・ひなびた迷宮町ミタアで固有スキルを大量ゲットしよう! - 僕、男の子だよぉ…… -
左周りのAグループの前衛はレスター様とリアンヌだ。
中衛はトーマで、アリク王子の護衛としてディフェンダーをしてもらう。
魔法を使える俺は後衛だ。
母上から貰った弓巧者スキルもあったけれど、筋力はあれどこの体格ではショートボウを引くのが限界なので、今回は持ってこなかった。
あ、ゴブ――
「ちょいやーっ!!」
「んな早ぇっっ!?」
通路を抜けた先のフロアにゴブリンがいたような気がしたけど、リアンヌがホーミングミサイルみたいに飛んでいったら光となって消えていた。
「アリクッ、これからスキルとか抜き取れるっ?」
「わっ?!」
リアンヌは足下から緑色の何かを拾い、それをオーバースローで振りかぶってこっちにレーザービーム投球してきた。
眼の前のトーマが受け止めてくれなかったら、ちょっと危なかった……。
「ナイスキャッチ!」
「リアンヌ様、もう少し控えめに投げていただけると……」
リアンヌが投げてきたのは翡翠に似た小石だった。
それをトーマから渡されると、なんとその石はエメラルドグリーンの光となって俺の中に消えていった。
「おお、今のアリク主人公っぽい……っ」
「魔石が溶けて人の中に消えるなんて、聞いたことねぇぞ。大丈夫か……?」
――――――――
入手スキル
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【子沢山】×1
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ぼ、僕、男の子だよぉ……?
こんなの、いらない……。いるわけない!
「どうどうっ、スキルは抜き取れたっ?」
「う、うん……。で、でも……」
口では説明したくないので、リアンヌにスキル画面を開いて見せた。
「アハハハッッ、アリク男じゃんっ!! 男なのに子沢山って、うけるぅーっ、アハハハッ!!」
「欲しいなら君にあげるよ……」
俺は一瞬にして、ハズレスキル【子沢山】を持つ残念な王子様になっていた。
いらない……。いらないけど、これを欲しがる人はきっと多そうだ……。
「まあいいじゃねぇか。魔石からスキルを抜き取れるってわかったんだからよ」
「そうだね。……ん、トーマ?」
「はっっ?! な、なななっ、なんでもありませんっ! 自分は何も、何も冒とく的な妄想などしておりませんっっ!!」
俺はトーマの頭の中で、どんな恐ろしい妄想をされていたのだろう……。
もちろん、今も薄ら笑いを浮かべていて不気味なので、詳しくは聞かないでおくことにした……。
早くこんなスキル、誰かに譲ってしまいたい……。
いらない、いらない……。
もし変なことになったら、困るよ……。
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