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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第3章:友愛の楽譜編
35/45

楽譜35.プリンセス

「すごい人皆ドレスやタキシード、本格的だ〜」


 ディアリマが組織に介入して、翌日。私たちは記念祭の会場である、メガロス城に居た。


 会場の人たちは、普段目にしないような煌びやかな格好にまみれていた。


「年に一度の祭り、カルイザワの皆が居るわ」


「だから、若い人達も多い訳か」


 周りを見ると、私たちのような年頃の若者も多い。この記念祭はとても賑やかそうだ。ちなみに私も今回の為にドレスを用意してくれた。


「それに私、舞踏会なんて初めて」


 レーテの組織を表す紺色のドレスは、床に着きそうなほど長い丈で、歩きづらさはあるが、ふんわりとしたレースやリボンは、特別感がある。


「イロハ今回は護衛だよ」


「わかってるよテトラ」


 私以外にもテトラ達も正装だ。テトラも真っ黒なタキシードに、きちんと整えられた髪型は、テトラはとても大人っぽくみえる。


「あの人って」


 私たちの方へ走ってくる、小柄な人物に私は見覚えがあった。その人物は真っ先にシナヴリアさんへ飛び掛かった。


「シナヴァリア〜」


「久しぶり!」


 シナヴリアさんが広げた腕の中には、今回の記念祭の主催者である、レシタルだ。二人は久々の再会を噛み締めていた。


「おぉ!組織のメンバーが、増えているではないか!」


「そう!期待の新人だよ」


「は、はじめましてイロハです」


 初めて生で見た!こんな有名な人にお会いするなんて、光栄だ。今日は精一杯護衛しないと…


「緊張しなくて良いぞ、今日はよろしく頼む」


 にっこりと笑ったレシタルさんは、緊張していた心が解れた。握手を固く交わした。そして、パタパタと一人の女性が来た。


「レシタル様離れないでください」


「すまん、すまん、」


 オルガノのと呼ばれている女性は、レシタルさんと近しい関係に感じる。現に二人は、互いに笑みをこぼしている。


「私の秘書オルガノだ」


「みなさま本日はよろしくお願いします」


 ーー✳︎ーー✳︎ーー✳︎ーー


「さて、舞踏会の前は、食事をしようではないか!」


 舞踏会の時間は18時から、時間はまだある。食事会場は記念祭参加者の人たちで溢れていた。


 テーブルの上には、色とりどりの料理に上品なスイーツがあり、見るだけでお腹が鳴りそうだ。


「美味しそう」


「スイーツがいっぱい」


「フルーツタルト…全部シャインマスカット」


 しかし、毎年こんなにも楽しい行事のある、カルイザワはなんと魅力的なものか…こんな行事が可能なのは、レシタルさんの尽力だろう。


「君たちは客人だ。好きに食べろ」


「ありがとうございます」


 さて、ここでも警戒は解かずに、程よくエネルギーをチャージしよう。まずは…このフルーツタルトにしよう。


「いただきます」


 タルトを皿の上に乗せて、フォークで一口サイズに分ける。生地はホロリと、砕かれる。


「おいし…」


 フルーツは水々しく、とても甘い。生地はシンプルな味で、いくらでも食べられそうだ。テトラはチョコレートケーキ…あれもあとで食べよう。


「やぁ、ドネ美味しいかな?」


「うん」


「セレナーデ甘くない物は、あっちのテーブルにあかるからな」


 レシタルさんと話している姿を見ると、皆と仲睦まじく食事を楽しんでいた。これから護衛だが、つい会話に耳を傾けてしまう。


「親しいね」


「うん、毎年会ってるからね」


「確かに納得する」


 食事もした後、会場の外はすっかり暗くなっており、舞踏会は間も無く始まる。レシタルさんは会場中央に立った。


「今年もこの記念祭を開催出来たことに、感謝する」


 命を狙われる身でありながらも、記念祭を行ったのは、カルイザワに住む人々のためなのだろう。


 会場に入ってからは、皆んなから親しそうに話している姿は、多くの人が楽しみしている記念祭、絶対に守ってみせる。


「今日は存分に楽しんでもらいたい!」


 高らかに開始の宣言をする。舞台の演奏者が楽器を奏でられる。作戦はセレナーデさんとディアリマが踊っている中、客人達の警戒する。


『イロハ、テトラ出入り口の警戒よろしく』


「もちろんです。シナヴリアさん他はよろしくお願いします」


 通信機でシナヴリアさんの指示で、私たちは出入り口付近を警戒する。レシタルさんと楽譜の一番近くにはシナヴリアさん。


 窓付近はヘードネ、エレオス、シンフォニアさんの守りは十分。華やかな音楽が流れる中で、私たちはより一層警戒心を高める。

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