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短編 57 雨の降る街

作者: スモークされたサーモン


 ネタバレは良くないよね。でもこの話は全裸地底世界のお話の後に作られたんだぜ?

 

 旅行案内のパンフ、それをイメージして作りましたー!




 ここは雨の降る街。


 昔から雨の多いこの地方は晴れることが稀です。一年の大半が雨。もしくは曇りです。


 雨もザアザア降るのではなくシトシトと降るのがこの地域の特徴です。


 なのでこの街に住む人は一日の大半を家の中で過ごします。インドア派な街人です。


 この地方は気候が安定しており雨の多いわりに寒くありません。意外と快適なのです。ほぼ毎日雨が降るだけで。


 湿度とカビ。


 それさえなんとか出来れば、とても暮らしやすい地域です。いや、ほんと。


 初めてこの街に訪れた人は大体驚きます。この街の人の姿に。一日の大半を家で過ごすためにこの街の住人は何らかの職人であることが多いです。音楽家も多数輩出しているすごい街なのです。ええ、ほんと。


 この地域は日差しが弱いので皆さん肌が白くて少し病的に見えますが健康体です。老いも若きも生っ白いですが、病気ではありません。地白なのです。


 あとは……そうですね。この街の名産としてキノコがあります。一年中湿度が高いのでキノコの栽培が盛んです。各家庭によって品種改良をしたりして、とんでもない色のキノコが市場に並びますが基本的にこの街で買えるキノコに毒はありません。紫の下地に緑の斑点とか、ペンキのような真っ赤なキノコとか、びっくりなされると思いますが全て食用です。


 すごいですよー。本当に毒なしなんですからね。本当ですよ?


 このキノコを使った汁物がこの街の名産というか母の味になります。


 紫のキノコ汁。


 そう、それが母の味になるのです。


 宿に泊まる際は必ず一言掛けておきましょう。


『キノコは焼きで』


 汁物は上級者向けです。せめて四回目の訪問を経てからにしましょう。味は良いんです。本当に美味しいんです。紫のキノコ汁。


 でも覚悟が必要になります。家庭によってはそこまで覚悟する必要もないのですが、皆さん楽しんでキノコの品種改良をなさるので大体の家庭は凄まじいキノコ汁となります。


 美味しいんですよ? いや、ほんとに。


 体に良いのはこの街の人達を見れば嫌でも分かると思います。


 ええ、ほんとに。


 多分そういう成分が含まれているんです。キノコはこの街のソウルフードですからね。


 このキノコを売りにしたお祭りも年末に開催されます。キノコ祭りです。色彩鮮やかなキノコ山が街のあちこちに作られてその中にお宝が隠されるという実にユニークなお祭りです。


 お宝を見つけた人にはとても口には出せないような幸せが訪れるとか。

 

 外部の人にはかなりの難易度を誇る奇祭ですが、キノコ好きには堪らないそうです。この辺は好みですね。


 あとは……あれです。職人が多いので工芸品が多いです。特にキノコ推しという訳でもないのでお土産には是非。とても質の良い工芸品が揃っています。湿度のせいで大物ではなくて小物が多いのですが、手鏡とかお洒落です。ええ、ほんとに。


 あとは……えっと、えっと。


 ……街人はみんな筋肉質です。


 見掛けても攻撃しちゃダメです。絶対にダメです。ムッキムキなご老人を見掛けても退治しちゃダメです。絶対に返り討ちにされます。生っ白いのにムッキムキで気持ち悪いのですが、歴とした街の人です。


 この街の人は基本的に家の中で一日を過ごしています。雨が多いので。


 家の中では皆さん筋トレして過ごしているのです。それこそ皆です。


 なのでこの街の人は全員がマッチョです。幼児もマッチョ。幼女もマッチョ。青年もマッチョ。少女も腹筋バキバキです。


 おばちゃんもムキムキで、おばあちゃんもムキムキです。


 いつもは服を着ているのでそこまで目立つマッチョは……まぁ沢山居ます。雨の日はそれでも大丈夫なのです。


 この街に稀に訪れる晴れの日。


 これにぶち当たったらすぐに街を離れましょう。


 この街の人は晴れになるとみんな外で日光浴をするのです。これは別段おかしな事ではありません。ヨーロッパ諸国では普通に行われている習慣でもありますし。


 でも全裸なんです。


 老いも若きも。


 全員。


 全員がマッチョ。


 老いも若きもマッチョです。


 全裸マッチョなのです。


 生っ白いマッチョ街人が太陽の光を浴びて輝くのです。生っ白いボディに陽光が反射して眼がやられます。外部の人間は間違いなく眼をやられます。


 スケベな野郎も殺れるのでそれはそれで良いのですが、この日はたとえ外部の人間であっても全裸を強制されてしまうのです。


 ええ、脱がされます。


 女性は、おばあちゃん達の手によって。男性も……まぁ大半は、おばあちゃんですね。


 すごく良い笑顔で脱がしに来ます。こうなると絶対に逃げられないので諦めましょう。


 そして街の人達と一緒に全裸で日光浴です。


 ただの日光浴ではありません。マッチョ日光浴です。


 マッチョの群れに一般人が放り込まれるのです。


 生っ白ボディに照り輝く陽光の中。薄目でも分かる街人の筋肉具合。自分の貧相な肉体と比べて落ち込みます。とんでもないダメージを負うのです。


 この街は幼女ですら腹筋が割れています。イカっ腹の幼女など存在致しません。だるだるのおばあちゃんも存在致しません。


 ムキムキです。


 ええ、ムキムキなんです。


 綺麗なお姉さんもギチギチの太ももをしております。半ズボンの似合いそうな少年も脱ぐと化け物と化します。


 私は取材した初日にぶち当たりました。


 あっという間の出来事だったんです。


 ええ、ほんとうに。





 ここは雨の降る街。


 晴れになるのは年に二回が良いところ。


 キノコと工芸品が有名な街です。

 

 あと街人がマッチョです。


 ここにお越しの際は必ず天気の確認を。

 


 今回の感想。


 全裸に引っ張られましたね。あとマッチョ。ひーちゃんは強いなぁ。


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