それぞれの思い
ティア視点
「ティア」と いたわる優しい声で、名を呼ばれた。
やっぱりリークが好き。
「ティア、何があったか聞いてもいいか」
リークは 先程の出来事を、いま聞いても私に負担がないか、気にしつつ話される。
リーク、心が痛いよ。
でも私は、嘘をつき続ける。
「私、レイチェル様のお店でクッキーを買ったんです。その中から黒いものが入っていたんです。
断定は出来ませんが、虫のような黒いものでした」
私は更に、「気持ちが悪くて直ぐに捨てた」こと「その出来事を、レイチェル様に伝えた」こと「話しても、信じて貰えなかった」ことを言った。
レイチェルは、絶対の自信があったに違いない。
きっと私が、嘘をついていることに気がついているはずだわ。
レイチェル視点
飲食の仕事をして、食品への異物混入は致命的です。
まさか、ティアがこんな事を言い出すなんて。
王宮の衛生省から、店の衛生指導がはいりました。
「夢見る仔猫」は、毎日使用前使用後の清掃と除菌を徹底し。
店の店員達にも食品を扱う物には、三角巾やエプロンと手指に除菌をし、衛生面は常に気を付けていた。
販売しているクッキーも、包装の際は1枚1枚丁寧に確認しながら入れていた。
衛生省も それを考慮して、2周間の業務停止で事なきを得た。
「2週間も、業務停止なんて痛手だわ。又お客様が戻って来るかもわからないのに…」不安が過ります。
リクイド視点
あれから、レイチェルと合って話をした。
ティアだけの言葉で判断しては行けない
先入観をすて、レイチェルに向き合う。
「レイチェル、ティアから説明を受けたが、店側の意見を聞きたい」
「はい、殿下。直ぐに王宮から衛生省の指導が入りましたので、その時お話した通りなのですが」と殿下につげ、説明する。
私達、飲食店での異物混入は大打撃、そうならい様に、掃除や食品管理を徹底していること。
包装に関しても、入れる前に一枚一枚確認して、梱包していると改めて話した。
リクイド殿下も頷かれ納得されている。
「そうだな、何度かレイチェルの店の様子を見たが、きちんと隅々まで掃除して、袋詰めも確認して丁寧にしていた」
だが、こう言う結果になってしまった。
「今後はこのような事がないように気を引きしめよ」とご忠告された。
「混入騒ぎで 信用を戻すにが大変だが、乗りきって欲しい」とリクイド殿下から優しい言葉を頂いた。
リクイド殿下からの久しぶりの優しい一言に感激して、目の奥がツンとしてしまう。
「リクイド殿下」
「大丈夫、レイチェルならきっと乗りきれると、信じている」
リクイド殿下は言いにくそうに
「それと 学校での騒ぎの時、レイチェルをひとりにしてすまなかった」
本当に申し訳なさそうに
「私は、両方の意見を聞いて対処しなければ行けない立場なのに、申し訳ない」
思わぬ言葉に、びっくりしました。
殿下は
「何故だか分からないが、あの時レイチェルの言葉を、受け入れられなかったんだ」と難しい顔をされた。
おかしな話だが、ティアの目を見ると、何故だか、自分が自分では無くなってしまう。
「もしかして、魅了魔法じゃない」とディーネがポツリと呟く。
魅了魔法
魅了魔法は余り使える人と聞く。もしかして、ティアは魅了魔法でリクイド殿下を操っている。
それなら、先程聞いた殿下の話と辻褄があう。
ティアが側にいると、魅了魔法がより強化されるのだろうか?
私が殿下に拒否をされるのは、大抵ティアがいるときだ。
でも、それを証明できる証拠がない。
「レイチェルどうかしたのか?ぼぉっとしているが、大丈夫か」
行けない、私ったら。
殿下に「大丈夫です」と微笑んだ。
確信はまだ無いが、ティアが私を陥れようとしているのは、間違いない。
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