で売られていたのはただの『スチール』で、全ポケットからランダムにカードを奪うもの。

おそらくその上位カードが『ハイスチール』で、ナンバーポケットからランダムにカードを奪うものなのだろう。

「それじゃ~、これは恵美ちんがトラップポケットに入れておいてねぇ~」

「それがいいだろうな。カードを集めるのは恵美の役目だからな」

尤も、残り三枚になればゲリゲロに連絡を入れて、一緒にその後クリアを目指す事になる。

そうなればおそらく、カードは全部取られるんだけれどね。

「なんか安心のカードきたし。でも一枚だとまだまだ不安だし」

ふむ‥‥。

「確かにな。さっきの巨大モンスター、おそらくこの辺りに出てくる奴だろうから、しばらくここで狩りをするか」

何枚か集めておければ、安心してゲームが進められる。

「分かったの‥‥。アレを狩ってくるの‥‥」

「頼むぞ狛里、って‥‥アレ?」

さっきの巨大モンスターを狩るんだよ?

狛里の『アレ』発言を少し疑問に思いつつ一旦走るのをやめて狩りをしようとしたら、視界の隅に巨大なモンスターの姿が見えた。

「‥‥ドラゴン?」

しかも固有種に感じられる特別感みたいなものもある。

流石に『アレ』は今の恵美が倒すのは無理そうだ。

「アレは私には無理だし」

倒せとは言ってないけどね。

「ああ。流石にアレは恵美には倒せないな。狛里に任せよう」

こりゃおそらく、このゲームの中でも最上級種モンスターではないだろうか。

風格はドラゴンになった奇乃子や、七魅に匹敵する。

だがしかし、狛里の敵では当然なく‥‥。

猛龍拳(もうりゅうけん)なの‥‥」

龍を倒すのに『(たけ)る龍の(こぶし)』かい。

つか龍がパンチで攻撃する所なんて見た事ないわ。

でも狛里の背景には、ハッキリとパンチを繰り出す龍が見えた気がした。

顎に攻撃をヒットさせられ倒れる巨大龍。

そしてしばらくすると、龍はカード化されていた。

それを狛里は手に取り、チョコチョコと走って戻って来る。

ちょっと可愛い。

「策也ちゃん凄いの‥‥、一番なの‥‥」

狛里が差し出すカードを見ると、カードナンバー一番と記されていた。

マジかぁ。

これは何か嫌な予感がする。

魔法カードで、好きなナンバーのカードとしても使える超レアカード。

おそらく他人のファイルポケットをサーチする魔法カードもあるはずだし、そのうち俺たちが持っている事もバレるんだろうなぁ。

大体こんなレアモンスターが突然ここに現れるのもあり得ない。

何かがこの世界で起こっている。

と言うか、誰かのクエストの進行によって現れたと考えるのが自然か。

これからの事は一旦置いておくとして、今この場所に長居するのはマズイだろう。

きっと誰かがここにやってくる。

「策也ちんどうしたのぉ~?とりあえずトラップカード二枚は確保しておいたわよぉ~」

「早!流石天冉だ。つか狛里の倒したドラゴンのカードが、超ヤバいナンバーカードなんだ。話は後でするから、一旦全てのカードは恵美に預け、この場所から離れるぞ!」

「分かったわぁ~」

「了解なの‥‥」

「分かったし!」

そんな訳で俺たちは、東へしばらく走るのだった。


二十分ほど走った所で、俺は足を止めた。

「ここまで離れれば大丈夫だろう」

そういう俺に合わせてみんなも走るのをやめる。

「あのモンスター倒しちゃ駄目だったの?‥‥」

「いや、倒したのは良いけれど、おそらくアレはラスボス的なイベントモンスターだと思うんだ。つまり誰かが何かをした事であそこにドラゴンが現れた」

「その人があの場所にやってくるから逃げたって訳ねぇ~」

「まあそういう事だ。俺たちはまだ全然カードを揃えてないし、どんなカードがあるかも把握していない。そんな中で他のプレイヤーと対戦ゲームをしたら、まず間違いなく奪われるだろうからね」

