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『鍵(カギ)による、支配と解放』・・・諧謔的物語⑴

カギによる、支配と解放』・・・諧謔的物語⑴



家の周囲を歩いて、小説を執筆していた自分は、現実と虚構の間で、物事に行き詰っていた。確かに小説は生まれるのだが、どうにも虚しい。想像力によって、どんどんと、小説は出来上がり、一冊の書物になるまでになったが、自分は家に囲われることに、支配されていた。それは、親による支配である。自分を絶対者だとする親は、自分を家に封じ込め、不自由にする。現実と虚構の間をつなぐ鍵は、その正体を現さない。厳密には、自分にとっては、それが何なのか分からない。迷走するばかりである。それでも、家の周囲を歩いて、書き上げた小説を自ら読んでみて、何となくその鍵の正体が分かりそうな所まできていた。それは、鍵による、支配と解放の問題である。



家に囲われて、不自由を感じている自分は、しかし、不自由が故に、自由を羨望していた。つまりそれは、鍵による両親の支配である。何処にも自由は見えないし、一見して不自由だ。しかし、もしこの精神の鍵を解いて、家から外界へと出たら、それは鍵による解放である。自分の望んだ世界であるはずだ。処が、いざ自由になってみると、途端に不自由を感じるのである。ニヒリズムの登場である、つまり、今度は自由によって、何かを解き明かすという衝動が失われ、一気に不自由になったのだ。これが、所謂、支配と解放の問題なのだと理解するようになった。自分が望んでいた世界、それは、本当に望んでいた世界ではなかった。ただ、虚しい世界であったのだ。



ならば、という事で、今度は家の周囲を歩いて書いた書物が、支配という不自由を作り出すための方法論の書物に変貌を遂げ居てた。この書物によって、不自由を作り出すのだ。何と滑稽なことであろう、今度は、謎を解くためにあった鍵である書物によって、謎を作り出すことになったのだ。不自由の創造、これは、一体誰の為の創造であろう。それは世界の為の創造であるかもしれない、或いは、自分自身の為の創造であるかもしれない。ともかく、自分の責任で、背負ってしまった解放による不自由的自由は、鍵によって今度は封印しなくてはいけなくなったのだ。こんな意味不明の出来事があるだろうか。初めとして、自分はまず、この様な立場に立つことになった。

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