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・「要請」白い光を都にもたらせ - 平和的な願い -

「でもアリク、リアンヌちゃんのことはいいの……?」

「うん、いいんだ。がんばってはいるんだけど、同じことの繰り返しになってきている。他のことをすれば、新しい発想が見つかるかも……」


 そう息子が答えると、母上は心配そうな顔をしてから――喜びを抑えきれないのか明るく笑った!


「そうっ、なら造ってっ! 実は私も……ロドリックと同じことを思っていたのっ!」

「おお、リドリー……」


「ロドリック……。私もあそこにあの光があったら、素敵だと思うわ……っ」

「リドリー……我が妻よ! わかってくれるか!」


「もちろんよ! ああっ、ロドリック……ッ!」


 親がイチャイチャしているところって、どんなに立場が変わっても、もにょる……。

 母が女の顔に、父が男の顔になるのが、なんか嫌だ……。


 父上は母上とひしと抱き合い、大きくなった伴侶のお腹を撫でた。

 もうちょっとで俺の弟が産まれるって話だった。


「最近は隙あらば、この有様でして……。熱々なのはよろしいのですが、場所くらいは考えていただきたいものです」

「そうだね。でも、ケンカばかりの両親よりずっといいよ」


「ええ。最近の陛下は大変お幸せそうで、まるで若返ったかのようです」


 席を離れて、庭園の奥の木陰でジェイナスと細かい段取りを決めることになった。

 両親が熱々でこっちに注意を向けてくれない分、ジェイナスのやさしさが嬉しかった。


「必要な素材はね、銅、亜鉛、プロペラに使う木材。電球の形を工夫したいなら、ガラスとガラス職人もいるよ」

「ステンドグラスの技術に、ガラスに色を加えるものがございます」


「あ、それいいね! 幻想的な色合いで照らせば、観光客も集まってくるだろうね!」


 清浄な光、とは言えなくなるけど。


「では色付きのガラスを作らせましょう」

「あ、でもそれはメンテナンス性が少し悪いかな。カンテラみたいな構造にしたらどうだろう?」


「カンテラでございますか?」

「うん、カンテラのガラス窓部分に色を付けた方が、管理もしやすいし、ガラス職人さんも意匠を込めやすいんじゃないかな」


「それは素晴らしい。楽しみになってまいりました」


 上手くいったらまねしようかな。

 グリンリバーでも裸の電球を盗んでゆく人が絶えないし、いっそ電柱と一体化させちゃおうか。


 区画に合わせて色合いを変えるのもよさそうだ。


「では必要な物資はこちらで全て手配いたしますので、調達が完了次第、再度ご連絡いたします」

「ありがとう。帰ったらアグニアさんにも相談してみるよ。足りない物があったら使いを送るね」


「よろしければ、殿下御身でご連絡を下さると、ジェイナスは嬉しく思います」


 実利や効率を優先する、ジェイナスらしくもない言葉だった。


「はは、仕事バカの父上を母上に取られて、ジェイナスも寂しいの?」

「とんでもございません。陛下のお幸せは、私の幸せにございます」


「でもイチャイチャされると、なんか仲間外れにされているような感じがしない?」

「……まあ、それはございますね。微笑ましくもございますが、手持ちぶさたとなります」


「同感だよ」


 ジェイナスが守ってくれるなら、父上と母上は大丈夫だ。

 これから産まれてくる弟も、アリク王子同様にかわいがってくれるだろう。


「あ、そうだ、父上たちが落ち着くまで、デュパリエでも一緒にどう?」

「は、喜んで。……陛下の願いを叶えて下さり、ありがとうございます、殿下」


「昔の無茶振りよりは、平和的で、楽しくて、僕はとてもいいと思う。そういえば、毒殺の駒にされたこともあったなぁ……」

「申し訳ありません。しかしギルベルド殿下のあの奇策あっての、この平穏でございます」


「そういえば兄上の策だったね。兄上にコンラッドさんが震え上がるのも、当然かもしれないな……」


 一緒にボードゲームをすることに決まって、ジェイナスはゲーム盤を取りに行った。

 戻ってくると木陰の下でそれを囲み、俺はリアンヌを越える最強の強敵との遊技を楽しんだ。


 血が繋がっていなかろうと、俺にとってはジェイナスも大切な家族だ。

 そこに弟が加わる日もそう遠くなかった。

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