再び講堂へ
講堂は、ティアの支配人下に落ちた生徒で溢れ、生気は薄れ顔色は青白く生きた屍のようになっていた。
殿下の側近ゲイルが「凄い魔素の力が講堂から流れ出ていて、頭がぐらぐらします。」
他の二人の側近ギルス様、ナーシス様も膝まつかれ、苦しそうです。
アデル先生は「魔素酔いしている者は、ここで待ちなさい。少しでも動けるものは?」
ギルス様が手を挙げられる。
「ギルス すまないが、北の森の塔に戻り、王宮からの応援部隊にこの事を伝えて欲しい。」
「わかりました」と言いギルスは立ち上がり、よろよろと歩きだした。
「アデル先生、これからどうしますか?」アレクセイ様が問う
私は「アデル先生、ティア様が憎いのは私だと思います。」 アデル先生やアレクセイ様達は私を見る。
「ティア様は、私がリクイド殿下の婚約者だから、殿下の心を少しでも私にあるから、腹が立って仕方がないのです。」 私がティア様と話しますと言いきった。
アデル先生は、「そうだな、マグガイヤーは必要以上にリクイド殿下に絡んでいた、レイチェルにもひどい態度を取っていたと報告を受けている。だが一人ではいかせられない、私も一緒に行こう。」
マーハイヤー先生が「待てアデル。お前の魔法だけでは太刀打ちできんぞ、私も行こう。」
「マーハイヤー危険だ、大人は我々だけだ。他の生徒も守らないといけない。」とアレクセイ様、ギルス様、ナーシス様を見る。
「アデル、私のは闇の魔法にも通じている、お前の正魔法では弾かれてしまうぞ。私も行こう、いいなアデル。」
「それでは、アデル先生とマーハイヤー先生と私で講堂に入りましょう」
「アレクセイ様、皆様をよろしくお願いします。」
「わかった、本当は女の子のレイチェルを行かせたくないけど、君には聖なる力がある。レイチェルが危ないときは駆けつけるからね。」
アレクセイ様は、私の頬をそっとさわり、キスを落とした。
私は思わぬ事に、放心した。キス、キス、アレクセイ様が頬にキス。
動けない私に、「僕のお気に入りのレイチェルに、おまじないだよ。」と言って、私を離した。
アデル先生とマーハイヤー先生は、苦笑いをして、「急ぐぞ」と言って講堂の中へと進んだ。
アレクセイは、レイチェル達を見送った。
「それじゃ、ゲイルが来るまで、ギルスとナーシスはそこで待っていてよ。」
ギルスは「アレクセイはどうするつもりだ」
「僕?」ニヤリと笑う。
「ピンチ要員かな?」
「アレクセイ…」二人は「頼む」とアレクセイを見送りった。
アレクセイは急ぎ講堂を目指す。
講堂
講堂再び着いた三人は、先程と違う雰囲気の講堂にびっくりする。
「レイチェル気を抜くな、私達の後から着いてきなさい。」
「はい、先生。」
レイチェルはアデル先生・マーハイヤー先生の後に続く。
ティアの魔法により、精気の失せた生徒が、レイチェル達に「ヴー、ヴー」と奇妙な奇声を言いながら、今にも飛びかっかて来そうだ。
「先生、みんなが…」
「気をつけろ、今の生徒達はマクガイヤーに操られている。生徒をこちらからは、しかけられない。」
今にも襲ってきそうな生徒の中を進み、講堂の中央付近まで到達すると、「レイチェル様、来るのが遅いですわよ、ここにいる生徒の皆さまもあなたを待っていらしたのよ。」
ティアのその声を聞き、生徒達のどんよりした目が、みるみる瞳が赤にかわり、光っている。
「もうここにいる生徒は、マクガイヤーの手に落ちているな。」アデル先生が呟く。
「ああ、マクガイヤーに一撃を与えてこの気を緩めなければならんな。」マーハイヤー先生は言う。
「レイチェル、水の上位精霊に頼めるか?」
「どうすれば、よいでしょうか?」
「ああっ、マクガイヤーの魔の気が緩むよう私とマーハイヤーで何度か攻撃する、今の私達の力ではマクガイヤーの力に跳ね返されるかもしれないがな。
だが、少しでも気が落ちた時に、水の上位精霊ウインディーネの聖水を生徒達に掛けて欲い。」
上位精霊の水は聖なる水。
「もし、それでも精気が戻らない場合は、レイチェル君の愛し子の能力で、愛の力で甦らせるんだ。」
「愛し子の能力なんて、私。」
アデル先生は、「誰かのために祈ってみるんだ。」
誰かのため、浮かび上がるのはリクイド殿下を思い浮かべる。
嫌だわ、私ったらこんな時に。みんなの為に祈るんだったわ。
「わかりました、アデル先生。私、みんなの為に祈ります。」
「それでは初めるぞ。」
アデル先生マーハイヤー先生の声に、「はいっ」と答えた。