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再会再会また再会

世界を見ると、日本人は小さく弱い存在であると思える。

黒人や白人は筋肉があり力強く体も大きい。

だけれど、肉体的弱さを卑下する必要はない。

何故ならそれは、日本人が身体能力に頼らずに生きてきた事の現れだからだ。

世界では頻繁に戦争が行われ、過酷な自然環境の中で暮らす事を余儀なくされてきた。

だから人々は自らの体を強く進化させるしかなかった。

日本にだって戦争はあったし、過酷な自然環境も無いではない。

しかし戦争をするのは一部の武士たちだけで、民はむしろ守られてきた。

過酷な自然環境も敵にはせず、頭を使い工夫して共生する道を選んだ。

日本人の多くは、体が強くある必要に迫られなかったのである。

それは日本人が穏やかで賢かった表れと言えるのかもしれない。

世界各国国民のIQを調べたものを見ると、それがハッキリと分かるだろう。

逆に言えば、身体能力の低い人種は、賢くなるしかなかったのかも知れないけれどね。

もしもその順序で考えるのなら、ある地域では救いを宗教に求めた人々もいたのかな。

或いは逆に宗教で争いを避けてきた可能性もある。

どういう理由かは分からないし、どう考えるかはそれぞれに任せるけれど、とにかく日本人ってのは身体能力では劣等民族と言えるのだろう。

だから剣道や柔術から、近年では合気道や空手といった武道に、武士道は邁進してきたんだろうね。


俺たちは警視庁本部へと来ていた。

大きな部屋に集められたのは、数十人のデンジャーたち。

この中にプロは何人いるのだろうか。

そもそも日本にいるデンジャーは、そう多くはないと聞いている。

もしかしたらプロは俺たちだけなのかもな。

ヤバそうな雰囲気を持っている者は一人もいなかった。

尤も、別の意味でヤバそうな奴はいるけれどね。

こんな奴に生前街で出会っていたら、目を合わせないよう避けていただろう。

やっぱり男は強くなくてはいけないと、今更ながらに思ってしまうよ。

「女性は少ないわねぇ~」

「そりゃそうだろ。能力が使えるって言っても、やはり肉体の強さは戦いにおいて有利だからな。それにボディーガードなんて危険な仕事、大切な女性に任せられる訳がない」

そうなんだよな。

戦いにおいて男性は戦う者であり、女性は守る者なんだ。

守られる者が戦う側にいるのは本来不自然極まりない。

例えば男性が九割死んでも、女性さえ生きていれば子孫繁栄は可能だ。

これが逆だと、人口は一気に減って社会が成り立たなくなる。

男性と女性はやはり違うものであり、適材適所があると言える。

「でも私たちはボディーガードするの‥‥」

「そうねぇ~。どうして私たちは危険な仕事をするのかしらぁ~?」

「そりゃ簡単だ。狛里や天冉にとってこれは危険じゃないからだ」

まあ例外もある訳で、それくらいは受け入れる余裕があってもいいだろう。

「強い女って損なのねぇ~」

「弱ければ三食昼寝付きだったの‥‥」

いや、食っちゃ寝ばかりいられても困るんだけどさ。

でも男としては、子供がいないなら好きな事をしていてもらいたいとは思う。

その代わり子供ができたら、子育ては一手に担ってもらいたいけれどね。

そんな話をしていると、部屋の奥にあるドアが開いた。

見ると最初に両津が入ってきて、その後に見知った人物が入ってきた。

「えっ?」

「これは驚きねぇ~」

「そっくりなの‥‥」

いやそっくりなんてもんじゃない。

まさしく本人だ。

部屋に入ってきたのは、俺たちのよく知る人物、あの時のままの『アーニャン』だった。

※詳しくは前作を見てねw

向こうもどうやら俺たちに気がついたらしく、驚いた表情を見せている。

これは正しく本人と確信が持てた。

アーニャンの落ち着かない態度を見て、両津が話しかけている。

「どうかしましたか?特別顧問殿?」

アーニャンが特別顧問?

