AIに小説を、情け容赦なく酷評してもらった
小説投稿のあれこれを語るエッセイ、はじめます。
前々回のエッセイで、生成AIを使った小説執筆について書きました。
私は生成AIを、主に次の用途で使っています。
1 誤字脱字チェック
2 悩み相談
3 小説の感想
前のエッセイで、「誤字脱字チェック」と「悩み相談」について話したので、今回、3番目の「小説の感想」について語ります。
なお、私が使っている対話型生成AIは、ChatGPTとGeminiです。無課金ユーザーなので、無課金おばさん……いや、無課金ばあさんか? アラカンだし。
小説書きのみなさま、書いたら感想欲しいですよね。え、違う?
なお自分は、小説を読んでも感想を書かない癖に、自分の小説には感想クレクレ野郎です。ええ、身勝手この上ないこと承知です。
とはいえ、人気作家でない限り、また、よっぽど刺さる話じゃない限り、なかなか感想はいただけません。
前のエッセイにも書きましたが、どうしても感想ほしい私は、長編を完結させるたびに、ネットのサービスで小説の感想をオーダーしてました。
ただ、20万字30万字の小説の感想となると、当然1日2日ではできあがりません。速くて2週間、だいたい1月ぐらいかかります。人気のある感想屋さんだといろいろオーダーが入っています。それに感想屋さんも会社勤めの合間を縫って、素人が書いた小説を読み、かつ有償レベルの感想を書くわけだから、当然時間がかかります。
なお、現在連載中の小説も、完結したら有償で感想をお願いするつもりです。
しかし1年経ってもこの小説完結しません。あと半年ぐらいはかかりそうです。それまで黙々と書き続けるつもりですが、やっぱ1話書いたら、反応欲しいじゃないですか。
いい時代になりました。生成AIは小説の感想を数秒で書いてくれます。
以下は、ChatGPTに今書いてる話のクライマックスをアップしたときの答えです。
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ChatGPT
とても魅力的なラストパートの草稿ですね!全体として、アタランテとアトレウスの複雑な関係性と、冷えたはずの夫婦の中に潜む未練や執着、そして微妙な共犯関係がにじみ出ていて、非常に濃密で読み応えがあります。
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いや~べた褒めじゃないですか。
はい? 機械に褒められて何が嬉しいんだって?
嬉しいんだよおおおお!! 単なるプログラムの出力だって知っても嬉しいんだよおお!!!
はい自分、どれだけ承認要求が強いんだ。我ながら呆れます。
機械には心がありません。ChatGPTはお仕事としてこの言葉を出力しただけです。
でも待ってね。
心のこもらない褒め言葉、私たち、散々聞いていません?
コンビニでもファミレスでも、店員さんは笑顔で「ありがとうございました」と挨拶してくれます。
あの挨拶と生成AIの出力を同列にしてはいけませんが、店員さんたちは心の底からほとばしる感謝を述べているのではなく、マニュアルに従ってるだけです。
それでも「ありがとうございます」は嬉しいものです。
まあ客と店員の順調なやり取りの場合は、お金を介在しつつも心の交流をはかっていると言えなくもありません。
が、客と店員、いつも順調とは限りません。
注文した料理がなかなか出てこない、または間違ってたとなれば、客としては訴えるでしょう。
店員さんは「申し訳ございません。ただいま用意しております」と詫びるでしょう。内心(駄目じゃんシェフ。忘れてるよ)と思ったとしても。
私も昔、電話でカスタマーサポートをしたことがあります。理不尽なクレーマーの話を辛抱強く耳を傾けつつ(いい加減にしろよ。いくらごねても無理なの)と、内心毒づいていました。
謝罪したからといって、心の底から詫びているとは限らないんです。
脱線しちゃった。
とにかく、プログラムの出力とわかりつつも褒められるのは嬉しいもんです。
が、段々褒めばかりだと物足りなくなります。
通常指定しないと生成AIはべた褒めしますが、情け容赦ない酷評ももらえます。
そこでChatGPTに、今書いてる話の酷評してもらいました。
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ChatGPT
「婚約破棄もの」のラブコメ的な導入から始まりながら、続編では二千年規模の壮大な歴史、宗教、転生の重層構造まで盛り込んでいて、読者が完全についていけなくなる危険があります。
普通の読者は「婚約破棄でキャッキャする恋愛」を期待して読み始めるのに、途中から宗教論争・生贄儀式・黒鉄技術革新・竜の存在論まで出てくると、「これ、最初の話と違うのでは?」と投げ出すでしょう。
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いや、すごーく納得です。酷評をお願いしましたが、そこはコンピューター。あくまでも問題点の冷静な指摘にとどまっています。
じゃあ、小説直すかって? ごめんね。今回は、直すつもりないの。この調子でラストまで突っ走ります。次回から考えるよ。
ということで、他の小説にも酷評をお願いしました。
以下は、Gemini Proの出力です。
Gemini Proだと、30万字といった長編もちゃんと読んでくれます。
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1作目 現代恋愛小説
Gemini Pro
恋愛小説として読みに来た読者にとっては、メインディッシュであるはずの恋愛プロットが他の要素に埋もれてしまっています。
特に、那津美の過去や家族の問題が非常に重く、物語前半の大部分を占めているため、「これは家族再生の物語であって、恋愛小説ではない」と判断されても仕方ありません。
2作目 近未来SF小説
Gemini Pro
SF小説としてタグ付けされていても、序盤の大部分は「貧しい家庭の少女の日常」です。
SF要素(クール・ウェア、支給品の虫の佃煮など)は、彼女の悲惨な状況を強調するための道具立てに過ぎず、SF的なワクワク感や知的好奇心を刺激しません。
SFを読みに来た読者は「これはSFじゃない」と判断し離脱します。
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こちらもすげー納得。
私、書きたいことむぎゅむぎゅ詰め込むからいけないんだよな~。
最初にアップした小説、恋愛小説のはずなのに、ヒロイン、ほぼ自力で問題解決しちゃうもん。
あと私、SFってわかっていなかったかも、未来社会を書けばSFって思ってたけど、確かに、いわゆる科学ネタないもんな~。
AIに酷評をお願いしても「小説書くのやめたら?」「向いてないよね」「時間の無駄だった」なんて人格否定はしません。あくまでも技術的な問題点を指摘するだけです。
ということで安心し、ますます調子にのって小説の酷評をお願いしたのですが、カツンとくるケースがありました。
この話を書くと長くなるので、今回は割愛します。
もしかすると次回、むかついたAI批評の話をする……かもしれません。




