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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第3章:友愛の楽譜編
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楽譜40.ヘルター・スパイダー5

 

「不安な気持ちもあるが、私たちを信じてほしい!」


 不安があったことがまるで、嘘のように会場の人々の表情は、柔らかくなっていた。そして、一人の人間が声を上げた。


「レシタル様、大丈夫です!今年の記念祭決行は、最終的に市民が判断したのです」


 私でも知ってる。ニュースでも流れる音楽の取り締まりが、最近は更に厳しくなっている。


 今まで聴いていた曲が、突然インターネットから消えたり、音楽に関するエンタメも突然の中止。毎年の記念祭は誰もが、中止になると思った。


「そうです!政府の動きが活発で不安の中、今年は記念祭中止になると思いました。でもレシタル様は、記念祭を開催してくれました!」


 会場にいる皆は、厳しい社会の中記念祭を開催してくれたレシタル様に感謝しているのだ。それは、私もカルイザワの市民として当然だ。


「ありがとう皆」


 事態が起きてしまったが、それは結果論に過ぎない。皆はそれを理解してくれた。


「では、脱出しようではないか、作動した機械があるならば、解除の術はあるはずだ」


「レシタル様、解除の方法は存じ上げています」


「何?」


 レシタルさんは、ズカズカとオルガノさんの元へ駆け寄った。先程までの温厚なレシタルさんの表情は一変する。


「オルガノこの事態を知っていて、黙っていたな」


「申し訳ございません。レシタル様」


 深々と頭を下げる様子は、心の底から罪悪感に溢れているようだった。この事態を知っていたらならば、会場の人間が危険に晒されることを、承知していたんだ。


「…オルガノまた私か」


「罰を受ける覚悟はあります」


「時間がない、解除方法を伝えろ」


 そう、時間はない。この場の人間の命が、奪われる可能性がある。二人にどんな関係が、あるかわからない。だが、早く事態を解決しないと!


「解除方法は単純な構造です。会場の床はタイルの絵柄に合わせる形でへこんでいます」


 やっぱり床の仕掛けは、意図的に行なっているのか…一度のへこみで最大4カ所。これは何かの法則性だろうか?


「この仕掛けと同時に床を踏むことが条件のひとつ、いわば解除コードと思えば良いでしょう」


「解除コードですか」


 床を踏むという事は、ツイスターゲームのように決まった箇所を踏めば、終わるはずだ。しかし、そう簡単には物事は進まない。


「ただ、踏むだけでは意味はありません。的確なタイミングが必須条件です」


 やっぱり簡単には、済ませてくれないか。ヒントは床の仕掛けが作動する時と音。ヒントが少なすぎる。せめてタイミングが、合わせられる何かが必要だ。


「踊りなら適任がいる」


 会場の端から、レシタル様はカツカツと靴音を鳴らし、近づいて来る。あれ?レシタル様は私達の元へ来ている?


「セレナーデ、ディアリマ踊ってくれないだろうか?」


 レシタル様はなんと、私たちの前に来て手を差し伸べる。信じられない。会場は全員踊りの達人は多くいるのにだ私達を選んだ。


「私が!?」


「あぁ、君達踊りをずっと見ていた。無駄の無い踊りもそうだが、踊りに感情が乗っていて素晴らしい。お願いしたいんだ」


 こんな重要な役割を私が担うなんて!私の行動が人の命に天秤をかけている。先程までの作戦とは、違う。守るだけじゃ皆を救えない!


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