第29話〜交錯の予兆〜
後書きに報告あり
東京大樹海に程近い、旧豊島区。
池袋ダンジョンの侵食により、池袋の街並みは一切残ってはいない……のだが、ビルのように立ち並ぶ巨大樹に紛れ、なんの損傷もない建物が一つ。
池袋集会場、兼、ギルド『血闘師』の本部である。
魔法で創りあげただけに、専門職が作るほどの綺麗さ精巧さはないが、頑丈さだけで言えば通常の建造物の比にならない。
そのギルドの中、『血闘師』の幹部のみが立ち入ることを許される一室で、一人の男――速見寿久は新たに入った情報を目にして、眉間に皺を寄せ唸っていた。
「くそ……またこれか」
“緊急速達。上板橋ダンジョン、大型化。出現モンスター階級上昇”。
最近、やけに増えているダンジョンの成長。大型化はこれで4つ目。
他の幹部は成長した大型ダンジョンクリアの為に出払っており、今は自分しかこの本部に残っていないというのに。
「俺は戦闘タイプの特殊能力は得意じゃないんだが……」
行かざるを得ないだろう。
上板橋近辺には比較的危険度の高いモンスターが出ない、今の日本なら生活拠点にしやすい場所だ。
レベルの高い攻略者も多くはない。
成長した直後の今……モンスターが外に出ていない、今が叩くベスト。
「……」
速見は眉間を強く揉み、沸々と煮える苛立ちに身を焼いていた。
結局、出来もしない超大型ダンジョンの攻略に時間を使って、その結果が大型化か、と。
眉間に深い皺を刻んだまま、速見は耳の少し上あたりに指を当て、ギルド内に残るメンバーに“思念を送る”。
「緊急だ。上板橋ダンジョン、大型化。攻略へ向かう。漆原、湯川、いるだろう。前衛と後衛の部隊を率いてくれ。20分後、ギルド前に全員集まるように」
渋い顔の速見は鋭い眼光でもって、ダンジョンのある方角を睨む。
「毎回、毎回……嫌になってくるな、えぇ? ダンジョン……」
――◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇――
「いやぁ、楽しくなってきたなぁ! ダンジョン!」
捗る捗る、レベ上げが捗るぞぉ!
キャリオン・ハウンド、強さはともかくLv.40前後のD級モンスターであることに変わりはない。
相応の経験値は入るし、なにより魔獣結晶(中)が本気で美味い。
紙装甲ってのを知ってるから、遠距離からカーくんの魔法で仕留めちまえるし。
今行えるレベリングの中で、最高効率を見つけちまったなぁ〜これは。
マジでみんなから不評だけどね。あともうちょっと、あとほんのちょっとで進化指定Lvだから! それまで我慢して! と一生懸命言い聞かせている。
あと、進化と言えばキャリオン・ハウンドだ。
特殊能力LvがMAXになったら進化という珍しい条件
HPが0になったら特殊能力Lvも上がるっていう、全てにおいてはじめてのモンスター。
一体、どれくらいの速度でHPが減るんだい? と試してみたら、けっこう減っていく。
頭の中にHPバーを想像してもらって、そうだな、そのHPバーが1分も経てば半分くらいまで減っているだろう。
かなり早い速度でHPはなくなっていき……0になるとキャリオン・ハウンドは力なく倒れてしまった。
が、ものの数秒後には何事もなく立ち上がっている。
そこで気が付いたんだが、瀕死状態では【腐敗した身体】の特殊能力は発動出来ないっぽい。
なんとなくそう思ってたけど、改めて見るとそりゃあそうだよなって感じ。
HP1の状態で特殊能力を発動出来たらLvなんてMAXのはずだからな。
んでもって、肝心の特殊能力Lvだが……一度の死亡で4に上がった。
普通の特殊能力ならレベルアップに必要な経験値と熟練度が緩和くらいだが、この【腐敗した身体】に関しては必要回数が緩和されるみたいだ。
想像通りと言うか……進化がかなりしやすいぞコイツ。
進化をし続けてもステータスは低そうなのが難点だが、面白くはある。
レベ上げの対象としては上手いし、育成対象としては興味深いし、中々の良モンスじゃないかキャリオン・ハウンド。
その見た目と臭いでプラマイゼロ、いやマイナス域だけど。
ゲジゲジみたいな奴だ。益虫なのに、見た目だけで毛嫌いされてる感じが。
だが、俺は忘れないぞ。お前と言う存在のおかげで、初期組のD級到達が見えてきてるんだからな。
読んでくださり感謝です。
年末休みのはずが、職場に駆り出され投稿が遅れてしまいました。
恐らく、明日の方が忙しいので投稿は92%出来ないと思われます。
この報告がしたくて投稿したので本文クソ短くてさーせん!




