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第28話〜腐敗した身体〜


 はいはいはい、なるほどね? 3体で1体だからステータスは若干低め(E級と比べれば高い)って感じか。


 てか、なんだよこの【挑発】って特殊能力。コイツ等、特殊能力で挑発してやがったのか。

 どうりでやたらイラッとした訳だ。

 相手の精神を乱すって効果に書いてあるけど、効果量は大したことなし。デバフ扱いにもならないぞこの特殊能力……マジでイラつかせる為だけの能力とか、誰得だよソレ。


 間違っても戦闘中に【挑発】だけは使うなって言わないと。

 煽るだけ煽った結果、敵がブチギレて予測不能の動き方をされたらこっちが困るし。

 そのままドルベロスのステータスを流し見していくと、今まで見たことのない系統の特殊能力に気がつく。

 

喪失強化ブースト・オブ・ザ・デッド……げっ」


 特殊能力の詳細を開いてみると、そこにはこう書かれていた。


 ドルベロスが1体倒される度、全ステータス上昇(+100)。ただし、失ったHPは回復不可(永続)。


 マジで危ねぇ。これ、1体でも倒してたら残りの2体が強化されるから、オールステータス500超えのモンスターが2体になる所だったのか。

 HPが回復されないというデメリットはあるけど、こんなん効果を知らなかったらデメリットでもなんでもないだろ。

 初見殺し性能高すぎ。


 しかも、文章は倒される“度”だから、2体倒したら合計でステータスが200上昇するだろ。

 危な。先に捕獲しといて大正解。

 俺だったら1体ずつ倒して確実に倒すって作戦にしてただろうし。


「これ、キャリオン・ハウンドも捕獲して特殊能力の内容見たほうが良いか?」


 低階級とは言われなくなるD級のモンスター。特殊能力の内容が明らかにE級までのモンスターとは異なるモノに変わってきている。

 属性付与の特殊能力に、混乱や幻惑などの特殊状態異常の付与能力。


 キャリオン・ハウンドも何かしら変わった能力を持っている可能性は大いにあり得る。

 

「でも臭っせぇんだよなぁアイツ……」


 遠くからでも臭うし、見た目も悪いし……でもこれで強酸性の体液を吐くとか、エグい能力を持っていたりしたら洒落にならないし……。


 今ならD−級のモンスターが擬似的にだが4体もいるし、捕獲自体は楽に出来るだろう。

 やる……やる、か? …………いやッ、やろうッ。生存確率の上昇を図るには、敵の情報を知ることからだ。

 モンスターの情報を全て乗っけてくれるwikiなんか無いんだ、ないなら自分で調べるしかない。


「……これで、倒した時に臭い体液撒き散らかすとか最悪の能力持ってたりしたら、最悪通り越して笑けてくるよな」


 自分で言っておいてなんだが、あの体液がぶっかけられると思うと胃液が迫り上がってくる錯覚すら抱く。

 

 願うなら、お近づきにはなりたくない。しかし、頭部が弱いという明確な弱点を分かっているから、このダンジョンの中ではレベリングの相手にちょうど良いと思っている。


 これでキャリオン・ハウンドの特殊能力、ステータスを確認すれば何を気をつければ良いかが分かり、レベ上げの安全性も跳ね上がる。


 いざメリットを挙げてみると、捕獲しない手はない。いや、するべきだ。

 ……ただただ、臭いのが悔やまれる。本当に。なんで腐ってんのに生きてんの? アイツ。マジでふざけないでほしい。


 ほら、見ろ。俺がキャリオン・ハウンドを捕獲とか言ったらヨシコ達が「お前正気か?」という目で俺のことを見ている。

 わかってる、お前達の鼻が良いことは重々承知しているとも。

 その鼻に幾度も助けられてきた。だけどな? 経験値の魅力には勝てねぇんだよ!


