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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第3章:友愛の楽譜編
33/45

楽譜33.キンチョウ・チョウオウ


「レーテにいれて頂戴イロハ」


 ディアリマは覚悟を決めたように、握る手に力がこもった。なら、私も貴方を危険な世界へ連れて行った責任がある。


「わかった。私はディアリマを此処に引き込ませた、絶対に守るよ」


「あら、頼もしいわでも、私は守る術は身に着けるわ」


 ディアリマはただ守られるだけではない。自分もこれから戦う人間のことを示す。彼女の本気度はきっと皆に伝わるだろう。


「ありがとう…ちょっとごめん」


 携帯からの着信に手を取ると、相手はシナヴリアさんからだった。携帯の通話ボタンをタップをして、応答する。


「はい。イロハです」


「やっほーお話は終わったかな?」


 まるでこちらのタイミングを見計らったかのような話し方に、全て見透かされている気がした。シナヴリアさんは、いったいどこまで私たちの行動を予想していたのだろう。


「今ちょうど終わりました」


「そうか、悪いけど別荘に戻れる?予定が急遽変わってね。フルート吹きの子も連れて行ってね」


 自分の存在をディアリマに明かしたから、今日から本格的に作曲をしようとしたが、急遽予定変更。何かあったのだろう。


「わかりました。直ぐに向かいます」


「おねがいねー」


 さて、今日の練習は無くなってしまったが、ディアリマに皆を紹介しよう。準備をしてもらって申し訳ないが、仕方ない。


「ディアリア皆に紹介したいから、着いて来て」


「えぇ案内して頂戴」


 楽器をテキパキと片づけて、私たちは皆の待つ別荘へ向かう。今日は朝から快晴で暖かい日差しが私たちを照らす。


 野原から林へ入って、歩いて数分後、見慣れた別荘へ到着だ。


「ただいま」

 扉を開けると、テトラが私たちを玄関で待ってくれた。隣のディアリマを見ると緊張をしているのか、歩き方がどこかぎこちない。


「イロハから聞いてるよ、皆集まっているよ」


「うん、ありがとう」


 パタパタと三人の足音だけが響く。静寂さもあって、ディアリマは少し緊張した様子で、表情が硬くなっているようだった。


「緊張しなくて大丈夫だよ」


「緊張するわよ…ここの別荘一等地じゃない…」


「そうなの?」


「アンタね!」


 そういうことか、私はなにも分からずに別荘で過ごしていたが、さすが現地民。土地勘が分かっている。でも、話したらディアリマはいつも通りの様子に戻った。


「ただいま、もどりました」


「主役の登場だね」


 談話室へ入ると、既に各々席に座っていた。シナヴリアさんは私たちの前に歩み寄る。


「しっかりと、話せたんだね」


「はい、シナヴリアさんのお陰です」


「選んだのは、君だよ」


 もし、あやふやなまま今日を迎えても、何も変わらなかった。ディアリマの言葉で心の枷が外れたようだった。今はとても清々しい気分だ。


「初めまして、ディアリマ。俺はレーテのリーダのシナヴリアだ」


「ディアリマです!」


 差し出された手をディアリマは握り返す。シナヴリアさんは、彼女の緊張をほぐすように優しく言葉を紡ぐ。


「緊張しなくても大丈夫。此処に居る皆は音楽が好きだ」


「はい!イロハから聞いています」


「君はどうしてレーテに入りたのかな?」


 ディアリマの考えと組織にあっているのか質問をする。陽気な雰囲気から一変し、空気が重く張り詰めた。


「私は演奏は決して上手ではありません。しかし、ここでは時代に負けず、演奏の技術を磨けると思ったからです」


 シナヴリアさんは、シナヴリアさんは彼女の返事を聞くと、太陽のように優しく微笑んだ。周りの皆は歓迎するようにパチパチと拍手をする。私も拍手に合わせた。


「ようこそ、レーテへ君を歓迎するよ」


「ありがとうございます!」


 新しい居場所を見つけたディアリマは本当に嬉しそうだ。私も演奏の腕も、作曲を磨かないと!


「じゃぁ、三人は空いてる席に座って、話始めるから」


 そうか、ここに呼ばれた理由は、今日の特訓が急遽無くなったからだ。言われるまま、空いてる席に腰を掛ける。


「急遽入った情報でね、特訓を続けたいのだけど…話が少し変わった」


「これは…」


「これって、記念祭の」


 談話室の大型モニターには、大きな城が映っていた。私は初めて見る建物だが、ディアリマには見覚えがあるようだ。


「ディアリマは記念祭のこと知ってるね」


「はい、地元民なので明日ですよね?」


 記念祭?何かのお祭りなのかな?あまり別の街は知らないから、ここはディアリマに任せよう。


「そう、北カルイザワでは毎年、記念祭があるんだ。音楽を祝う意味でね」


「音楽を祝うのですか、いいですね」


「毎年カルイザワだと、ビックイベントだよ~」


 いいなー音楽を祝うから記念祭は、大いに盛り上がるイベントだろう。それに私達になんの関係が?他人ごとに想像していたが、記念祭はそうじゃ済まなかった。


「その記念日のメインイベントの舞踏会でセラピア(癒し)の楽譜が展示されるんだ」

ディアリマ正式介入です。次回から皆が舞踏会へ潜入します!

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