楽譜15.サルバ・ノス2
国の中心地トウキョウで突然始まった戦闘、敵の作戦でドレスコードに換装が出来ず、私達はは逃げることしか出来なかった。
「二人共大丈夫!?」
「うん」
二人の小さな手を引いて、列車が止まっているビルまで走る。
テトラとセレナーデさんが時間を稼いでいる間。絶対に二人を守る。
「列車まで、もうちょっとだから」
「…うん!」
小さい子には、長時間の全力疾走はやっぱり厳しい。現に二人は息が上がってきた。それでも、足を止めてはならない。トウキョウの人の波を掻き分ける。時折他人の肩がぶつかり合うが、気にする時間はない。
私は車の急ブレーキのように止まった。二人は疑問の気持ちが溢れる。視線もなぜ?といいだけに私に向ける。
「この間振りじゃない」
政府の人間がこの場にいるのだから、居ないほうが可笑しい。雪色の髪、濃い紫色の瞳。再開が思った以上に早かった。
「あぁ、また会えて嬉しいよ」
「嬉しくなさそうだね、ソナタ」
悲しみの作り手ソナタ、既に真っ黒なドレスコードに換装していた。
街中の曲で混ざっているが、ソナタの重々しい曲がやっと聴こえてきた。
「あのツインテールの子と作戦だったんだね」
「あぁ、だからここで、私は貴様たちを殺す」
僅かに聴こえる曲に耳を傾けた。前回と同じだ。変わりのない曲調をタイミングを合わせる。
「ヘードネ、エレオス私に、抱きついて頑張って逃げるから!」
言葉を最後に言う前に私は握っていた手を離し、二人を抱き上げる。子供でも流石に重い。けど、やるしかない。二人を置いていくなんて、考えは一切ない!
「アンタはお利口だね、市民には危険を及ばせない。その行動は流石」
「当たり前だろう!」
街中なのが助かった。人混みでバカスカと銃撃は出来ない。
ツインテールの政府の人とは違い、ソナタは考えは市民寄りだ。
「何で曲調変えないの?」
少しずつ少しずつ、前へ進みながら、攻撃を避け続ける。攻撃のタイミングも分かっている。更に発砲の回数も少ない。今の状況なら、理由を聞けるかもしれない。この国の真実について…
「音楽法に従っているだけだ!」
「ソナタはこの国のルールに従って、いいの?」
私を本気で拘束したいのなら、曲調を変えて、別の攻撃方法をする。けど、前と何も変わってない。
ソナタと話がしたかった。考えも市民に寄り添っている彼からなら、法律について!
「ソナタの曲本当にいいよね?勿体無いぐらいに!もっと、いい曲にしたいって思わないの?」
「いい曲を作りたいに決まってるだろう!」
ソナタの作った曲は今でも十分良い。それでも、何か足りない。それを知っても尚、彼はルールという理由で片付けている。
「ねぇ、政府の人間は楽譜を消そうとするの?」
理由がわからない。音楽は私達が生きる上で大切な物だ。なのに、自由に作ること、弾くことを禁止している。
「知らないからって、ぺちゃくちゃと喋るな!」
「わからないよ!ルールだからって納得できない」
もっと、もっと、いい曲ができる可能性を秘めているのに、音楽が発展するかもしれないのに、なんで止めているの?
「教えてよ!」
必死に私は理由を問うがソナタは何も答えない。そして、必死に逃げ続けたが、市民達は騒ぎの元の私達を避け始めた。
「ホッカイドウで、楽譜の作り手を殺したんでしょ?」
「…」
ソナタは攻撃の手を止めた。拳銃を下ろしてただ、黙ってしまった。市民達は不思議そうな物を見るように、視線を向ける。
「何も感じないの?私はただ悔しい」
市民達は当たり前を考えなかった。ルールだから、ルールを守らない=犯罪者。音楽の法律に対して、声を上げる私の姿は、市民達は揶揄わずに静かに聞き続ける。
「教えてよ!ソナタも曲を作る人間でしょ?」
「うるさい!リピ•プロト!」
声を遮るようにソナタは私に向けて、発砲した。それは、的確に私を殺す攻撃だ。前に振り向いていた身体を、咄嗟に後ろへ変える。二人を守らなければ、と無意識に動いたのだろう。
「あっ」
力が入らない。ヘードネとエレオスを下ろして、左腕で右腕を触ると生暖かい感触、血が付着していた。痛みに狂うと思ったが、冷静だ。対して、ヘードネとエレオスは心配の眼を向ける。
「イロハ!」
「イロハさん!」
聞きたかった。政府の人間が音楽の法律に対して、どう思っているのか、でも。今の銃撃でわかった。ソナタは今の法律に納得していない。それじゃなかったら、曲調を崩してまで、コードを出さない。
「ごめん、二人共逃げられる?」
私は抱えて逃げられない。逃げられないけど、身体は動く。二人を守れるなら、壁になってもなんでもやる!
決心をして、二人を送り出そうとした時だった。人混みの中をかき分けて、2つの人影が中心地へ現れる。
「ごめんね、あとは俺がやる。イロハはこれで止血してね。シンフォニアはセレナーデの元へ」
「はい、リーダー」
列車から距離はまだあるその中で、シナヴリアさんとシンフォニアさんが来てくれた。二人の表情は氷のように冷たかった。




