第3話〜モンスターマスター〜
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・名前/暗内智
・年齢/性別/22歳/男
《身体的能力》
・Lv.17
・HP1870/1870
・MP0
・攻撃力=30
・守備力=18
・俊敏性=35(+5)
・攻撃魔力=0
・支援魔力=0
・守備魔力=32
《特殊技能》
・【モンスターマスター】Lv.2
・【鑑定眼】Lv.1
・【逃げ足】Lv.MAX
《装備》
・なし
《アイテム》
・48/60
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タブレットに浮かび上がったコレが、俺のステータスだ。
このステータスタブレットの出し方も夢から覚めたら理解し、すぐに使えていた。
ゲームの取説を頭の中に直接ブチ込まれた気分だったな。気分は……良くわからん。自分の好きな漫画やラノベみたいな展開が自分の身に起きた嬉しさと、寝てる間に脳味噌を弄られた恐怖。
この異能を使った時の感覚を言い表すなら、“使えるようになった”じゃなくて“使えるのを思い出した”だ。
新しく記憶に追加されたんじゃなく、記憶をねじ込まれている。怖くない訳がない。
そんな恐怖の感情と喜びの感情がせめぎ合っている最中に――ダンジョンが出現した。
あっという間って、ああいう時に使うんだろう。
テレビの緊急生中継で映し出される、押し潰された東京タワーの上にそびえる塔。
都市に溢れる、怪物の群れ。自然の猛威。とんでもないスプラッタ映像が俺のテレビに映し出されていた。
家の外ではパトカーや消防車のサイレンが鳴り響き、人の喚き声や怒声、大群が走る足音が俺の耳を震わす。
あの時は外に出るのも怖すぎて急いでカーテンを閉め、押し入れの中に布団を詰め込み、その布団の中で震えて時が過ぎるのをひたすらに待っていた。
「何度思い返しても、外に出なくて正解だったよなぁ。自宅大好き人間(引き篭もり)で良かったわ」
最後の焼き鳥を口に放り込んで、過去の自分が下した英断に自画自賛する。
言い方は悪いが、逃げ惑う人達がいたおかげで俺みたいな引き篭もりをターゲットにするモンスターがいなかった。
沢山の犠牲があって、今の俺がある。普通なら精神に来そうだが、引き篭もりは精神が強い。
今日もご飯が美味いな!
「ごっそさん」
空になった缶詰を捨てて、改めてステータスタブレットに目をやる。
約一年、特殊能力を使い戦ってきた。その結果がLv.17。
いやまぁ、ぶっちゃけクソ低い。お前一年間なにしとったんと言われるレベル。
ゲームと同じく、モンスターを倒せばLvは上がる。
Lv.17なんて、正直ちゃんと戦う連中なら2〜3ヶ月もあれば簡単に到達出来る範囲らしい。
この前Lv.10程度しかなかった人達を数ヶ月ぶりに見かけたが、会話を盗み聞きしているとなんと全員Lv.30前後にまで強くなっていた。俺のLv.17がいかに低いのかが分かる。
なら、なんで俺はこんなにもLvが低いのか。
それは俺の特殊能力【モンスターマスター】に起因する。
タブレットに映る【モンスターマスター】の項目を指で押すと、【モンスターマスター】の詳細がタブレット画面に表示される。現代っ子に優しい操作感だ。
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・【モンスターマスター】
《特殊能力説明》
・特殊能力最上位格の能力。全階級のモンスター捕獲を可能とし、強力な育成補助、モンスターの進化を行える。
《特殊能力・モンスターマスター所持者が使用可能になる能力》
・匣水晶(初期能力)
この匣水晶を使用することで全てのモンスターを捕獲することが出来る。匣水晶には水色→黄色→赤→虹の色があり、左から順にモンスターが捕獲しやすくなる。
使用方法はモンスターに向かって匣水晶を投げるだけ。匣水晶で捕獲する時、モンスターは抵抗をする為、出来るだけ弱らせているとより捕獲難度が下がる。
匣水晶によって捕獲されたモンスターは匣水晶内にいる際、自動的にHPが少量ずつ回復していく。
