サンタさん
小説を書き始めた素人です。
筆を折るのが嫌なので完成したらすぐに一部分を掲載していこうと思います。
これは、私の苗字が変わる前の話。
「ねえ、今年はサンタさんうちに来るかな?」
小学校の図書室で借りてきた本を読みながらママに聞く。
「サンタさんはママの言うことを、よく聞く子に来るのよ」
スマホを触りながら興味のなさそうに返事をする。
冬は私の好きな季節だ、日頃から長袖長ズボンを強制される私にとっては心地が良い。
今年はママの言うこと子しっかり聞いてきたつもりだからプレゼントをもらえる気がしていた。
ルカちゃんの着せ替え人形セットがもらえるといいな、そんなことを思いながら私は胸を躍らせていた。
「ガチャ」と扉が開き母親は大きく足音を立てながら玄関へ向かう。
外は雪が降っていた。
「どうして今日は遅かったの?」
父の上着を受けとりながら上機嫌そうな声で母が言う。
「ああ、同僚との付き合いで遅くなった」
そんな声は母に届いていないようで上着のポケットに手を突っ込んでいた。
何かを思い出したのか父はやめろ、と上着を取り返そうとした。
しかし、きれいなネイルをされている手は上着を離さなかった。
そこには酔って顔を真っ赤にした父と母より数段も若いであろう女の写真が入っていた。
「同僚との付き合いなんだ!」
「クリスマスなのに私を置いて他の女のところに行ってたのね?」
「なんで?なんで?なんで?私はあなたを愛しているのに、どうして貴方は私を愛してくれないの?」
「愛してるよ」
雑にママにハグをする父。
「これでいいだろ」
ママは抱き返さなかった。
廊下を歩いて部屋に入ってきて、タバコを吸う父。
ふらつきながら母は部屋に戻ると台所から包丁を取り出し後ろから父を刺した。
赤いしぶきが机の上においてある、ケンタッキーの上にかかった。
それはまるでトマトケチャップのようでおいしそうだった。
頭から倒れる父と震えた手の母。
「貴方が悪いのよ!」
カバンから睡眠薬を取り出し水で流し込みしばらくすると母は倒れた。
無機質なサイレンの音とともに白と黒の車がやってきた。
私はサンタさんが来たと思い、玄関へ向かった。
サンタさんは優しく私を抱きしめて「大丈夫」
サンタさんの体温はホッコリとした暖かさではなく、生暖かいものだった。
しかしそのプレゼントはルカちゃんの着せ替えセットより私が望んでいたものだった。




