・グリンリバーを照らす電球を作ろう - 抵抗を作ろう -
午後のお茶をしてからリアンヌと電気抵抗装置の試作に入った。
「あ、カナちゃんもよかったら――」
「ごめんなさい、おしごとが、ありますので……」
「え、でもそんなの――」
「アリク様、うちにも、たちばがあります。ごめんなさい……」
カナちゃんも仲間に呼ぼうと思ったのに、またふられてしまった。
そんな俺の姿を見て、リアンヌはおかしそうに笑っていた。
「アリクって、意外と女ったらしだよねー」
「はぁ? 僕のどこが?」
「え、自覚ないのーっ? カナちゃんはさ、アリクのことが、ちょーーーーっっ、大好きなんだよっ」
「なら気を使わなくてもいいのに……」
リアンヌとカナちゃん、両方を幸せにしたいと思って何が悪いのだろう。
俺はどっちも好きだ。どっちも守りたい。隣にいてほしい。だってその方が楽しいから。
「真面目だもん、あの子。さ、作ろっ! まずはどうするのっ!?」
「うん、お茶をしながら考えた」
「知ってる。ずーーっと上の空だったもん、カナが寂しそうだった」
「ごめん。この身体って集中すると、他のことに意識が向かなくなるみたいで」
ただの大学生をやっていた頃はあまりこういうことはなかった。
きっとこのアリク少年の持つ並外れた集中力が、そうさせるのだろう。
「炭と粘土を混ぜた物を、布に塗り付けてみようと思うんだ」
「おーっ、つまりー、泥んこ遊びーっ!」
「お互い、もうそういう歳ではないと思うけど……?」
「じゃ、私は粘土を手に入れてくる! アリクは炭と布ね!」
リアンヌと手分けして必要な材料を集めた。
炭は仕入れた木炭が製鉄所にある。
布は粗く丈夫な麻がいいだろう。バザーに行けばいくらでも手に入る。
「トーマ、お願いがあるんだけど、僕をトーマの馬に乗せてくれないかな?」
「はっ、このトーマ、喜んで殿下の馬となりましょう!」
「いや馬じゃなくて、足になってくれると嬉しいかな……」
「時々、自分は思うのです、殿下……」
「えと、何を……?」
「殿下と出会うのがもう少し早ければ、殿下とお馬さんごっこができたのかと思うと、悔やんでも悔やみ切れません……」
今からでいいなら背中に乗ろうか?
イタズラ心でそう言えば、取り返しが付かないことになりそうな気がして自重して、俺はトーマの馬の後ろに乗せてもらって素材をかき集めた。
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