「えっ?あっ、うん‥‥。ちょっと見知った人たちがいたので」

「ああ。あのプロデンジャーの三人はお知り合いでしたか」

お知り合いだけれど、知り合ったのは異世界なんだよな。

「ま、まあね。この後あの三人だけは僕が話をするから、別室に連れて行っていいかしら?」

おいおい僕っ子になってるぞ。

動揺して素が出たのかもしれない。

元男らしいからな。

「ええ、構いませんよ」

ふむ。

とりあえず後でゆっくり話せる時間はありそうだ。

今は大人しくしておこう。

俺は嫁隊にもそうテレパスで伝えておいた。

「おまたせした。今回東京サミットの警備責任者となった私は両津だ。それでこちらは特別顧問、日本の数少ないプロデンジャーである(あん)さんにも来ていただいた」

「安だよ。呼ぶ時はアーニャンって呼んでね」

この世界でもそれを通すんかい。

異世界とは言えここまで日本だと、どうしても生前の常識が残るものだと思うんだけどね。

しかしアーニャンはそうではないみたいだな。

「それでは早速仕事の話をさせてもらう。ここに集まってもらった皆には、各国代表のボディーガードを頼みたい。できれば一人につき一人だが‥‥」

そこまで喋った所でアーニャンが両津の袖を引っ張った。

そして両津に耳打ちする。

「あの三人なら上位三名を任せられるから、全部一人につき一人でいいわよ」

「そ、そうですか」

もしかして重要な人には二人以上のボディーガードを付ける予定だったのかな。

でも俺たちの強さを知っているアーニャンが、一人で大丈夫だとアドバイスした感じか。

「えー‥‥。一人に付き一人、護衛してもらうって話は既に伝えてあるな。誰が誰を護衛するかは、コレまでの実績などを考慮して、こちらで勝手に決めさせてもらうぞ」

「それでなんだけどー。僕とそこのプロデンジャー三人は既に護衛対象が上位四人と決まっているので、残りを両津くんと皆さんで決めてね」

「は、はい」

アーニャンはそう言って俺たちの方へと寄ってきた。

上位四人を俺たち四人でか。

「じゃあ行こっか?」

ココは何も言わずに付いていった方が良さそうだな。

そういう空気がヒシヒシと伝わってくる。

そんな中、集まったデンジャーたちから異論というか愚痴が聞こえてきた。

「あんな小娘がプロだと?」

「プロのデンジャーも大した事はなさそうだな」

「あの安ってのは何処かで聞いた事があるけど、他は全く知らねぇ」

「去年の末にプロになったばかりじゃないのか?」

「そう言えばテレビで一度見た事はあったが、戦闘系ではなかったはずだぞ?大丈夫なのか?」

「なんでだよ。俺は大国の大統領の護衛がしたかったぜ」

ああ、ああ、色々と言われていますなぁ。

まあうちらみんな弱そうだし、別に良いけどさ。

「大丈夫だ。彼女たち四人は腐ってもプロだからな。何かあれば協会が責任を取ってくれる。それでいてフリーで仕事をしてくれるのは、日本には彼女たち四人しかいない。そういう事だから文句は言わんでくれ」