 腐ってもD−級なんだよあのゾンビ犬。美味いんだよ、経験値。絶対。

 お前達がD級へ進化する近道なんだ、アレはッ。

 

 そう結論付け、さぁいざ参ろうかと声高らかに宣言しようと思ったら、


「……ん?」


 四方八方から刺さる、冷たい目線。

 「おいおい、あの臭い奴を本当に仲間にする気か?」という意思が言葉にしなくとも理解出来てしまう。

 センセーすら「ほ、本当にやるんですか?」という目だ。前髪の間から覗く瞳がウルウルと揺れて、俺の心も揺さぶってくる。なんて可愛らしい。


「まぁ、行くけどな」


 えーっ! という言葉のないブーイングを背に、俺はみんなを引き連れてキャリオン・ハウンドの捕獲へと乗り出すのだった。



――◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇――



 腐臭漂う戦闘跡。俺達は無事にキャリオン・ハウンドを捕獲することに成功した。

 

 2体で行動していたキャリオン・ハウンドの背後を幸運にも取ることができ、奇襲を仕掛けてボコボコに殴り倒し2体とも捕獲したったわ。


 キャリオン・ハウンドの入った二つの匣水晶を手に持っているが、先入観と言うか、思い込みというか……不思議と匣水晶も臭く思えてくるな。


 タブレットの画面をキャリオン・ハウンドのステータスに切り替えながら、ふと思う。

 戦力強化と言うより敵を知る為に捕獲したのは初めてだな、と。

 懐かしいなぁ。攻略サイトとか知らなかった時、こうやって自分の力で敵のことを調べて対策とか対策立てたりしたよなぁ。


 感慨深い気持ちに浸りつつ、キャリオン・ハウンドのステータスにサッと目を通す。

 


*******************************


 ・種族名/名前/腐獣ふじゅうキャリオン・ハウンド/未名

 ・性別/不明

 ・階級ランク/D−

 《身体的能力》

 ・Lv.39

 ・HP908/3200

 ・MP98/98

 ・攻撃力=270

 ・守備力=190

 ・俊敏性=260

 ・攻撃魔力=0

 ・支援魔力=0

 ・守備魔力=199

 《特殊技能スキル

 ・【腐敗した身体】Lv.2

 《装備》

 ・なし

 《レベルアップ必要経験値》

 ・3690/4080

 《進化》

 ・【腐敗した身体】Lv.MAXに到達=腐獣ふじゅうキャリオン・ベアー/階級ランクD−→D


*******************************


 お、う、ん? な、なんだ? コイツのステータス。やたらめたら低い、てかLv.39? 進化条件が特殊能力スキル依存?

 覚えてる特殊能力スキルも1つだけだし、身体的能力上昇系の特殊能力も何もなし?

 

 唯一の特殊能力である【腐敗した身体】の詳細を開くと、


 《固有系特殊能力》

 ・【腐敗した身体】Lv.2

 ・特殊能力発動後、身体の腐敗が進行する。腐敗が進行するほど、ステータス上昇バフがかかるが、そのかわり進行中はHPを消費する。この特殊能力を使いHPがゼロになった時、能力Lvが上がり、HPが1になり蘇る。

 

 なる、ほど? 珍しい特殊能力だな。こんな系統の特殊能力もあるのかと感心していると……特殊能力のLvによって進化、という言葉がどうも引っかかった。


「あ」


 【モンスターマスター】の能力のひとつ、【育む者】は“特殊能力のレベルアップを早める”効果がある。

 モンスターのLvに比べて、特殊能力Lvは上がりやすい。大体は上限が5でMAXってのもあるけど、段違いに上がりやすいのは確かだ。


 この早熟効果と【腐敗した身体】を組み合わせたら……なんか、悪いこと出来そうじゃねぇの?

モンスターのステータス考えてる時が一番楽しいです。

ゲームの攻略本作ってるみたいで。


ブクマ・評価、誤字報告をしてくださった読者様、本当にありがとうございます!

ランキングTOP3に入れたのも皆様のおかげです!


※12/29追記

醜人商会ブラック・マーケット】の読み方が他ゲームのキャラクターの使用する能力名と酷似している、との指摘を受け調べた所、本当に酷似というかそのまんまだったので名前の読み方を【醜人商会しゅうじんしょうかい】に随時変更していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] キャリオン・ハウンドを進化させても弱そうな上に呼び出したく無いな(笑)
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