幸せに満ちる島-20
「これはなんだい」
エイジの質問にジョアは苦笑をもらす。
「すみません。これはデタラメなんです。誰かが趣味でそれっぽいものを作ったら、所長が気に入ってしまって──」
その時、ホールの奥にあるもう一つの扉が開いた。三人の男たちが入ってくる。先頭を歩いてきた男がジョアを見て驚いた声を出した。
「ラウラ副次官、てっきり今日はいらっしゃらないものと──」
媚びた表情を見せた小太りの男は一、二歩前へ出てからエイジとドッジに気づき、顔色を変えた。二人がのぞき込んでいる模型に駆け寄ると、遮るように体を入れた。
「ラウラ副次官、この者たちは?」
じろりと視線を向けて問いかけてくる。
「モモカが世話になった方です。アメリカからビジネスでいらしたそうで、この国の発展のほどを知りたいと」
「アメリカ人が、モモカさまに!?」
小太りの男は露骨に不審の目を向ける。しかしエイジたちは、とびっきりの笑顔を浮かべて強引に相手の手を握った。
「どうも、はじめまして。ティアッツ・エンタープライズの者です」
お構いなしに向けられる笑顔に、小太りの男はオタオタとし、エイジはそんな相手からさっと離れると、残るふたりの男へと歩み寄った。眼光の鋭い長身の男が前に出て立ち塞がった。エイジはその男にはかまわず、後ろに立つ男へと目を向けて手を差し出す。エイジの手を、男は黙って見つめている。
日に焼けた肌、面長で彫りの深い顔立ち。表情は穏やかに見えるが、目つきには険しさもある。砂漠に一柱立ちそびえる大岩のような男だった。男はエイジの手を取った。
「ようこそ、アメリカ人」
「お目にかかれて光栄です、ハエム議長」
「私のことを知っているか、アメリカ人。この国へなにをしにきた」
「ビジネスの可能性を探しに。できることなら、見込みがあると本社に報告したいとおもっています」
「そうか。この国をよく見ていってくれ。互いにメルバに満ちた関係になることを望むよ」