・育む者(初期能力)
捕獲モンスターのレベルアップ必要経験値減少。レベルアップ時のステータス上昇にプラス補正 。進化時のステータスアップにプラス補正。
特殊技能を“魔獣結晶”と引き換えにテイムモンスターに習得させる事が出来る。
捕獲モンスターがどのLvで何の特殊技能を習得するか、ステータスタブレットより確認する事が出来る。
捕獲モンスターの特殊能力レベルアップ早熟効果。
捕獲モンスターが定められたLvに達すると進化を行うことが出来る。
モンスターを捕獲した瞬間から、特殊能力【モンスターマスター】を所持する者は自身のレベルアップ時のステータス上昇値がHP以外著しく下降する。レベルアップ必要経験値が増大する。
・上級匣水晶作製(Lv.2到達解放)
モンスターのドロップアイテム、ダンジョン内で発掘出来る鉱石を用いて通常の匣水晶より捕獲難度が下がる匣水晶を作製する事が可能になる。
・(能力Lv.3に到達で解放)
・(能力Lv.4に到達で解放)
・(能力Lv.4に到達で解放)
・(能力Lv.MAXで解放)
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この【モンスターマスター】の能力、【育む者】の効果によってレベルも上がり辛ければ、ステータスがほとんど上昇しなくなった。
しかし、俺は全く気にしていない。
この【モンスターマスター】という特殊能力のおかげで、今まで俺自身には大きな危険もなく平穏無事に過ごせてきたのだから。
能力の内容を見たら分かるだろう。そう、ポケ○ンだよポケ○ン。
掌に収まるサイズの匣水晶をモンスターに投げて、捕まえて、戦わせる。
ポケ○ンと違うのはモンスターを捕獲する時、率先して俺を殺しにくるところくらいだ(致命的)。
モンスターに匣水晶を投げて捕まえる。言うは易し行うは難しとはよく言ったもので、とっ捕まえるまでがキツかったなぁ。
まず第一関門、外に出る。第二関門、群れていないモンスターを見つけ、近くに他のモンスターがいないことを確認する。第三関門、モンスターに匣水晶が届く距離まで近づくこと。
例え匣水晶が当たっても、捕獲は確定じゃない。失敗することもある。むしろ、体力を全然削らなければ成功確率はゴブリンで五分五分くらいだった。
「人間、生死が懸かるとマジで頑張るんだよなぁ」
ゲーム以外であんなに本気で物事に励んだことなんてなかった。
生き残る為にモンスターを最低でも一体はテイムしなくちゃいけなかったから、必死だったな。
最初に捕獲したのは小汚いゴブリンだった。
民家の影に隠れ細心の注意を払いながら街を散策していると、偶然一匹でうろついているゴブリンを発見。
俺の能力を使う絶好の好機。絶対逃すものかと、全力で匣水晶を投げてとっ捕まえてやったよ。
学生の頃、校内で一番肩が強かった(遠投82m)ので、わりと遠い距離からでも狙う事が出来た。
見事、頭に命中したおかげでそれがダメージとなり捕獲に成功。10cm台の水晶が高速で頭に飛来したんだ、中々のダメージになっていたと思う。
最初の捕獲モンスターが汚ったないゴブリンっていうのが今思えばどうなんだと思うけど、あの時は捕獲出来たという結果に狂喜乱舞したのを覚えている。
はじめてポケ○ンGETした時の興奮なんか目じゃなかったもんな。正直、勃ってたんじゃないかとさえ思う。
急いで匣水晶を回収し、全力で家に帰ったっけ。
そこから、俺の華々しい【モンスターマスター】生活がはじまって――は、いない!
「おもっくそ“はじまりのまち”で止まっとる」
恥ずかしながら、自分……一年かけてテイムしたモンスターはゴブリン3体と闇烏2体。コボルト3体の合計8体のみ。
ダンジョン攻略が進み、その過程でモンスターの種類も数多く分かったことで、モンスターに階級が付けられた。
この階級は、人間とそのモンスターが戦った時の危険度によって高い低いが定められる。
階級はゲームに倣い、S.A.B.C.D.E.F.G。左側がもっとも危険度が高く、右に行くほど危険度は低くなっていく。
そして我が軍団の一員、ゴブリンの階級は……G! 闇烏もG! コボルトもG〜! オールGッ!
