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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第2章:快楽の楽譜編
20/45

楽譜20.クレデンス・ユスティティアム2

 私達は政府の迎撃に備えて楽器を手に持ってる。

 その理由は、演奏によってオン源を生成をするためだ。


「音声大丈夫?」


 背後のスピーカーから、クリアな声が聞こえてきた。外に出たシナヴリアさんの声だ。


「演奏の入りはイロハ、全体の指揮は任せるよ」


 これからの演奏の指示を出され、より一層緊張感が走る。

 楽譜は知っている曲だ。何度も弾いたことがある。


「演奏は固いもんじゃないから、楽譜の解釈も自由に固くならずに好きに弾きなね」


 好きに弾く?楽譜の解釈の自由?あれ?自由に弾くってなんだ?

 楽譜の通りに弾けば大丈夫かな。時間は暇はない。演奏をしながら、考えよう。


「さて、演奏始めるけど、いいかな?」


 始めるのは良いが、シナヴリアさんは私達の姿は、見えてるのだろうか?

 楽器の動作で次にどんな音が出るのか、分かってしまうのか?


「シナヴリアさん私達の姿みえるんです?」


「音で姿見るよ、コードも俺が合わせるから」


 音で姿がみえる。言っている意味が少し難しい。

 楽器って弾く前こんなに考えていたっけ?


 ダメだダメだ!私が一番重要なパートが多い。

 邪念禁止!と一人で自問自答をした後、演奏前の準備は大丈夫だ。


「わかりました。お願いします!」


「じゃあ始めよう」


 周りの皆と目を合わせて、タイミングを計り、ヴァイオリンの弓を弾く。最初の入りは失敗しなかった。皆初めて合わせるのに、正確に楽譜の音を奏でている。


『外からシナヴリアさんの曲が聴こえてきた』


 スピーカーから聴いたことのある旋律、これはシナヴァリアさんの楽譜だ。

 羽のように優しくを包み込んでくれるような曲。


 フィレオーの曲は何度も聴きたくなるような、曲だ。


『複数の楽器が奏でる音が一体となって、美しいハーモニー私たちの曲がさらに美しく聞こえる』


 私たち以外にも、楽器は自動で演奏されている。プログラムされた正確な音が出されている。

 

 シナヴリアさんが外でコードを使っているのだろうか?

 私たちの曲が一体化しているように感じる。


『あれ?ここの部分こんなに楽しい感じだったかな』


 音の中に一ついや、二つ以上は楽譜通りに演奏されていない。

 それでも、雑音じゃない。なんだか、心が弾んでしまう音だ。


 また!変なこと考えすぎだよ、今まで楽譜通りに出来ていたでしょ自分!

 もっと、綺麗に弾かないとじゃないと、私はこの場の存在意義がない!


 余計な邪念だろうか、神様は曲に集中しろ!と言わんばかりに弓を引く手が僅かにズレた。


『間違えた!?』


 明らかに耳障りな音で曲が台無しになってしまった。

 間違いを挽回しようにも、手が動かない。


 違う、違う、あー手が動かない、違う、違う!


 何度も、何度も引き直そうとしても間違えてしまう。


 どこから、引き直そうか?と考えている隙に楽譜は自動で捲られている。

 パラパラっと音を立てて、楽譜のページは進み続ける。


 動けない。いつもなら楽譜通りの音色が鳴るのに!震えている手が収まらない。

 収めたいのに!続きが弾けない。


「イロハ〜間違えてもいいよ」


「え?」


 曲が続いている中、シナヴリアさんは鶴の一声のように声を掛ける。

 本番に間違えるなんて、演奏者としての失態だ。

 今は敵から逃げるために弾いている最中だ。

 

「好きに弾いて良いって言ったでしょ」


 好きって言ったけど、間違えるなんて、今でも私の手は動かない。ぐるぐると考えを巡らせている中、シナヴリアさんは心落ち着かせるように声を掛け続ける。


「最初は難しいと思う、イロハはずっと一人で演奏していたでしょ?誰かと合わせる。楽譜以外の演奏をする。まだできなくて当然。恥じることじゃないよ」


 出来なくて当然。その言葉に私は音楽と人の関わりを思い出す。

 学校には話し合える友人は居た。でも、音楽を語り合える友人は居なかった。


「誰も責めない。続きから弾いてみよう」


 でも目の前には、今はテトラ、ヘードネ、セレナーデさん、シンフォニアさん、シナヴリアさんなど、音楽好きの人しかいない。


「大丈夫だよ。…イロハ手がすごく震えてる。温めるよ」


「ちょ。テトラ持ち場…」


 震えている手にテトラの柔らかな手が私を包み込む。けっして温かいと言えない温度だが、喋らずに握り続けてくる手は、私に勇気を与えているようだった。


「イロハは上手に弾けているよだからその…がんばって?」


 頑張ってか…他人事のように語りかける声に、私の緊張はどこかへ飛んでしまった。周りを再度確認すると、楽しそうに皆演奏していた。


 ピアノはステップを踏むように軽やかな音。


 ベースはスラップを聴かせて、楽しさを全力で表現している。


 豪快に鳴らされる打楽器はリズムを刻んでいる。


 まだまだだな私、此処数日で何回同じことを考えているのか

 音楽はやっぱり、学ぶことがいっぱいだ。


 喜びの楽譜の演奏は、テトラの創造している音に私が、身体を使って表現している感じだ。それがコードという形…


 この感覚こそ、自由に音楽を奏でることなのだろうか?

 まだ自分の中で自由な音楽は分からないけど、私なりの音を表現してみよう。


「よっし」


 大きく息を吸い込んで、心を落ち着かせる。大丈夫間違えてもいい。

 音楽は楽しいものだ。本来の目的を忘れるな。


いつも観ていただきありがとうございます。

最新話まで見ていただき嬉しいです。今回は演奏中心の回でした。

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