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08 前夜
下準備をとっくに済ませていたササエさんの指示は的確だった。
ノルシェ殿は私の担当神官への下職の報告と根回し。
私はササエさんが準備してくれていた旅の荷物の確認。
そして夜は三人で夕食をとりながら、旅についての注意事項講座。
ひと通り説明が終わって、今は取り留めの無い会話。
「ノルシェ殿にひとつだけお願いがある」
「なんでしょうか」
「私たちの関係を鑑みるに、これからはノルシェと呼ぶことを許して貰いたい」
「では私もモノカと呼びますね」
ササエさんがうつむいてぷるぷる震えているので、具合が悪くなったのかと聞いてみた。
「お構いなくっ」
今日は早めに眠るよう告げて、明日に備えた。




