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30 爆発


 お料理の席も、少しカオス。


「自信作なので冷めちゃう前に食べちゃってくださいよぅ」


 ニエルさんの悲痛なまでのおねだりに、戦闘後の装備のままで食卓に着いた一同。


 リリシアさんが優しく席に座らせてくれたのに、夢見心地の表情で礼も述べないノルシェなんか、もううちの子じゃありません。


 本当、爆発しろ。



 着席前に手ぐらい洗いたかったな、などと考えていたら温かいおしぼりが全員の前に配られた。


 この辺りからニエルさん株が上がっていく。



 パスタですよ。


 お料理はあまり得意では無い、どころかそうめんとひやむぎの区別が付かないくらいに料理音痴の私でもこりゃあ美味そうだと唸ったくらいに立派なパスタですよ。



 うめぇ。



 残念ながらパスタの種類どころか料理の知識すらお粗末な可哀想な私です。


 見た目とか味とか香りとか、どうこう言う評論家気取りがいたら胸ぐらつかんでこう言ってやりますね。


 御託は良いから黙って食えや。



 いや本当、同じ食卓を囲んでいる方々をチラ見する間も惜しんで食べる事に集中しました。



 気が付いたら、テーブルの上は食後のお茶のみでした。


 ちょっと真剣に考えちゃいましたね。


 この辺の空き家の中に料理上手なサキュバスが落ちていないかなとか、


 ニエルさんのお姉さんか妹さんを紹介してもらおうかなとか、



 魔族だからどうだって言うんですか。



 さっきから顔が真っ赤で人間らしい反応が何ひとつ出来ていないうちの子なんか、どうせもうすぐ爆発するんですよ。



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