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『鍵(カギ)による、支配と解放』・・・諧謔的物語⑵

カギによる、支配と解放』・・・諧謔的物語⑵



不自由的自由を、鍵によって封印しなくてはいけなくなった自分は、とりあえず街へ出て歩いた。妙なことだが、不自由的自由を得た自分は、観られることより観ることに執着し始めた感じがある。それは、自由的不自由を背負っている人を見て、助けなければならないと言った、一種の責任感が芽生えた様なのだ。不思議なことだが、今まで、自分の事で精一杯だった自分が、今度は他者のことを考え、また、地球の事を考え、支配されている世界を、解放へと導かなければと言った心情になった。これは、鍵となった書物から得た、自己存在の意味と理解である。その理解は、もう消失した、自由的不自由を過去のものだと自分に規定させるだけの力を、包含していた。



公園を歩いていたら、道と道の間に、小さな川が流れていた。人工的な川であって、それは非常に美しい感じを自分に与えるのでなぜかと思ったが、一つには、生物のいないこの川が、濁っていないことに起因していると思った。近くでは、まだ開発途中の街の変貌現象が、大きな音を鳴らしている。工事の音というのは、創造的現象であるにもかかわらず、何故うるさいと感じてしまうのだろうか。勿論、巨大な音なので、鼓膜を必要以上に打つと言う点では、確かにうるさいのは当たり前の事だろう。それにしても、この、川や開発現象が、何処にも鍵の存在を感じさせないのは妙であった。つまり、人々が完全に移住していない土地では、鍵の存在というものは不必要なんだろう。鍵をする必要が無いと言った所か。それにしても、此処はとにかく自由であった。自由で満たされていた。



この、街を行く独歩によって、世界は常に鍵を使って、変容し、変貌し、変化しているのだと痛切に気付かされる。自分とは何と小さな存在だろうかと思う反面、持している鍵の事を知っているのは、自分だけの様な気がして、まるで発狂したかのように、世界を見渡した。丁度街の外れに丘があり、そこから世界を見渡していたら、確かに、自分はこの世界を支配している様な感じがして、何やら不安感が襲ってきた。人は一人、そういう孤独という精神の感触が、瞬く間に体中を駆け巡った。同時に、解放されている自分は、支配されたといった願望を抱き、その支配と解放の、両極を欲すると言う矛盾に嫌気すらした。ともかく、自分は、不自由的自由を鍵で封印するために、次の個所へ向かった。

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