弱弱(じゃくじゃく)
向かい風が強すぎて さしたい傘もろくにさせず
傷つきやすい夜の心に しみる小雨が涙みたいで
気づけば滲んだ視界の中に みじめな人間以外がおらず
なんだか笑っているような 裂く包帯に似た雨の音
昔から意志が弱いのは 誰かを傷つけたくないからと
無理して強がる内なる声は ずっと幼いあの頃のまま
ずぶ濡れになった羽のない 綺麗に飛べないあなたのような
足元の蛾を踏み潰し 前に進めない私の弱さ
柔らかいあなたの手 弱みを握っているようで
ひとり遅れるのが嫌で どこにも行かないよと嘯く
擦り剥けたままの心は 安価な消毒液のにおい
あっけない泡立ちを見て どっか行けよと言えない 言えない