楽譜10. フトホストラグディ
二人で再び、スタートを切った私とテトラ。場所は部屋から変わって、「カラオケRoom」とプレートのある扉の前についた。
シナヴリアさんが、私の特訓相手では無かったのか、じゃあ誰だ?とドアノブに手を掛けてあける。
「はぁ?」
「ん?」
扉の先には、セレナーデさんがソファに座っていた。カラオケルームの中だけあって、ソファや大きなスピーカー。隣には小さいドリンクバー付き。この汽車なんでもあるわね。
「何でテメェがここに!」
「シナヴリアさんから、聞いてないんですか?」
「聞いてねぇよ」
知らないのか、カラオケでセレナーデさんと交流?でも、カラオケってつまらないし、何なんだ?
「はーい、セレナーデとイロハ部屋に入ったね〜今の課題曲100点取れるまで。部屋から出れないからね」
「「はぁ!?」」
スピーカ越しから聞こえる、気の抜けた声はシナヴリアさんだった。マズイことが起こってしまった。思わず苦笑いを零す。
「ふざけんな!俺だけ、カラオケすればいいだろが!」
「えっ、カラオケやるんです?」
「オメェとは歌わねぇ!」
セレナーデさんってカラオケが好き?私とは歌わないけど、一人では歌うんだ。ノリが良いのか、悪いのか、イマイチ掴めない。
「カラオケと特訓なんか、意味があるんですか?」
「あのなぁ、カラオケは手っ取り早く曲感が、わかるんだよ」
「曲感ですか?」
曲感?楽器を弾く時とかかな?学校もほとんど楽器演奏が多かったし?カラオケで曲感が得られるなんて想像できない。
「テメェどうやって、テトラの曲聴いているんだ」
「えーなんかこう!いい感じのがくるんです!」
「もっとわかりやすくしろや」
完全にテトラの曲が聞こえたら、コード出来そう!って感覚になる。
それ通りになったら綺麗な曲が奏でられるから、説明が非常に難しい。
「こう!ピッタリ感ですよ!盛り上がる時にコードが出るんです!いっぱい」
「沢山出すな、また爆破されテェか」
そうだった。コードは過剰に出すとオン源カタストロフィが起こってしまう。
だから、コードを出しすぎないようにする!きっとカラオケで特訓という訳か!
あと、しっかりとお礼言えてなかった。ピンチだった私を守ってくれた。彼に気持ちを伝えてない。
「セレナーデさん、あの時助けていただき、ありがとうございました」
背筋を正し、頭をしっかりと下げる。今こうやって元気なのは、彼のお陰だ。だから、怖いって思ってもお礼は言わないと!
「ウルセェ、テトラのためだ勘違いすんな、認めてねぇからな!この部屋に出るためだ!」
静かに言葉を呟くセレナーデさんは、操タッチパネルを充電器から。取り外し曲を検索する。
「さっさと歌うぞ」
「でも、カラオケってお堅い曲しかないのに、どうやって曲感を得られるんです?」
「そうか、テメェは知らないのか」
タッチパネルに表示されている曲は、どれも知らない曲。
曲名もお堅いイメージのじゃない。逆に楽しそうなイメージの曲もある。
「何これ、知らない曲ばっか」
「はぁ!ありえねぇだろ!」
「セレナーデ、イロハこっち側のカラオケ知らないから、お手本見せてやってね」
「わーてるわ!」
シナヴリアさんは常に私達を観ているのか、うん、いやだ。
人前で楽器ならいくらでも、弾く。でも、歌うことは…
選択された曲は、エレキギター音掻き鳴らされている曲。心が上へ行く高揚感は魅了される。
曲調はロック系か、許可している曲が少ないから、ロック系は詳しくないな〜と前走が終わり歌い始める。
「…!すご」
「〜♩」
歌い始めると、まるで、私に攻撃しているような声。ズキズキと耳に入ってくる。カッコいいと、真っ先に思い浮かんだ。
うますぎない?採点のバーが全部点数以上。しかも、点数が加点される!カラオケの採点機能を利用しているわ!
