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自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第2章:快楽の楽譜編
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楽譜19.クレデンス・ユスティティアム1

 レーテのリーダーシナヴリア、政府上層部のコロディアが剣を交える。コロディの白銀色の瞳がイロハ達を睨みつける。威圧感に思わず、身震いをしてしまう。


「大丈夫、直ぐに逃げるようにするから!」


「…!」


 交えている刃の間から、シナヴリアさんは腹に強い蹴りを入れる。

 しかし、コロディアに攻撃を読まれており、後ろへくるりと、回転して避けた。


「シナヴリア汽車くる!」


「了解~フィレオー・デフテロ(友愛の二番目)


 次は指揮棒を地面に向かって振るうと、地面から無数の音符が飛び出す。ゼリーのようにぷるんとする感触だ。


「イロハごめんよー!」


 不思議な感触は束の間シナヴリアさんは音符の海へ私たちを投げ飛ばす。


「きゃああ!!」


 トランポリンも驚く、ジャンプ力のあまりの高さに私は目を瞑った。落ちる!!っと声を出しながらも、手を掴まれた。ソッと目を開けると、シナヴリアさんは無数の音符の上をあるいていた。


 なんと、ヘードネとエレオスも器用に音符の上を階段のように登っている。


「怖い!!ちょっと怪我人なので、もう少し優しくし下さいよ!」


「大丈夫〜イロハのいいところが見てみたい〜♩」


「ちょっと!手離さないでくださいよ!」


 上空にある列車に辿り着くまで、私はシナヴリアさんに先導される形で、何とか音符の上を飛んだ。


 あまりの怖さに私は、ソナタに打たれた傷の痛みを忘れた。


「よっと、大丈夫?」


「突然飛ぶなんて、びっくりしましたよ」


 無事に汽車に辿り着き、出入り口付近の柱で息を切らす。少ない足場でよく歩けるものだ。足元を見ることが怖くて仕方なかった。


「助かったから許して!さて、政府さん俺たちを逃す気が無いようだ。セレナーデ達を拾って撤退だ」


 ーー✳︎ーー✳︎ーー✳︎ーー


 列車は街中の上空を駆け巡り、シナヴリアさんは、セレナーデさんとシンフォニアさんを目視、再び、コードを放つ。


 二人は慣れたように音符の上を飛びあっという間に列車に辿り着いた。だが、セレナーデさんの身体を見ると、服は裂かれており、包帯がちらりと見えていた。

 

 私たちが逃げられたのは、彼のお陰だ。落ち着いたら絶対にお礼を言わないと!全員が列車の中に入り、先頭車両への道を歩く。


「おい!コード使うなら、言え」


「ごめんって、わかっていると思うけど、今から全力で逃げるよ」


 シンフォニアさんとシナヴリアさんは、忙しくモニターを操作をする。今はなんとか、逃げられている状態だ。いつ政府が私たちに、追いついても可笑しくない状況だ。


「シンフォニア逃げられそう?」


「街中なので、あまり兵器は使えませんが、最善を尽くします」


「おーけー、演奏には気をつけてね」


 演奏!?なんかこう?ビームを出して攻撃するとかじゃ無いの?

 しかし、周りを見ると、なんと皆んなが楽器を取り出してるではないか!

 状況がわからない私とエレオスはぼーっと立ち尽くす。


「イロハ弾ける楽器ある?」


「やっぱ、逃げるのに楽器を弾く感じ?」


 楽器は幾つか弾ける物はあるが、突然そんな質問をするのか、さっぱりわからない。すると、セレナーデは大きなため息をついて補足する。


「説明しろテトラ、つまり俺たちはオン源を今から作る。いわばサポートだ」


 納得!元々列車外装に楽器でオン源を作っているが、私たちは更に多くのオン源を作ると!


「オン源生成だけでいいんですか?私たちも後方からサポートとか?」


「それも良いが、今の状況なら俺たちが弾いた曲に、シナヴリアがコードを使ったほうが確実だ」


 ふむ、確かに私はシナヴリアさんのコードのタイミングは何も知らない。なら、ここは大人しくオン源で汽車の動力源と私たちの曲を合わせたほうが良い。


「そう!此処はどーんっと任せなさい」


 大きく胸を張っているシナヴリアさんの表情はコードを何度も放ったとは、思えないほどの余裕さだ。

 しかし、汽車に行くまで既にコードを使っている。オン源カタストロフィは大丈夫だろうか?


「オン源カタストロフィも心配ないよ、調整するから」


 顎に手を当てて、考えている私はお見通しだったようだ。さて、次はどんな曲かだ。


「顔に出てましたか、今から演奏する曲は決まっていますか?」


「イロハはクラシックのほうが得意?」


「そうですね、強いて言うならヴァイオリンです」


 ヴァイオリンの出会いは、本当に些細なきっかけだった。それでも、今日まで何かと触れる機会が多く、得意な楽器がヴァイオリンになった訳だ。


「やっぱイロハ好きだよね、大丈夫?ヴァイオリンは第二の指揮者、皆を引っ張る必要があるよ。怪我もしているし大丈夫?」


 そっか、私以外にも楽器の演奏者も要る。ヴァイオリンは音で、全体の曲を指揮する。 

 少しのミスが曲の命取りだ。しかし、私はこんな状況でも楽しみで仕方ない。


「はい!私大勢で楽器が弾けることが楽しみです!」


 一人が当たり前だった。周りの皆は演奏に関しては、ただのエネルギー製造機と考えている。けど、目の前の皆は違う。これが楽しみ以外に何もない。

 セレナーデさんと比べたら、私の怪我は掠り傷同然だ。


「こんな、ピンチでも楽しみか!そりゃそうだよね、でも、無理は厳禁だよ。エレオス君は何が弾けるかな?」


「え、えとピアノです」


「了解~、ーーこの子に合うピアノお願いね」


 すると、シナヴリアさんは通信機で、通話をした後、床下から大きなグランドピアノが出てきた。他にもフルート、ギターやドラム多種類の楽器も用意される。


 ズラリと並んでいる楽器を見ると、傷一つ無くきれいに手入れされている。これは演奏が本当に楽しみだ。


「セレナーデ大丈夫?」


「気にするな、そんなに深くねぇ」


 楽器を見ている横で、ヘードネとセレナーデさんが会話をしていた。

 ヘードネを心配させないように、頭をぽんぽんと撫でる。


 皆必死なんだ。今から私は全力で皆を音で引っ張る。両手でこぶしを作り、自信を奮い立たせる。


「車両内をコンサートホールに変更」


 車内スピーカの音声案内が聞こえると、先頭車両はいつもの休憩スペースから、

 クラシックコンサートをイメージする内装へ変わっていく。


 ガコン、ガコンと家具は移動され、代わりに演奏に必要な道具が運ばれていく。


「結構列車揺れるから、危ないって思ったらやめて、後無理はしちゃダメだよ」


「ありがとう、テトラも気をつけてね」


 さて、いよいよ演奏の開始だ。各々が楽器を手に持ち演奏開始を待つ。


本日も観ていただき、ありがとうございました!

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