09 歳
早朝、三人で城門まで来た。
ササエさんはここまで。
世話になったと頭を下げると、私とノルシェを見比べながら潤んだまなざしを向けてくる。
「久々に良い仕事が出来ました」
どうやら、例のふたりの下職の手助けが出来なかったのが相当に悔しかったらしい。
「これからも召喚者たちのことをよろしくお願いします」
「喜んでっ」
ノルシェとふたり、城下町を歩む。
ずっと城暮らしだったので、街の喧騒がどうにも居心地が悪い。
おそらく能面のような表情だったのを見かねたのだろう、ノルシェが手を繋いできてくれた。
「大丈夫ですか、モノカ」
「あちらの世界でも人混みは苦手だったので、これからも迷惑を掛けると思う」
「片手じゃ足りないなら、両手を繋ぎますよ」
良き友を得た。
「まずは冒険者ギルドで登録、だったかな」
「お腹が空いていないなら、直行しますね」
程なく冒険者ギルドに到着。
大きな建物の中はかなり混雑していた。
ノルシェに手を引かれるまま、新人窓口と書かれたところの列に並ぶ。
「今日は登録だけなので、すぐに終わります」
列が数人進み、私たちの番に。
登録は簡単に済み、冒険者カードとやらを受け取る。
ラウンジの空いている場所で、お互いの冒険者カードを見せ合う。
ここで衝撃の事実。
「ノルシェはもっと年下だと思っていた」
「モノカって年上だと思ってました」
同い年の15歳
考えてみれば、背たけも体格もほとんど同じ。
どうして同い年だと思わなかったのだろう。
たぶんノルシェも同じことを考えていたと思う。
顔を見合わせて、笑った。