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・今日はうちに泊まっていこっ、ねっ!? - 黄金のスラッグ弾 -

「暇だから大根畑作ってるの」

「へ、へぇ……」


「不思議なんだよー。私が育てると、どんどん大根ちゃんが育つの。だからいっぱい植えてるの!」


 リアンヌからすれば、バトルのある農耕ゲーム感覚なのだろうか。

 いったいどれほど広大な大根畑を築いたのやら、聞くのが怖い。


「それよりアリクッ、【盾強化】ってやつ合成してよーっ! この前の失敗だったしっ、今度こそ!」

「わかったよ。とにかくそうすれば、君が満足するってことがね」


 さっさとやってしまうことにして、俺はスキル画面を開いてテキパキと操作した。


――――――――――――――――――――――――――

 【物理&毒無効】

  + 【盾強化】 → 失敗! → 【物理&毒無効】


 ↓


 合成失敗によりスキル変化


  【盾強化】 → 【盾装備浮遊】


 ↓


 リアンヌのスキルスロットに1枠を追加!

――――――――――――――――――――――――――


 もちろんリアンヌのスキルスロットに、【盾装備浮遊】スキルを移してあげた。


―――――――――――――――――

【女傑】

【物理&毒無効】0/400Exp

【盾装備浮遊】0/1200Exp

【自己再生・大】13/100Exp

【大根の達人】71/100Exp

―――――――――――――――――


――――――――――――――――

 本日入手したスキル(残り)

――――――――――――――――

【子沢山】×43

【採集上手】×1

【焚き火】×1

【暗視・弱】×1

【ボルト魔法MP消費半減】×1

【狩人】×1

【ダウジング】×1

【炎魔法・下級】×4

【土魔法・下級】×1

――――――――――――――――


 ああ、ますますリアンヌが最強の女傑に……。

 画面によると結果は失敗だそうだけど、スロットが増えるのは、どう見ても大成功にしか見えないんだけど……。


「やったーっ、【盾装備浮遊】だってっ! 何これ楽しそーっ!」

「もし要らないのなら、他のスキルとトレードする? そのスキル、物理無効の君が持っていても――」


「へへへーっ、アリクは考えが甘いっ!」

「じゃあ君の深い考えを聞かせて」


「盾がなければ……シールドバッシュはできないんだよっ!」


 そう言われてもなんて返していいのやら、言葉が浮かばない。

 あえて言うなら、『だから何……?』


「まあ、仲間を守るための盾と見れば、ガード職としての広がりが期待できるかな」


 そう見るとシナジーが高いのはトーマだ。

 トーマに譲ってあげて欲しいけど、気に入っているみたいだし、これは無理だろうか。


「トーマ――」

「アリクにはあげない! 風魔法5連発のアレと交換なら考えてあげる!」


「え、あれと……? ううーん、それはちょっとな……うん、考えておくよ……。あ……っ」


 リアンヌは早速【盾装備浮遊】スキルを使ってみようとした。


 壁に飾ってあるラウンドシールドをリアンヌが見上げていたので、俺がてっきりそれを浮遊させるのかと思った。

 ところが実際に浮かんだのそちらではなく、旅の思い出である金貨の方だった。


「あ、こっちの方がいいかも……」


 空飛ぶ金貨は、うなりを上げて俺の横顔をかすめた。


「あ、危なぁっっ?!」


 それはU字を描いてリアンヌの手元に吸い込まれ、プロ野球選手よりも鋭く重い魔球を彼女はバスンッと受け止める。


「ごめん、手元が少し狂っちゃった……!」

「あとちょっとで死んじゃうところだったよぉーっ!?」


「アリクなら死なない死なない。えへへー、これ気に入っちゃったーっ!」


 ガード職向けと勘違いしていた俺に、常人が受けたら粉砕骨折や内臓破裂が確実のシールドバッシュというか、もはやショットガンのスラッグ弾か何かのような凶器が披露された。


 今日、俺は大切なことを一つ学んだ。

 それは『盾は下手な鈍器よりも遥かに危険だ』ということだ。


 それは数あるゲームの中で、シールドバッシュが優遇され過ぎの強スキルになっているのも納得の、凶悪な質量弾だった。


「そういえばアリクの領地の鉄、完成したんだよねっ! 今度それで私に盾を作ってよ!」


 リアンヌは宝物の金貨を学習机の上に戻して、次は丸いラウンドシールドを浮遊させてルーレットのように回転させている。

 その姿を見ていると、断言をもってこう思える。


 この守護姫リアンヌがいる限り、アイギュストス領は大丈夫だって……。


「さ、やることやったし、アリクッ、あそぼーっ!」

「今日は疲れたし、僕の方は電池切れが早そうだ。それまででいいなら……うんっ、遊ぼうよ、リアンヌ! 僕、本当はずっと君と遊びたかった!」


「私も!」


 夜遅くまでとは言えないけど、晩餐もはさんだ後も眠くなるまでリアンヌと一緒に遊んだ。

 やっぱりリアンヌと一緒の夜は、子供に戻ったかのように楽しかった!


 ……あ、いや、まだ僕は子供だったんだった。

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