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あたり前の話

作者: 妻平 奏


女房が逝ってから4年


還暦もとうに過ぎて


寂しさやら好奇心やらで、マッチングアプリに登録してみた


亡妻にいささかの後ろめたさみたいなものを感じながら、、、


まずは、プロフィール画像


当然のことながら、見映えのいいものを探す事になる


ということは、少しでも若く見えた方がいいと頭の上で囁くイタズラ小僧の声


結果2~3年前の写真から爽やかに微笑んでいる画像をセレクト


この時点で、プチ詐欺


次に、経歴


仕事や収入や趣味を入力


話し相手を探していて、結婚は考えていないとも表示


完了を押して、アクセスを待つ


待っている間に、女性たちのプロフィールも見ることができる


気になる人がいれば、いいねをして足跡を残す


沢山の女性のプロフィールを見て、少々驚いた


離婚のシングルマザーがいる一方で、未婚のシングルマザーも結構いる


彼女たちの自己紹介を読んで、共通の背景を感じる


婚活を通じて、生活苦から逃れたいとの裏事情


もちろん一人でキチンと子育てを完遂させている人もいるにはいるが、、、


それとて、事実かどうかは多いに疑念が残る


経済力のあるイケメンをゲットすべく、プロフィールもこってり着飾っているのかもしれない


実際に付き合ってみなければ、ほんとのところは判らない


金だけ取られて、バイバイなんて事も考えられる


実際にマッチングした人も、出身地や居住地が嘘だった


しかも、悪びれる様子もなくその程度の嘘なら誰でもやってると、うそぶく


この時点で、テンションメーターは、50まで半落


けれども、せっかくマッチングしたのだからと目をつぶってしまう


ハナから逢う気も、結婚する気もない当方だから、さほど気にすることでもない


後々、トラブルになったらその事で多少の逆襲も可能だろうと呑気に考える


しかしだ


メッセージのやり取りを続けるうちに、先方は、勝手に盛り上がり、電話番号を聞いて来たり、逢いたいなどと言い出す


ここでぶれてはいけない


「話し相手を探してるだけだよーー」


寂しいと言いながら、独り暮らしを謳歌した4年でもあった


今さら誰かに合わせて暮らすなど想像もできない


マッチングした彼女は、電話で自分のことを延々とまくし立てる


こちらの話はほぼきかない


朝から夜9時まで喋り続ける


実父を発達障害と罵るが、似たようなものだ


自分が不幸なのは、親のせいだとも言う


歪んだ特権意識をちらつかせてわめき散らす


ある日 就職の身元保証人になってほしいと言ってきた


思わず「関わりたくない」と返す


怖いほどの沈黙が続いたあと


その人は、ポツリと


「それが、本音なんだね、、、」


「いつも本音で話してるよ」


しばらくして、電話は切れた


マッチングアプリの出逢いが終わった瞬間だった


数々の男性遍歴を重ね、実家に舞い戻り


高齢の親の年金で暮らしながら、スマホを駆使して金づるを探す無年金者


生活が破綻するのは目にみえてる


10ヶ月ほどのバーチャル恋愛は、こんな風に終わるんだ


あたり前の話


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