17 宿
まずは宿に泊まることになりました。
ノルシェは早くリリシアさんに逢いたいとごねっ娘でしたが、
「旅の疲れを取って万全の状態のお顔で会いましょう」 という説得が功を奏しました。
門の近くの大きめの宿、手続き前にご主人に相談。
「旅の途中で変な男の人に襲われそうになったので、出来るだけ安全な部屋が良いです」
ご主人すごく同情してくれて、二階の奥にあるやたらと扉が頑丈そうな部屋を用意してくれました。
なんかお年頃の娘さんがいるとかで、他人事じゃ無いって心配してもらえました。
ありがとう、ご主人。
お部屋の中は結構広め。
居間っぽい部屋、寝室ふたつ、小部屋、シャワー、トイレ、
思ってた以上の室内の造りの良さの理由が気になって聞いてみた。
この町の名物の温泉に結構なお偉いさんも来るので、おもてなし用に造られた贅を凝らした内装と安全設備が自慢のお部屋、とのこと。
いわゆるVIPルームだったのね、ここ。
食事は一階の大広間で、事前に言ってもらえればこの部屋までお届けも可。
ご主人にお礼を言うついでに、怪しい男の風体を告げる。
30代前半くらいで右腕が義手っぽい男に注意。
情報ありがとうございますと感謝するご主人。
良い部屋をありがとうと感謝する私。
ご主人と私がぺこぺこ頭を下げ合うのを、ノルシェが不思議そうな顔して見ていた。