「100点」
「どーだ!」
曲が終わった後、採点でなんと100点を叩き出した。初めてみた。
言葉からしてセレナーデさんは、当たり前の点数なのだろう。
「すごい!!!」
「テメェ!何褒めんだ!」
「すごいじゃないですか!私カラオケで50点以上ないです」
そう私はカラオケのみならず、歌が大変下手くそなのだ。中学生の頃を思い出す。下手すぎて、合唱コンクールの練習時、吹奏楽部から怒られたことを…
「どんだけ下手なんだよ!」
「すみません!!」
「俺が先に歌うから歌い方覚えろ」
それから、セレナーデさんがお手本を見せて、私が歌う。その繰り返しをして早数時間が経過した。
「下手くそ!!ヘードネの方がマシだ!」
「すみません!ヘードネ普段何歌ってるんですか」
ヘードネか〜あのふわわんな声で歌う曲はきっと可愛らしい曲なのだろうか?と思ったが、それは違った。
「パンのヒーローだったか?」
「パン?」
「それは後だ。テメェの下手くそ俺が直す。テトラの作り手だ。そのまま下手なら追い出す」
そうだったこれは特訓だ。またオン源カタストロフィを起こさない為。カラオケでもしっかりとやらないと!
「だから!変なアドリブ入れんな!」
「こっちのが、いいじゃないですか!」
カラオケ特訓開始後、私の点数は60点止まり、目標の100点まで程遠い。
アドリブはダメなのか…あると曲が更にかっこいいと思ったに〜
「アドリブは、少ない方がいいんだよ!コードも同じだ。限られた回数で調整すんだよ」
「曲を奏でる時とカラオケは、何となく似てますね」
「今更かよ、さっさと歌うぞ」
「はい!」
気合いを入れて、マイクを握る。何度も聞いた前奏は、歌い始めては完璧にスタートを切る。
アレンジは過剰に加えない。カラオケは音程程よいスパイスのようにアレンジを入れる。
おっ、中々良いな。全部点数ラインが高い。しかも、今回は最低ラインが出てない。これならいける!
「「…」」
運命の採点の時間。グラフからどんどん加点される。五角形の箇所は、どんどん広がっていく。点数結果が表示された。
「100点ですよ!セレナーデさん!」
「わかってるわ!やっと終わったぜ」
ドアのロックが、外れる音が部屋に響くが、私達は部屋から出ようとはしない。流石に歌い疲れたので、ドリンクバーから温かいココアを注ぐ。やっぱ、歌った後はココアよね〜
「あ〜おいし」
「年寄かよ」
セレナーデさんも特訓のひとくくりで、コーラを豪快に飲む。やっぱカラオケには、ドリンクバーはありがたいよね、分かる。
ーー✳︎ーー✳︎ーー✳︎ーー
シナヴリアの野郎ふざけた真似しやがって、しかも、新人の野郎はクソ下手だった。昨日もオン源カタストロフィも起こすは、色々てんやわんやで、仕方ない。
「ココアおいしい〜」
「…」
呑気にココアを飲んでる新人は、気に食わない。語り手の完全体のテトラと共に、曲を奏でる姿は、何度望んだか…
『セレナーデ、認めたくないけどテトラが、この子を選んだんだ。君はヘードネー快楽の曲の作り手だろう?』
認めたくねぇそれでも、ヘードネの語り手になった。俺の曲に名を与えられた。コードもドレスコードもある。相性は良い。
でも認めたくない。今すぐは無理だ。俺はお利口じゃねぇ。
新人の力を見るしかねぇ。俺は察するこも出来ねぇ、バカだ。
今日の特訓でわかった。音楽に対する取り組みは、良かった。
昨日もアイツは、オン源カタストロフィを喰らった後でも、立ち続けた。
力が未熟でも曲を最後まで奏でようとした。まだ、認めるまで時間は掛かる。少しずつ、見るしかねぇ。
いつも観ていただきありがとうございます!今回がっつり喧嘩する回が初期提案でしたが、暗い展開なので、やめました。カラオケ回にシフトチェンジです。




