第六話「覚醒への兆し」
広場を後にし、田中とエリスは山道のような小道を進んでいた。木漏れ日が差し込む中、エリスが口を開く。
「田中さん、次の試練では、さらに深く神の力に触れることになります。ただ、その力を覚醒させるためには、自分自身と向き合う必要があります。」
「自分自身と向き合う? どういうことだ?」
エリスは立ち止まり、田中を見つめた。
「あなたの心の奥底にある恐れや迷い。それを克服することが重要です。」
田中はしばらく黙り込んだ。幼い頃の挫折や、これまでの人生で避けてきた問題が脳裏をよぎる。
「俺には、そんな大層なことができるのか......」
エリスは優しく微笑みながら答える。
「あなたなら必ずできます。神は決して選び間違えません。」
その言葉に背中を押され、田中は再び歩き出した。やがて彼らは霧に包まれた湖にたどり着く。その湖面には、田中自身の姿が映っていたが、どこか違和感がある。
「これは......俺?」
湖面に映る田中は、どこか冷酷で無表情だった。突然、湖面からその影が実体化し、田中の前に立ちはだかった。
「俺自身が敵なのか?」
影の田中は無言のまま、一撃を放ってきた。田中は咄嗟にかわしつつ、心の中で自問した。
「俺の恐れって、何なんだ?」
エリスの声が響く。
「自分自身を受け入れること。それがこの試練の鍵です。」
田中は深呼吸し、影の自分に向き合った。そして、自分がこれまで避けてきた後悔や不安を一つずつ思い返し、それを受け入れる覚悟を決めた。
「俺は俺だ。この力を、正しく使ってみせる!」
その瞬間、田中の体が眩い光に包まれ、影の田中は静かに消え去った。湖面も穏やかになり、エリスが近づいてきた。
「おめでとうございます、田中さん。これであなたの力はさらに高まりました。」
田中は肩の力を抜きながら、ほっと息をついた。
「これで終わりじゃないんだろ?」
エリスは微笑みながら答えた。
「はい、次の試練も控えています。しかし、あなたなら乗り越えられます。」
田中は拳を握り、強い決意を新たにした。
「よし、次も行こう!」
覚醒への第一歩を踏み出した田中一郎。彼の神への旅路は、まだ続いていく。