俺たちは強い。

戦えば誰にも負けないだろう。

だけれどこれはゲームだ。

ゲームならゲームのルール内でと考える。

すると今の俺たちでは、ナンバー一番のカードを守りきる事はできない。

こりゃもうできるだけ誰にも会わないようにやるしかないぞ。

「このカード凄いし。効果も凄いけど、存在可能枚数がたったの三枚だし。しかも現存するのはこれ一枚だけだし」

誰も持っていないカードを、俺たちは手に入れてしまったんだ。

「とりあえずトラップカードがあるからぁ~、直ぐに取られる事はないわよねぇ~」

「おそらくな。『ハイスチール』より上のカードが存在しないとも限らないけどさ」

これからは町に行くのも避けた方がいいかもな。

俺はどうしようかと頭を悩ませていた。

すると狛里と恵美は、あっけらかんと答えを口に出した。

「ハイスチールよりも上位のカードがあったらあった時だし」

「取られてもいいの‥‥また倒せばいいの‥‥」

「一度や二度しくじってもいいし。這い上がるくらいで丁度いいし」

尤もだな。

これは俺の悪い癖か。

どうしても完全勝利を目指してしまって、それ以外は駄目みたいな考えになりがちだ。

政治を見ても、全て自分が正しいと思う結論を出してくれないと、その政権を否定的に思ってしまう。

でも色々な考えの人が話し合い、妥協しながら政策ってのは決まるもの。

三歩進んで二歩下がる。

分かってはいるのだけれどね。

尤も、俺が死んだ頃の日本の政治は、三歩進んで十歩くらい下がっていたんだけれどさ。

「細かい事を考えるのはやめよう。とにかくまずは湖まで行くぞ!」

「おー!」

「おお?なの‥‥」

「は~い!」

そんな訳で、カード管理に関しては恵美に一任するとして、とにかく今やるべきを続ける事にした。


しばらく走った俺たちは、湖があるとされる場所へと到着していた。

それまでにも色々とモンスターを倒しカードは手に入れられたけれど、ナンバーカードは一枚もなかった。

「そろそろ湖のある辺りなんだけれどな」

俺たちは走るスピードを落とし、辺りを確認しながら進む。

神眼で確認しても、湖らしきものはない。

「地図だとこの辺りで間違いないし」

「でも湖なんて何処にもないの‥‥」

「そうねぇ~。あるのは洞窟だけかしらぁ~」

「洞窟?!」

おいおいそういう事なのか?

