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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第3章:友愛の楽譜編
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楽譜39.ヘルター・スパイダー4

 

 メガロス城の戦闘が始まった数分前、ディアリマは計画通りに、セレナーデと共に踊っていた。


『何も起きないわ』


 舞踏会が始まったが、驚くほどに何も起きない。愉快な演奏が響く会場で、怪しい人間が居ないのか、探っていた。


「おい、周りを見るな怪しまれる」


「悪いわ、集中する」


 いけないわ、踊りに集中出来てなかった。警戒も大事だけど、私達の作戦が、バレるとこの計画はおじゃんだ。


『このまま、平和に終わればいいけど』


 しかし、セレナーデは踊りが上手だわ。ステップや私をリードする姿は、踊りの経験が豊富な証拠だわ。現に周りの人達は、私達の踊りを見ているわ。


『護衛と言うことを忘れてしまいそうだわ』


 セレナーデと息を合わせ、手を取り合いながら旋回する。靴音がカツカツとリズム良く、床に響く。ピッタリと息が合う時、踊りはやっぱり楽しいことを実感する。


 そして、今度は大きく回って旋回。この時ドレスがふんわりと広げられ、見ている人を魅了するだろう。


 右足を軸に回ろうとした瞬間、会場内から大きな轟音が響く、その衝撃で全員が動きを止めた。


「なに!?」


「すごい音がした」


 華やかな演奏が一瞬にして、無に帰る。すると床したから、カチカチと一定の音が鳴る。突然の出来事に皆んな動かずに居た。


「皆頭を低い体制にしろ!」


 レシタルさんが、声を荒げて反射的に全員がしゃがんだ体制になると、まるで、遊園地のアトラクションのように、視界が周り始める。


「部屋が回っている!?」


 カチカチと床下の音を鳴らす。窓を見ると、外の景色がどんどん見えなくなってきた。床下からの音が止むと、ようやく動けるようになった。


「レシタルこれは一体」


「こんなの、初めてだ。先程の巨大な音も気掛かりだ。まずは避難しよう」


 警備員達が出入り口のドアノブに手を掛けたが、なんと、扉は開かなかった。窓は先程の回転で入り口が塞がった。私たちは会場に閉じ込められたのだ。


「私達出られないの」


「なんで俺たちはただ、記念祭を楽しんでたはずだ!」


 人々は閉じ込められた空間に戸惑いの声を上げる。しかし、現実は甘くなく何も変わらない。


「城の防衛が作動したのでしょう」


 だが、この場にただ一人、冷静な人物が居た。レシタルの秘書オルガノだ。発言から彼女はこの騒動の原因をわかっているようだ。


「この城内で誰かが、コードを使ったのでしょう」


「イロハか敵が使ったのか」


「ええ、この機械は楽譜を守る要塞でも、あるのです」


 確かにこの空間は、出入り口が塞がっている。今から会場へ入ることは、困難だ。だが、コードとは一体何?


 機械を作動させるものがあるなら、止めるものが必ずあるはずだ。ぐるりと周りを見ると会場は出入りが、塞がっている以外変わってない。


 カチカチカチ


『この音は一体?』


 部屋が動いた時とは少し小さな音だ。耳を澄ませると、私の足元から聞こえる。床をじーっと見つめて、根源を探る。


『床がへこんでいる』


 音に合わせて、会場の床が不規則に下へ凹んでいる。これはこの部屋から脱出する手がかりなのだろうか?


「イロハ、聞こえているか」


『シナヴリアさん聞こえています。大変なんです!』


 通信機を手に取ったシナヴリアさんは、イロハに連絡する。通信機の声からは、慌てた様子が伺えた。


『この城爆弾が起動したんです』


「それは本当なのか?イロハ」


「はい!恐らく政府が、楽譜と私達の殺害が目的なんです。早く脱出を!』


 なんてこと!?城の防衛機械がまさか、こんな使われ方をするなんて、政府の人間はこの機械を知っていたんだ。


「爆弾!?私達しんでしまうの?」


 不安の波は多くの人を巻き込んでいく。マズイこのままでは不安が大きくなって、何をするのか分からない。


「皆!大丈夫だ!この場の人間の命は、私が守る!」


 胸を張って宣言する彼女の姿に、全員が注目する。不安の中で彼女の声は会場の皆に勇気を与える。


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