悲しみの、記録
リクイド殿下は、相変わらずティアと仲良くしています。
ふたりのまわりには、何人か殿下の友人達がいます。
リクイド殿下は、ティアにあのように微笑まれて。
リクイド殿下の隣は私の場所だったのに、何故。
今の私に、あのように微笑む事はありません。
最初は、殿下とティアが仲良くなる事で、私は断罪されないはず……と思っていたのに。
それが共に殿下と居るうちに、殿下に心が傾いてしまった。
バカな私
殿下も私を好いていると思ってた、やっぱり小説通りに話が進んで行くのね。
仕方がない事だ。
殿下を好きになった、私がバカなだけ。
でも、私の未来がかかっている。心を強く持とう。
今のふたりを視るのはつらいが、逢い引き現場の徹底的な証拠をあげなければ。
レイチェルが予定通り、魔法学校に入学して来た。
レイチェルは鋭い。何かを感じとったのか、
なにかと私とティアの間に入ってくる。
楽しくティアと過ごしているのに、邪魔で仕方がない。
ティアは子爵令嬢、王太子である私とは爵位的に一緒には成れない。
王家の者は伯爵以上の爵位でなければ、結婚出来きない法がある。
陛下が下級爵位の者を結婚相手として許すはずがない、今の段階では。
今となっては、どうしてティアを心に止めるようになったかは覚えていない。
むしろ気に止めて居なかったはずだ。
それが、ティアと初めて挨拶をした時、瞳に何かが弾けたような衝撃を受け、目に痛みを感じた。
何故だかそれから、ティアの側に居たくなってしまった。
ティアに会うまで大切だった、レイチェルをみても何も思わない……思わなかったのに、アレクセイがレイチェルを気にかけるようになってから、私の心がおかしくなった。
不審に感じたティアが
「リーク」とティアが私の腕に絡み付く。
遠くに居るはずのレイチェルが、こちらを見ている。
私は、レイチェルと目が合う。
そんな様子を見ているティアは、更に私を引き寄せ目を合わせ微笑む。
それだけで私はティアの微笑の虜となり、レイチェルの事など気にしなくなる。
「ティア」
「リーク」
とお互いの名を言い合い、心が満たされる。
ああっ、辛い。
リクイド殿下とティアのあのよう姿を、見るに耐えない。
心が酷く痛みますが、ふたりの様子を記録しなければなりません、私はより目を見開いています。
「ディーネ、上手く記録は出来たかしら?」
「バッチリよ、レーチェが頑張って目を見開いてたからよ。」
そうなのだ。魔法記録とは自分の目で見た物を記憶箱に保管し、必要な時に開く事ができるのです。
これは、誰にでも出来る技ではなく、上位精霊ディーネの力とで、行わないとできない技術なのです。
いつも読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字で、読みにくくて申し訳ありません。