「そういう事か」

「何かあっても大丈夫なように保険をかけているなら仕方がない」

「大国の大統領と知り合うチャンスだったのにな」

そういう目的で仕事に来る奴もいるんだな。

しかし日本にはプロのデンジャーが少ないみたいだ。

つか、少なくとも俺たち三人は日本人という訳でもないし、アーニャンも俺たちと似たような感じで日本人ではないかもしれない。

だいたい金髪だし日本人っぽくはないし。

色々いる世界だけどさ。

それにしてもどうして日本にはデンジャーが少ないのか。

この世界の日本も、きっと昔から平和な国なんだろうなぁ。

だから国民が強くなる必要がなかったんだ。

「楊ちゃん久しぶりなの‥‥」

「そうねぇ~。楊ちん元気だったぁ~」

別室に移動し四人になった所で嫁隊は話しかけていた。

「久しぶりー、元気だったよーって、どうなってんのー?僕ビックリしちゃったわよ」

「それはこっちも同じだよ。どうしてアーニャンがエルドラールにいるんだ?」

アーニャンは別に神って訳でもないだろうし、神だったとしても一緒に同じ世界に行くなんて普通ないよね。

もしかしたらそんな事もあるのかも知れないけれどさ。

「とりあえず座って話しましょう~」

「そうなの‥‥。できれば茶菓子が欲しいの‥‥」

「はいはい。ちょっと待っててねー」

そう言ってアーニャンは棚をあさって、マジで茶菓子を用意して持ってきた。

なんだか日本人っぽいな。

茶菓子が並べられ皆がテーブルに着いた所で、俺たちはとりあえず再開を喜んだ。

「また会えたのは嬉しいの‥‥」

「そうだな。ウインバリアでは挨拶もできずに俺たちは帰ったから」

「そうね。話は奇乃子から聞いたわよ。とりあえずお仕事達成おめでとう」

「おう」

話の噛み合わない所はなく、正真正銘のアーニャンだ。

「それでぇ~、どうしてこの世界にいるのぉ~?」

「それは僕も聞きたいのよ。そもそも僕はこの世界の住人なのよね。ウインバリアへは、僕の能力を使ってちょっと遊びに行っていただけ」

マジかよ。

まさか世界を移動できる能力を持っている者がいるとか。

「私たちは今回も仕事なの‥‥」

「つか、世界を移動できる能力を持っているのか?だったらまたウインバリアに行けるのか?」

「んー‥‥。移動というか、少し違うのよね。僕の能力は、寝ている間に異世界クエストのゲームができちゃうのよ」

「なんだそりゃ?」

とは言ったものの、寝ている間に異世界クエストか。

もしかしたらコレって、俺が半分死んでいた頃にイスカンデルに行っていたのと同じような感じ?

「僕が転生者だって知ってるよね。どうやら僕、死ぬ時に『永遠の眠りにつきたくない』って気持ちが凄く強すぎたみたいなの。そしたら転生した後、転生前の世界に似ているこの世界に来て、夜眠る事も許されなくなった訳ね」

「そうなのか」

理屈としては俺とはある意味真逆かな。

俺は半分死んでその部分だけが先に転生したような感じ。

半分だけ死んで眠りを殺した俺と、半分だけ生き残り眠りを生きようとしたアーニャン。

でも三百六十度回ってしまえば同じって所か。

「ただ、もう魔王を倒してゲームはクリアしちゃったから、ウインバリアには行けないわ。次のゲームが始まっちゃってるし」

「えっ?結局魔王を倒す事が目的でいたのか」

「あの時はハッキリとしていなかったけれどね」

なんだか世界には色々な能力があるんだな。

「最近までウインバリアにいたの?‥‥」

「うん。ウインバリアを出たのはつい二ヶ月前くらいだから」

「そうなのねぇ~。それで今ウインバリアはどうなっているのかしらぁ~?神様は誰になったのかしらぁ~?」

それは俺も気になっていた。

奇乃子が男になれたのかとか、黒川が神になったのかとか。

「私が魔王を倒して、奇乃子が神になった事で私のゲームは終了したみたい」

「おお!そうなのか。奇乃子は男になれたんだな!良かった」

でもせっかく可愛い女の子だったのだから、俺としてはそっちのが良かったかもしれないんだけど。

「イケメンになったのぉ~?」

「んー‥‥。イケメンって言うかぁー‥‥。ドラゴン?」

「ドラゴン?」

ナニソレ?

