深紅の宝石、黒い影
「ふーん、なるほど。ティアが魅了魔法をね。
良いこと聞いた、使えそうだなあの女」
くすくす笑いながら、リクイド殿下とレイチェルの話を聞いている人影があったが、ふたりは気づいていない。
中庭近くにティアがいた。
「もう、リークったら何処に行ったのかしら?」
ティアか。声をかけておくか、けしかければ、あの子ならレイチェル達の所に行くだろう。
ティアに近づき「ティアじゃないか、どうしたの」
ティアはこちらを向く。
「アレクセイ様。あの、リークを見なかったでしょうか?」
探しているのですが、見当たらなくて。
僕は、にたりと笑う。
「ああ、見かけたよ。でも今は行かない方がいいんじゃないかな、殿下はレイチェルと話をしているようだし」
ふたり楽しそうだしっと、煽ってやる。
「リークとレイチェル様が」
ティアの顔色がみるみる変わった。
アレクセイ様の言う通り、中庭の方を見ると、殿下とレイチェルが話をしている。
なんだか近づけない雰囲気。
レイチェルの奴…
私がヒロインなのよ。「本当にウザイ、レイチェル」
リークは私のだって、分からせないとね。
私は、アレクセイの忠告を無視して、殿下の元に行こうとした。
「だから、レイチェルがいるでしょ。気を使ったら?あそこは君いる場所じゃないよ」
仲睦まじいな、お似合いだよねと続けられる。
私はイライラが止まらない。
アレクセイは、「気を効かせてあげて」と言って去って行った。
私はふたりを見る、胸がムカついて仕方がない。
「レイチェル、許さない…」
嫉妬の念にかられた私は、レイチェルの元に行こうとした。その時、何か固いものを踏みつけた。
「いた、なに?」
私は、踏みつけた物を見た。
深紅の石?私はその石を手に取った。それは燃えるように赤く生きているようだった。
燃えるような深紅の石は
「石……じゃない!宝石。なんて綺麗なの。」
私は、見つめているとその宝石に魅了されていった。
「憎いレイチェル。」
深紅の宝石は、ティアに答えるように「なんだか身体が燃えるように、みなぎってきたは。自分の思いで何でも出来そうだわ」
私は、深紅の宝石を身につけた。
「素晴らしいわ、力がみなぎる。とても良い物を見つけたわ、私に風が向いて来たのよ」
「ふっふっふっ、聖女ティアの力を見せてあげるわ」
そんなティアを見ている黒い影。
「思惑通りに動く女で助かったよ。その宝石を大事に持っててくれよ、もうお前は、僕の思いのままだからね」
ふふふっと不適に笑う。
「レイチェルが、思いのほかいい人すぎて使えないと思ったが、ティアがあんなに黒い女とは思わなかったよ」
「ティアには、もっと能力を上げて、僕の力になって貰うよ」
「もうじきですよ、貴方に悪に染まった心臓を届けます。」