拙者、【モンスターマスター】と言いながら全くモンスター捕獲してない侍!
え? 一年間なにしとったんお前マジで、だって? 馬鹿野郎! 安心して眠れる住処を捨てて、さぁゴブリン達を連れて冒険の旅に出かけよう! なんて出来る訳ねぇだろ!
ポケ○ンじゃねーんだよこの世界! チャリ漕いで呑気に旅なんか出来ねーよ! 俺が住んでるここら辺はF級より上のモンスターが出ないから良いけど、ここから離れればそれ以上のモンスターが出る可能性はおおいに高い。
だから俺はまず捕獲で手持ちを増やすんじゃなく、俺は【モンスターマスター】の能力のひとつである“育成”に力を入れてみようと決めたんだ。
どうせ、近所にいるのはゴブリンかコボルト。たま〜に闇烏が空から見てるかなくらいだ。
捕獲しようと所詮G級。10匹が束になってもF級のオークやリザードマンには歯が立たない。階級が違うっていうのは、それほど明確な差がある。
だったら小数のモンスターだけを手持ちにし、集中的に育成する。たくさんを手持ちにすれば広く浅くの育成になってしまうと考えたからだ。
そもそも匣水晶も無限じゃないし。生成する必要があるから、あまり使いたくないってのが本音ではある。
そして、地道な育成を重ねて……F級を捕獲する。出来るなら2体。日常生活で、瓦礫の撤去や樹木が邪魔で通れなくなった道をパワーで押し通る事が出来るオークが望ましい。
俺が住む近辺にはほとんど現れないが、稀にオークとかのF級モンスターが歩いてたりすることはある。それは夕方や夜に多い。
ゴブリンを捕獲してから、近所に生息するモンスターや、各時間帯で現れるモンスターに違いがあるのかと調べたら、F級のモンスターは夕方以降に現れる傾向にあると分かった。
というよりモンスター自体、夜の方が活発に動きはじめる。なんでだ? と少し考えたが、恐らく人間が夜は寝るものと知っているんだと思う。だから夜に寝ていたり、疲れで弱っている人間を狙い、活発に動いているんじゃないか? という仮説を立ててみたりしている。
ちなみに本当の理由は知らん。とりあえず夜には強めのモンスターが出るってだけだ。
本当なら夜に出歩きたくはないんだが……闇烏は夜目が効く。戦闘用というよりは、偵察用に2体とも育成してある。
片方が遠方に飛び、もう片方を俺の頭上に配置。
遠方に飛んだ闇烏がモンスターを見つければ空中を2回旋回するよう言っており、頭上の闇烏がそれを確認次第、俺の頭上をその回数旋回する。
やっぱり空を飛べる鳥はこういう時に便利だ。
こうやって必要以上の戦いは避け、地道な育成努力を重ねてきたのだよ。
そ〜し〜て〜……時は来た。
夜に行動しても、例えF級モンスターに遭遇しても捕獲出来るだけの我が軍団がッ!
タブレットをちょちょいっと操作すると、ステータスとは別の画面に変わり《スタンバイ・モンスター》という画面になる。
そこには『ゴブリン×3 コボルト×3 闇烏×2』と表示されている。
試しにゴブリンの項目をタップすると、ゴブリンの“ステータス”に画面が切り替わる。
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・種族名/名前/ゴブリン/一太郎
・性別/♂
・階級/G+
《身体的能力》
・Lv.30
・HP1290/1290
・MP0/0
・攻撃力=96(+15)
・守備力=48
・俊敏性=76(+15)
・攻撃魔力=0
・支援魔力=0
・守備魔力=62
《特殊技能》
・【攻撃力上昇・Lv.1】
・【俊敏性上昇・Lv.1】
・【逃げ足】Lv.MAX
・【チームアタック】
《装備》
・包丁(攻撃力+5)
《レベルアップ必要経験値》
・180/2750
《進化》
・Lv.36到達=ゴブリン・エリート/階級=G+→F
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