表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由の楽譜 〜音を禁じられた時代に〜  作者: 如月
第2章:快楽の楽譜編
14/45

楽譜14.サルバ・ノス1

 憐れみの語り手、エレオスが政府の人間から逃れた後、私達は次の行動に移していた。テトラは通信機を片手に連絡を取っており、私とセレナーデさんは、周りの警戒を続ける。


「了解、列車に戻ります」


「シナヴリアさんらどうだったの?」


「一旦列車に戻って、エレオスの保護だって」


 それが一番妥当な答えだ。現にエレオスは政府の人間に知られている。今眠っている政府の人間が、仲間に連絡をしていたら、かなり危険だ。いつ追手が来てもおかしくない。


「わかった。後気になったんだけど、この組織の拳銃って何で、皆眠っちゃうの?」


 初めてテトラと会った時も、拳銃は実弾じゃなかった。現に眠っている人間は無傷だ。何か理由があるのだろうか?


「これ?催眠弾だよ、俺たちは自由の楽譜のために戦ってる。目的は殺しじゃないからね」


 それを聞いて安心した。そうだよね、同じ殺しでぶつけたら、やっていることは、政府と同じだ。気になっていることも、わかったし、こんな暗い場所から移動しよう。


 「行こうか、皆」


 さて、列車までの距離だが、気張って行こう。重い腰を上げて、再びトウキョウの街中へ溶け込む。


「エレオス、トウキョウは初めて?」


「うん、音がいっぱい!すごく楽しい」


 二人で仲良く手を繋ぎながら、街を見る姿は、側から見るとただの子供。

 しかし、政府から追われている身。列車まで警戒が解けない。


「エレオス見て!ラッパがいっぱい」


「本当だ!オーケストラ楽器が多いね」


 年が近いのか、二人の会話はとても楽しそうに見える。その姿にほっこりと、心が解かれる。セレナーデさんは時折、後ろを振り向き二人の様子を見守っている。


「楽しそうだね」


「うん、まだエレオスに聞きたいことは、あるけど、彼の心を溶かさないと」


「うん、急がずにゆっくりとね」


 列車までの距離が近くなった頃、セレナーデさんは突然その場で止まる。

 ヘードネとエレオスをこれ以上前に、進ませないように、腕を前に出す。


「誰だ」


 人混みの中で、セレナーデさんは誰かに問い掛ける。政府の人間には見えない。しかし、セレナーデさんは正体が判明している。視線を真っ直ぐと、向けて声を掛ける。


 この場から一切動かず、相手の様子を伺う。私は周りをぐるぐると見渡すが、政府の人間は姿はない。


「あんれ〜バレた?気配消したのに」


 声だけが聞こえる。まるで、私たちを見下しているような、声色。声の主を探すが、まだ見つからない。そこで私は、セレナーデさんと同じ視線を向けて、隠れている人物を探す。


「テメェ政府の人間か」


「ハハっ、この服装見てそんなこと言える?わかってるくせに!」


 人混みから風のように、飛び出してきた、真っ赤な制服の人間、制服と同じ赤い髪を揺らして現れた。コイツどこからきた!?姿が見えなかった!相手は小型のナイフをセレナーデさんに刃を向ける。


「うわ!」


 エレオスが驚きの声を上げた理由は、ナイフを向けられた瞬間、セレナーデさんは、ヘードネとエレオスを抱えて、後ろへ飛んだからだ。そのお陰で、二人は無事だ。攻撃は軽やかに避けた。私は二人の前に出て、攻撃から守る。


「セレナーデさん大丈夫ですか!?」


「ささっと、チビ共を列車に急げ!」


 こんな人混みの中で、戦うと言うの?でも、政府の人間は、街中で戦闘になっても関係ないのか?凶器を持っている人間を見て、街の人は混乱し始める。私たちは不安な視線が刺さる。


「おい、なんの騒ぎだ?」


「何かの撮影?」


「カメラないよ?」


 街の人が戸惑っている、政府の奴は市民を気にしないの?もしかして、まさか一般市民も巻き込むことは、ないでしょうね?


 でも、時間はない。時間が経つことでこっちは不利な状況に成りかねない。私は、セレナーデさんを信じる。


「ねー勝手に消えないでー」


 私が足を一歩踏み出したが、セレナーデさんの背後からくるりと、振り替えて私に刃を向ける。私は何とか、二人を身を挺して守る。


「もう!何なのよ!」


 腕に微かにナイフが新しい、服が避ける。幸いにも、破れてただけで済んだ。しかし、次は上手く出来るのか、わからない。


「おい!よそ見すんな!」


「してないよー」


 エレオスが目的?早く動きたいのに、相手が邪魔すぎる。セレナーデさんも体術で攻撃しているのに、全然当たらない。


 私も二人から、守りながら、攻撃を避けるだけで、苦しい。ドレスコードに換装出来れば、状況は変わるが、テトラにすら近づけない。


「おい、政府の人間だろ、市民様巻き込むな」


「犯罪者が市民なわけないでしょっ!」


 セレナーデさんが持っている武器は、催眠弾の拳銃しかない。今は何とか、体術で何とかしているが、いつ崩れるのか、わからない。


 必死に可能性の回路を導こうとするが、考えがまとまらない。私達が逃げようとしたら、相手に素早く近寄られる。この繰り返しだ。


「俺がちんちくりんの作り手と知って、近づかせない気だ」


「楽しい〜やっぱドレスコードないと、ただの人間?」


 相手も私達がドレスコードの換装後がわかっている。だがら、意図的に換装させないように動いてる。


 やっぱりドレスコードがないと、相手から逃げることも難しい。私だけでも攻撃に参戦して、セレナーデさんがドレスコードに、換装する時間を与えるのか?


「イロハ、まずは相手の距離を、取ることを考えよう」


 そこで、イロハは私達と同様守りに徹していたが、ホルスターから、拳銃を取り出した。納得した。作戦の意図が…


「わかった」


「セレナーデと同じ拳銃だから、援護から射撃する」


 イロハが拳銃に弾を装填する。ガチャリとシリンダーに銃弾が入り込み、相手に狙いを定める。


 私はヘードネとエレオスの手をぎゅっと、強く握り、いつでも走る準備をする。ヘードネは平気そうだが、エレオスは怖さに手が震えていた。大丈夫絶対に逃げる。


「エレオス絶対に逃げるから、走る準備してね」


「うん…」


 力なく答えたエレオスは、瞳が揺れていた。まだこの状況に慣れてないようだ。皆は弱くない。今は、私達を信じてほしい。エレオスに想いが伝わるように、手を握り直す。


「走って!」


 テトラの銃撃音が響いた頃、私達は全速力で走り出す。後ろでは、物が激しくぶつかり合う音が鳴る。


 振り返ってはならない。二人は、戦っている。私は今汽車に戻ることだけを考えろ!


今回も観ていただき、ありがとうございます。連続更新ができて嬉しいです。引き続き作品をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