湖は地上にあるものだっていう思い込みを逆手にとって、見つけられなくしている。

見ると確かに天冉の言う通り洞窟の入口らしきものが確認できた。

と言っても想像するような大きな入口ではなく、岩が割れて隙間から入れそうな見つかりにくい洞窟だ。

だからこそ怪しいというか、確信が持ててしまう訳で。

「入ってみるの‥‥」

「冒険って感じがするし」

「そうだな。行こう」

俺たちは洞窟へと入っていった。

すると間もなく、目的地を見つける事ができた。

「ここは‥‥」

「洞窟内に湖があるの‥‥」

なるほどこれは凄い。

洞窟内だから暗いのだけれど、うっすらと光がある。

そして湖自体も、ウミホタルがいるような輝きがあった。

これは絵にしたくなる湖だよ。

ずっと暗い洞窟の中でしか存在し得ない絵の素材。

俺はしっかりと魔法記憶に保存した。

「天冉、描けそうか?」

「大丈夫よぉ~。もう網膜に焼き付けちゃったわぁ~」

いや流石に網膜は駄目だろ。

普通に『目に焼き付けておいた』と言ってくれ。

それにしても、天冉がそう言う気持ちも分からなくはない。

ずっと見ていられる。

おそらく外に出ても、しばらくこの景色はオーバーラップするに違いないはずだ。

しばらく俺たちは、無言でその場に座っていた。

すると変わらない景色が、少し動きだした。

「おっ?光の位置が移動している?」

「水の中にいる生物が移動しているのかしらぁ~」

「浮島の位置も移動しているの‥‥」

「これは、もうしばらく見ているしかなさそうだし」

恵美の言う通り、俺たちは尚も湖を見続けたのだった。

ほんの一時(ひととき)が過ぎて動きが止まり、静かな湖が静けさを取り戻した。

そこで俺は立ち上がった。

「そろそろ行くか」

「そうねぇ~」

「このまま見てると寝そうなの‥‥」

「睡眠魔法のような効果もあるかもしれないし」

まあそんな効果はないけれど、暗くて神秘的な景色を見ていると眠くなるよね。

俺たちは洞窟の出口へと向かった。


今度は西へ向かって走り出した。

「来た道を戻るもの味気ないし、町を経由しつつクエストしながら向かうか」

俺たちが本気になれば、一ヶ月どころか一週間もあればトビウサギカードは揃うだろう。

今となってはね。

最悪ドラゴンカードはどんなナンバーカードにもなり得るのだから。

コピーカードと違うのは、効果をコピーするのではなく、持っていなくてもそのカードそのものに成り代われる所。

つまりコレだけに目的を絞れば、最速あと数時間もあればカードを揃えられると思う。

いや運が良かった。

そんな訳で俺たちは、時間もあるしゆっくりと町を巡りならが、クエストもこなしつつ西へと向かうのだった。


二日が過ぎた。

結局この間、大きなトラブルもプレイヤーに会う事もなく、順調にクエストをこなしカードを集めていった。

大したカードは手に入れていないけれどね。

それでもプレイヤーと出会った時に、何もできないって状況は脱していた。

そして、ようやく大きな岩のある所までやってきた。

「実物を見るとでかいな」

大阪城の石垣にある大きな蛸石(たこいし)よりも、比べ物にならないくらいに大きい。

エアーズロックなんかと比べると小さいけれどね。

ただ、東側面が真っ平らなのが凄いよ。

「ここに絵を描くのねぇ~」

「でもここ、兎のモンスターがいっぱいいるの‥‥」

「この中で絵を描くのは大変だし。普通無理だし」

岩の前には、兎のモンスターが沢山いた。

俺はとりあえず一匹の耳を掴んで捕まえてみる。

すると兎モンスターは直ぐにカード化された。

「何々、ハネウサギカードか。ナンバーカードではなさそうだけれど、多少は使えそうな魔法カードだ」

「どんな効果なのぉ~?」

「一度も行った事のない一番近くの町に瞬間移動できるってさ。相手が持っていなければ、確実に逃げられるんじゃないか」

この世界も瞬間移動は二キロがせいぜいかと思っていたけれど、やり方によっては可能なのかもしれない。

いや、町に限定されている事から、セーブポイントと似たようなものか。

つかそもそも、このゲーム自体何処かの島に飛ばされているのだろうしね。

「それじゃぁ~、どうしようかしらぁ~?」

「天冉が先に絵を描いてくれ。狛里と恵美は兎の耳を掴んて、片っ端からカード化してみよう」

ハネウサギカードは、上限が二百枚あるにしては存在枚数が十二枚しかない。

おそらく倒した場合はカード化されないか、別のカードになると思われる。

そもそもトビウサギの話を聞いていなければ、耳を掴んで捕まえるって行動は取らなかったはずだ。

「分かったの‥‥」

「頑張るし」

「あ、でも狛里は百匹限定な。それ以降は天冉に近づけないようにしてくれればいい」

狛里なら一瞬で上限までカード化してしまうだろう。

それじゃ恵美の特訓にならない。

尤も、恵美が捕まえられるとは思っていないけれどね。

ぶっちゃけ、これを捕まえるのはプロのデンジャーでも難しいはずだ。

それを捕まえられるようになるとしたら、恵美の素質は想像以上だし、トビウサギの方も捕まえられるかもしれない。

「こんなの捕まえるの無理だし!」

俺が簡単に捕まえたのを見て、捕まえる事くらいはできると思っていただろう。

力の差は計り知れないのだよ。

「頑張れ!」

俺は応援だけしておいた。

その間にも、狛里はドンドンと兎モンスターを捕まえ、既に百匹のカード化に成功していた。

次の瞬間には、天冉に近づく兎をただ払うだけ。

恵美は自分の事に集中していて見ていないけれど、狛里が普通じゃないのはもうバレてるよね。

そして間もなく、天冉の絵も完成する。

描くというか、能力で絵を印刷するようなもんだから早い。

さてこれでカード化は可能だろうか。

「完成したわよぉ~」

天冉がそう言うと、大きな岩が光りだした。

そして直後、絵は全て消え、天冉の目の前にコピーカードが現れた。

天冉はそれを手にとって俺の所に戻って来る。

合わせてみんなが集合してきた。

狛里は兎を払いながらね。

「はい恵美ちん」

「プリット!」

恵美は天冉からカードを受取り、ファイルを出して所定のナンバーポケットにカードを入れた。

「二十二番か。かなりレアだな」

「カードがキラキラなの‥‥」

「持ちカードで二番目にレアだし」

ドラゴンカードはフォログラム付きのウルトラレア仕様で別格だけれど、コピーカードはスーパーレア仕様といった感じだった。

「上限枚数は五十枚ねぇ~。現存数は現在六枚だからぁ~、上限まで集めればみんなを元の世界に帰せそうよぉ~」

「だな」

流石にこの面倒なクエストを何度もやる奴はいないか。

助かったな。

「じゃあこの調子で、今度は俺が描いてみるよ。兎の処理と、恵美は引き続き特訓だ」

「分かったし」

今度は俺が岩の前に行って絵を描き始めた。

天冉と同様に、直ぐに絵は完成する。

すると先程とは違う流れでカードが目の前に現れた。

楽勝だな。

そう思ってカードを見ると、コピーカードではなかった。

「メッセージカード?何々、『同じ絵では新たにコピーカードは取得できません』だって‥‥」

「あらぁ~。策也ちんとは同じ魔法だから同じ絵になっちゃったのかしらぁ~?」

湖を見ていた場所も違うから、完全に同じ絵にはならないはずなんだけれどな。

「もう一度試してみる」

俺はそう言って、今度は妖凛AIを使って少し記憶を操作し、絵を少しだけ変えてみた。

しかし結果は同じだった。

「メッセージカード。今度は『絵に間違いがあります』ってか」

なかなか難しいな。

湖なんて、何時見ても同じじゃないのか。

洞窟の中な訳だし天候が変わる訳もなく。

あれ?変わっていた?