「そう。ファフニールだったかなぁ。私が倒した魔王がリンドヴルムだったんだけれど、どうやらその魂も吸収したみたいなのよねぇ」

「ファフニール?リンドヴルム?」

ちょっと待て。

奇乃子がファフニールになるってのは分からなくはない。

ファフニールはドワーフがドラゴンになったと云われているからね。

でも何故リンドヴルムの魂が‥‥。

「あっ!それって正確な日時は分かるか?何日前ってか、何月何日かだけでもいいんだけどさ」

「えっと‥‥。十二月一日だったと思うよ。僕がゲームクリアした日だからね」

やっぱりそうか。

七魅が何故か苦しんだバグ世界。

あの時アレが何か作用したんだ。

つまり奇乃子は七魅のドッペルゲンガー的な位置にいる者だったという事で間違いなさそうだ。

それにしてもドラゴンも神様になれるんだな。

いや、ファフニールはともかく、神となっているドラゴンは沢山いるじゃないか。

そう呼ばれる存在であっただけかもしれないけれど、神が人間である必要もない。

「そっか。奇乃子が神にねぇ」

「だったらまた会えるかもしれないの‥‥」

「そうねぇ~。神ならあのバグ世界にも行けるだろうしねぇ~」

「おお!そうだな」

神ならそのうち気づくだろう。

「バグ世界?奇乃子が神を倒した場所よね?」

「ああ。実は今も俺たちはその場所に行けるんだ。って、アーニャンは入った事あったか?」

「ないわよ」

だよね。

少なくとも俺はアーニャンに話した事もなかったからな。

「まあとにかく、その世界でいずれは会えるだろうって話だよ」

「そこ、僕も行けるのかしら?」

‥‥。

「どうだろう。アーニャンはウインバリアのセーブポイントに行く魔法を覚えているか?」

「そりゃね。僕の能力は異世界で覚えたものも有効なのよ」

「それを俺が使ったとして、場所をコピーしたりはできるか?」

俺なら神眼でおそらく可能だけれど、普通は少女隊がやったように合体でもしないとコピーはできない。

天冉が闇の家に入る為に、深淵の闇を覚えたのとは訳が違うはずだ。

深淵の闇は魔法と座標が一体となっていたけれど、セーブポイントへの瞬間移動は、瞬間移動に座標を設定する形となっている。

セーブポイントでセーブしない限り、そこには行けない。

「それは無理かなー」

「そうだよな。だけどセーブポイントに飛ぶ魔法を覚えているなら、セーブポイントを触ればそこには行けるよな?」

「うん、それはね」

「だったら、俺はセーブポイントになっている。俺を触ってセーブしてくれ。そして俺がバグ世界に行き、その後俺の所に飛べば行けるはずだ!」

そうなんだよ。

俺たちは直ぐにお互いの所へ飛べるように、セーブポイントにしていたんだ。

「策也がセーブポイント?」

「そうだ」

俺はそう言って右手を出した。

アーニャンがそれを右手で掴む。

つまり握手だな。

するとアーニャンは何かを感じたようだった。

「わわわー!本当だわ。一瞬僕の体が同じ位置に飛んだのを感じたわよ」

「ならば行けるだろ」

セーブポイントでセーブした場合、一度前回のセーブポイントに戻ったりする訳だけれど、この世界にそんな場所はないから同じ位置に移動したのだろう。

「よし。じゃあ一度バグ世界に行くぞ。俺の姿が消えたらセーブポイント『策也』に飛んでみてくれ」

「分かったわ」

俺はすっかり護衛任務の事は忘れて、バグ世界にある家へと飛んだ。

すると間もなくアーニャンもやってくる。

「こられた!」

「だな」

「私も来てみたの‥‥」

「私だけ残るのはいやよぉ~」

‥‥。

ちょっと待て。

みんな来ちゃったらどうやって戻るんだよ。

家には戻れるけれど、警視庁にはもう戻れない。

まあ話を聞ければいいから、アーニャンがいればいいのか?

そんな事を考えていたら、追加で奴らもやってきた。

狙ったようにここに来られるのは、少女隊以外にはいない。

「やっぱりご主人タマが来ているのです」

「知ってたのね。ご主人タマに会いたかったのね」

そういって二人は俺の首を狙ってクロスチョップしてきた。

しかし知らないアーニャンに気が付き、途中でスキンシップはやめにしたようだった。

「知らない人がいるのです」

「妃子は人見知りなのね。知らない人は連れてこないでほしいのね」

いつから人見知りになったんだ。

「えっと、こちらはアーニャンだ。ウインバリア時代の仲間だな」

「アーニャンだよ」

アーニャンは深くお辞儀をした。

「これはこれはご丁寧になのです」

「よろしくなのね」

少女隊もお辞儀をした。

「これでアーニャンは知り合いだ。連れてきても大丈夫だな?」

「知り合いだったのです」

「大丈夫なのね」

少女隊が単純なアホで良かったな。

「それでこれから、アーニャンにも、ここを自由に使ってもらおうと思うけど良いよな?」

「もちろんなのです」

「もうマブダチなのね」

挨拶しただけでマブダチになれるとは、世界が少女隊だけなら平和なんだろうなぁ。

‥‥。

そうでもないか。

「えっ?自由に使っていいの?」

「えっ?あ、うん。個人の部屋には入らないようにしてくれれば、後は自由に使ってくれ。戻る為のセーブポイントは、お好みの場所に俺が作ってやるよ」

「ウインバリアの頃も凄いと思ったけど、今の方が凄いと感じたわ」

アーニャンはそう言って目を丸くしていた。

そう言えば、今更だけれどアーニャンとの付き合いはそんなに長くは無かったか。

でもこれからは長い付き合いになりそうな気がする。

ならばこれくらいはいいよね。

「それじゃ外も案内するの‥‥」

「そうねぇ~。この世界は外の方が面白いものねぇ~」

「菜乃が一番に外に行くのです」

「そうはいかないのね。妃子なのね」

そう言って何故か少女隊は競って出入り口へと走っていった。

本気で走れば一瞬だけれど、こういう時に魔力を使わないのはお約束。

って、アレ?

