思わぬ人
アレクセイに抱きしめられてる、こんな姿を誰かに見られたらと思い、私はそっと彼の胸を押す。
殿下の婚約者の私を、婚約者の座から引き落としたい令嬢は沢山いる。不名誉な事は出来ません。
アレクセイの腕が緩んだ
「アレクセイ様、ごめんなさい みっともない姿を見せてしまって、令嬢失格ですね。」
私は、アレクセイを安心させる為に、涙を拭きながらふわりと笑った。
アレクセイは息をのむ
「そんな儚げに微笑まないで。
レイチェル、ひとりで悩まないで」
アレクセイは優しい、でも頼ったら駄目な人だ、心をしっかり持つのレイチェル、自分で自分を震い立たせる。
茂みから覗くひとりの姿がありました。
「ふふふっ、イイものみちゃった。」
「殿下に話したらどうなるかしら、あの女が苦しむ姿が見られるなんて、素敵。ざまあ見なさい、レイチェル」
「この私が王太子妃よ、そして、ゆくゆくは国母となるんだから」
私は一番見られてはいけない人に、見られていた事に、気づかなかったのです。
「レイチェル大丈夫?目の赤みが少し残ったね」
そう言いながら、水で冷やしたハンカチを渡してくれた。
「大分落ち着ました。アレクセイ様、ありがとうございました」
う~ん、
「レイチェル、もっとフランクに話をして欲しいな」
「ごめんなさい。そうしたいのですが、やはり皆様の手前この話し方でお許しください」
「気にしなくていいのに、僕なんて伯爵家の次男だしね」
「リクイド殿下の手前だよね」
「まあ、いいか。おいおい慣らして行くしね。さあ、次の授業が始まる行こうか」
それから私達は、授業に向かった。
滞りなく授業終わり、門の所に我が家の馬車が迎えに来ていました。
帰りは殿下とは別のようです。
王家の馬車もありますが、お一人のようです。
良かった、ティアは一緒じゃ無いようです。
明日からは、ふたりの様子を観察しよう。
そうだ記録魔法で動かぬ証拠をとりましょう。
それがいい、婚約破棄されても断罪されないよう、記録は保険ですわね。