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ティアの本音

どうやって喧嘩をふっかけたらいいのかしら。


私だって、こんな事したくないのに。

ここは私の世界なのよ、ヒロインとして楽しい第2の人生を送るはずなのに上手く行かない。


私の魅了魔法もリークに余り効いていない。こんな魔法使わなくても、リークは私を愛するはずなのに。

リークは、レイチェルを気にかけている。

分かるわ。

リークはレイチェルを好きな事、記憶の奥底で感じているんだ、悔しい。


私だって、リークが好きなのに。


レイチェルも、最初の頃は何かと邪魔して来たけど、今じゃ遠目から見ているだけ。


婚約者のいるリークを奪い取っている私の方が、不利な立場じゃないの。


そうだ、この間レイチェルの店で買ったクッキーに「虫が入っていた」と言いがかりを付ける。それしか無いよね。上手くいくかな。


中庭にレイチェルが一人だ。

頑張れ私、リークは私のなんだから。


よし、行こう。


「ごきげんよう、レイチェル様。今よろしいでしょうか」


レイチェルは驚いたように、こちらに振り向く。


「ごきげんよう、ティア様何かご用でしょうか」


レイチェルの強ばった顔。何よ、私の方が悪役令嬢みたいじゃない。


「ええ、先日あなたのお店で、クッキーを買ったの」


「そうでしたか、足を運んで頂き嬉しいです」


「ええ、いくつか買ったのだけど、その中に何か黒いものが混入していたの、とても不快な思いをしたわ」


「黒いもの」

レイチェルの不安な顔、ふふっ もっと追い詰めてあげるわ


「そうよ、虫のような黒いものよ、何かは断定出来ないけど」


「購入したお菓子を、お客様にお出ししようとして、お皿に並べたときに出てきたの」


「とてもびっくりしたわ」っと大袈裟に言ってやった。


「お店の信用もありますし、気をつけら方が良いと思いまして。本当にお客様にお出しす前で良かったわ」と更に大袈裟言った。


「あなたが責任者でしょ、どう対処なさるつもり、お店で言わなかった事を感謝して頂きたいわ」


「お聞きしますが、その黒い物とは本当に虫だったのでしょうか、クッキーの焼けた物ではなかったですか」


レイチェルは自分に落ち度がないか、確認したのだろが、馬鹿ねレイチェル。


「まぁ、私を疑うの。何て事でしょう、私が虚偽を言っているとでも。虫かどうか断定できないと言ったのに」


私は大袈裟に泣き真似をする。


近くにいた人たちも何事かと近く

さぁ、レイチェルあなたは悪役になるのよ。


「レイチェル様、ひどいです。私はただただ、ご注意しただけなのに」


と言いながら、地面になだれ落ちる。


「ティア様。不愉快な思いをさせて、申し訳ありませんでした。

ですが、こちらも食品を扱う上で衛生面はとても気を付けております。クッキーも材料から作業工程まで、不純物が入らぬよう努めています。その事は分かって頂きたいのです」


その時、騒ぎに駆けつけたリクイド殿下があらわれたのです。


リークは、レイチェルと私を見る。


リークは、泣きながら膝間づいている私に近づき、私を支え立たせる。


「リーク…」 私は、泣きながらリークにすがり付く。


その時私は、リークに魅了魔法を強化する。


「これは、どういうことだ。レイチェル、説明してくれ」レイチェルは、青ざめ呆然としている。


私は悲劇のヒロインを続けた。


「そうね、あなた達が気を付けて作って居るのは分かったわ。でも事実だったのよ、それは忘れないでね」


リークは、レイチェルを冷たい目で見ている。


レイチェルは「申し訳ありません」と言うだけ。


真っ青になっているけど、気丈に立っているわね、この子本当に13歳なのかしら。


私は更に「もういいの、この話はこれで終わりにしましょう」とレイチェルに優しく言う。


リークや集まった人達に「ごめんなさい、皆様にまで、ご心配をお掛けして。私は大丈夫です。レイチェル様よろしいですわね」


レイチェルはこちらを見ているだけで、返事はしない。


「ティア、本当に大丈夫なのか?顔色が酷いぞ、さぁ向こうで休もう」


リークは私を支え、ふたりして歩きだす。


リークは、「失礼する」と言ってレイチェルのもとを後にした。

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