今外に強大な魔力を感じたんだが‥‥。

なんでバグ世界に入って来られるんだ?

「外に何かが来たの‥‥」

「この魔力わぁ~、相当強い何か魔物かしらぁ~」

嫁隊の言う通り、これは確かにヤバい魔力だ。

正直魔力だけなら天冉よりも上か。

そして俺に近い魔力を持っている。

これじゃ、神じゃないか。

「あれ?神?」

「この魔力は奇乃子だわ」

アーニャンの言葉に、俺たちは一瞬で家の外に出た。

家の前には、巨大なドラゴンが立っていた。

「ご主人タマ!ドラゴンの襲撃なのです!」

「退治するのね!妃子に任せるのね!」

「いやちょっと待て!」

俺は慌てて少女隊を止めた。

「策也、それにみんなも久しぶりなのだ!」

これは驚いたな。

ドラゴンの姿は正に七魅と瓜二つだった。

「久しぶりだな奇乃子」

「奇乃子ちゃん久しぶりなの‥‥」

「大きく育ったわねぇ~」

「ご主人タマの眷属なのね?」

「ペットなのです」

これこれ少女隊、失礼だぞ。

「ウインバリアの神になったんだってな」

「神なのね?」

「私たちと同じなのです」

正に三世界の神が集結か。

「そうなのだ!無事男になれたのだ」

神になるより男になれた事の方が重要みたいだな。

しかしドラゴンで良かったのか?

「見た目はえらく変わっちまったな」

「格好いいのだ?だけど惚れられても男には用はないのだ」

俺もお前には用はないぞ。

「だけどぉ~、それだと家にも入れなくて不便じゃないかしらぁ~?」

「策也ちゃんなら姿を変える事もできるの‥‥」

「ああ、そうだな。俺が適当に人間の姿にしてやろうか?」

「俺は神なのだ。そのくらい自分でできるのだ」

そう言われればそうだな。

ドラゴンから人間に変化するくらい、そもそも当たり前か。

「じゃあなんで人間の姿にならないんだ?」

「それは‥‥」

その時、再び新たな人の気配を感じた。

「奇乃子様、こちらにいらしてたのね。撫子を置いて行くなんて、意地悪ですよ」

‥‥。

一瞬時間が止まったような気がした。

まさか‥‥。

「あれ?結局撫子は奇乃子を選んだのね。おめでとう」

アーニャンよ。

そんなに簡単にこの二人を認めていいのか?

撫子の事は孔聞が好きだったんだぞ。

つか撫子と結ばれる人は、絶対に金持ちにはなれない定め。

だって金持ちになったら、撫子の尻に敷かれるのだから。

「悪かったのだ。すぐに戻るつもりだったのだ。策也そういう訳なのだ。またそのうちゆっくり話すのだ!」

奇乃子はそう言うと、自分のいる所に闇の穴を作りそこに飛び込んでいった。

メチャメチャ逃げたな。

「それじゃあ皆さん、ご機嫌よう」

撫子は特に再会を喜ぶでもなく、いつも通りの対応で何処かへと走っていった。

「聞くまでもないとは思うけれど、あいつら結婚する事になったんだな?」

「奇乃子が男になったら結婚するって、撫子はずっと言ってたのよ」

なんだろう。

ハッピーエンドで終わったアニメの続編を見たら、全然ハッピーじゃなかったってオチを見せられたようだ。

あまり深くは考えないでいよう。

考えると大東亜戦争で負けた時のような気分になるから。


奇乃子たちが去って、俺たちはようやく護衛任務の話を聞いた。

仕事は一週間後の二十八日から三十一日までの四日間。

初日は空港に迎えに行ってホテルまでの護衛。

その後二日はサミット本番で会場も警備する。

そして三十一日はホテルから空港までの護衛という事になる。

護衛対象は、俺はアメリカ大統領の『ダック・スペード』。

狛里は中国の『拓斗(たくと)ぎゅう』総書記。

天冉はロシアの『スター・リング』大統領を担当する。

そしてアーニャンはイギリスの『パーマ・ストーン』首相。

どれも際どい名前なのは、みたまのセンスという所で。

ボディーガードの話をした後、俺たちはとりあえず再会を祝った。

奇乃子たちは戻って来なかったけれど、いずれまた会う事もあるだろう。

その時は土筆や孔聞も一緒に‥‥は無理かな?

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