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優等生、恋愛ができない。  作者: 十五夜シン
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第一話 仮面を脱げる日は来るのだろうか

これは、俺の考えに過ぎないが、「優等生」と「劣等生」は表裏一体である。


「優等生」という言葉には、二つの意味がある。


一つ目の意味は、学業に励み、成績優秀な生徒・学生。


二つ目の意味は、優秀だが、面白味に欠け融通のきかない人。


である。


単純だが、俺は後者の意味からそう考えた。


最良 優、すなわち俺は、この学校で優等生と呼ばれている。


それも、前者の意味で。


優等生の仮面をかぶってるに過ぎないのに。


何においても人よりほんの少し優れているというだけで俺はありのままの姿ではいられない。


器用な人間なら仮面を被らずともありのままの姿で、もっと上手くこなせるのかもしれない。


だが、俺にそんな器用さはない。


皮肉なものだ。何においても優れているはずなのに。


いつか、仮面が顔に貼り付いて脱げなくなってしまうこともあるのだろうか。


そうなってしまった者も少なくはないのだろう。


仮面を顔に貼り付ける接着剤は、人の目だ。


それは、一度着いたら簡単には剥がせない。


剥がせても、顔に傷がつく。


正直に言おう。俺は顔に傷がつくことを恐れている。


だから、決して仮面を脱ぐつもりはない。


学校において、本当の俺が個性のない「劣等生」だと知ってて良いのは、そう、俺の隣にいるこいつ、姫川 朱莉だけだ。


名前だけでなく、顔、おまけに声も女の子っぽいが、正真正銘、男の子である。


幼馴染である俺が言うから間違いない。


いや、別にこれまでに男だという証明をしてもらったわけじゃないからね?本当だよ?


「ねえ。優。聞いてる?」


「ん?ああ、聞いてたぞ。俺が朱莉の話を聞き逃すわけないだろ?で、なんの話?」


「いや、全然聞いてないじゃん…。入学からもう三ヶ月経ったのに部活に入ってないの僕たちだけだっていう話だよ!」


そうなんだよなぁ。もう三ヶ月も経ってるんだよなぁ。いやぁ、時が経つのは早いですねぇ。

ってか、たった三ヶ月で優等生判定喰らってる俺、超優秀。


「そうだな。部活か。でも、部活入ると、色々と縛られるからなぁ。家で寝てたい。」


実際、部活に入ってしまうと、確実に勉強時間が減り、優等生の仮面が剥がれ落ちてしまう恐れがある。

それに、縛られるなら女の子に縛られたいです。


「いや、無理だよ。うちの学校、全生徒、一年生の三学期までに部活に入らなきゃいけない決まりだから…。」


「よし、猶予は長い。三学期から本気出す。」


「今のうちに部活決めておこうよ!それに、面白そうな部活見つけたんだ!」


ほう、どんな部活だ、と、俺は表情だけで問う。


「友情研究部って言うんだけど…」


「なんだその部活…。如何わしいな。っていうか、この学校にそんな部活あったのか…。」


全生徒に部活が強制されるこの学校で、知らない部活が存在するのか。

部活動紹介でも紹介されてない気がする。


「僕が聞いた話だと、部員は一人しかいないらしいよ。去年できたばかりの部活でその部員は二年生の先輩って言ってたかな。」


「そんな影の薄い部活の情報、誰から聞いたんだ?」


朱莉にスパイの才能があったとは…。

馬鹿なことを考えているうちにすぐに返事が返ってきた。


「多々良川先生だよ。友情研究部の顧問をしてるんだって。」


「ああ、あの二年生の担任で、俺らのクラスの現代文を担当してる先生か。」


あの先生、ダメダメなんだよなぁ。この前なんて現代文の授業なのに古典の教科書持ってきてたからな。


「まあ、ガミガミうるさい先生よりかはマシだな。気が向いたら覗いてみるわ。」


「それ絶対うやむやにして入らないやつじゃん。一緒に入ってよぉ!」


ちっ、バレたか。さすがは幼馴染。

それにしても、こいつ、俺のこと大好きすぎるだろ。


「わかったよ、とりあえず放課後に見に行ってみるか。」


それに朱莉一人で怪しい部活に入るのも心配だ。しょうがない。


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