「帰ろうとした時、少し景色が変わっていたの‥‥」

そう言えば。

「その通りだ」

俺は最後に見た湖を思い出しそれを描いてみた。

すると今度はしっかりと、最初に天冉が手に入れた時のように岩が光り、コピーカードを手に入れる事ができた。

「ちゃんとコピーカードみたいねぇ~」

「ああ。って事は、湖をずっと見て、変わる湖をそれぞれ描いていかないと駄目って訳か」

誰も大量に手に入れようとしない訳だよ。

だけれど、仕様が分かってしまえば俺にとっては余裕。

俺は恵美が必死に兎を追っているのを確認してから、コッソリ影の中に緑風(りょくふう)の一寸神を召喚した。

緑風は風系の能力に優れている。

素早く隠密に移動するにはこいつが一番だろう。

俺はこいつを再び東へと走らせ、ある程度離れてから鳥に変化させて上空へと上らせた。

視界にも入らない超上空を飛んでいけば、誰にも見つからず一時間も掛からない。

そんな訳で俺たちは、しばらくここで滞在し、恵美の特訓を続ける事にした。


少しの間恵美の特訓を続けた後、俺はみんなを集めた。

「今日はここで一泊するから。手に入れたテントのアイテムカードを使うぞ。テント!」

俺はファイルのフリーポケットからカードを一枚取り出し使用した。

すると目の前に大きなテントが現れた。

「説明では、一応弱い魔物が寄り付かなくなるって書いてある」

だけれど、兎モンスターの動きには全く変化がなかった。

兎モンスターは強い部類に入るのか。

「これじゃぁ~ゆっくり休めないわねぇ~」

天冉は、なんとなくだけれどみんなの家をご所望のようだな。

狛里もそろそろストレスが溜まってきているように感じる。

ここに来てから安宿に泊まってシャワーしか無いし、料理もそんなに良い物は食べられていない。

しゃーない。

恵美はもう仲間だし、多少能力を見せてもいいだろう。

誰かに喋る奴でもない‥‥よね?

「みんなの家を使うか」

「あるものは使いましょう~」

「賛成なの‥‥」

「みんなの家?」

「恵美には黙っていたけれど、もう仲間だからな。俺の本当の力をソロソロ見せてやるよ」

俺はそう言って、異次元収納からみんなの家を取り出した。

「うわっ!いきなり家が現れたし!」

「これは俺の魔法の一つだと思ってくれていい」

説明も面倒なので、おいおい話していけばいいだろう。

「策也が凄いのはなんとなく分かっていたし。驚いてはいないし」

恵美の表情は、言葉が嘘でない事を表していた。

まあ流石に分かっているか。

セバスクンとも手合わせしているし、ゲジを相手にもしているのだから。

そんな訳で今日から、俺たちはみんなの家をフル活用する事にした。


さてそれから一時間後、緑風が湖に到着して新たな絵を描くと、しっかりとコピーカードを手に入れる事ができた。

緑風とは視界なり記憶なりを共有できるからね。

しかしその後なかなか湖の景色は変わらず、ただ待つ時間が続く。

それで分かったのは、次に変化するまでに三十分を要するって事。

つまり次の日の朝までに最高二十四枚しかカードを手に入れられず、もう一日この場所で待たなければならない。

よって次の日は、ずっと恵美の特訓に時間を費やした。

そして手に入れたコピーカードは四十五枚。

やられ役の奴らは確か三十数名いたから、十枚以上は残りそうだ。

カードナンバー二十三よりも大きな数字の魔法カードなら効果をコピーできる訳で、使えるカードが手に入ればこれはかなりゲームを有利に進められるぞ。

そしてついでだけれど、ハネウサギカードも百八十九枚ゲットだぜ。

恵美が捕まえられたのは、結局たったの三匹だったけれどね。

それでもこの二日で、恵美は格段に動きが良くなっていた。

逃げる巧さを、攻撃にも活かした感じか。

恵美は先が楽しみな逸材だったよ。

そう思わせる成長だった。

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