ティア
王宮
殿下、神官達と共に王宮にやって来ました。
「陛下、お久しぶりにございます。
レイチェル-グランドエイトにございます。」
深々と頭を下げ、淑女の礼をする。
「久しいな、レイチェル。息災であったか」
「はい、陛下もお変わり無いようで、安堵致しました」
「ところで、レイチェル」
陛下は
水の精霊について話し出され、私がディーネと契約した経緯を話した。
「レイチェルも、突然の事で驚いていると思うが」
陛下が言葉に詰まる
「レイチェルはまだ13歳だが愛し子の能力を上げるために、スキップ級でグランドエイト魔術学校に通って欲しい。
途中入学の上、13歳での入学だ不安も多いと思う。
レイチェルの不安を少しでも緩和出来るように、リクイドもいる上級魔法クラスへ編入させよう。そうすれば安心だろう」
「いえ陛下、それはいくらなんでも難しいのでは。
確かに愛し子に選ばれましたが、上級魔法クラス程の能力があるかどうか」
「いや、水晶に映ったレイチェルは水を強化させ、木に打ち付けた正に上級だぞ」
陛下の命令は絶対である
「陛下、承知しました」
陛下は、用意が整い次第入学せよとのこと、リークを見ると複雑な顔をしていた。
お父様は大急ぎで、グランドエイト魔術学校に入る手続きに走り回りを、一週間後に入学すると決まった。
王都グランドエイト魔術学校に入学です。
陛下の言い付けで、リークが迎えに来ました。
魔術学校の生徒達に、余り歓迎されて居ないような気がします。
スキップ級でリークと同じクラスだからか(愛し子と言う事は今の所秘密のようです)
何やらヒソヒソと聞こえてきます。
私は一応リークの婚約者なんですが、聞こえてますよ。
あ~嫌だな。
公爵令嬢でもこの学校では、爵位は関係無い実力あるのみなんですよね。
その時です、淡い紫の髪に赤い瞳のスラッとした可愛い系美人が歩み寄って来ます。
「リーク様、おはようございます」
はぁ?リーク様を愛称呼びって、どういう事?
愛称って家族や恋人、親しい友人
もしかしてリークの親しい友人なの、嘘でしょ。
固まっている私を余所に、リークはご機嫌でその女の子の元に行く。
何なの、その笑みは。
「おはよう、ティア」
見つめあい、手を握らんばかりである。
おい、リクイドここに婚約者のレイチェルが居るのに、その態度はなんだ。
……今、ティアって言った。
【転生聖女は王子と王国を救う】はもう始まっていたのです。
そしてリークはティアに魅了されているのです。
ティアが私を見ます、勝ち誇ったような顔が腹が立ちます。
「初めて見る方ね、初めましてティア-マクガイヤーです。」
私は、にっこり微笑んで
「リクイド殿下の婚約者の、レイチェル-グランドエイトです。
今日から、スキップ級で入学いたしました。
リークと同じクラスに編入なんです」
私も負けてはいられません。
リークは、私が婚約者だと言う事を言ったばかりに、顔を曇らせます。
「レイチェル、それはここでは関係無い」リークはティアに向き直り「ティア、気にしないでくれ」と機嫌をとっている。
「行こう」とリークはティアを連れて行こうとした。
私は
「リーク」と声を掛けた。
リークは面倒なように振り向き「行こうと」と言うだけで、ティアと顔を見合せ笑っている。
ティアは軽くふり返り、ふふんと嘲笑う。
殿下と共にいた青年は私に笑いかけ、「行きましょうか」と声をかけ一緒に連れだった。
転生聖女が現れた、どうしよう。
今までは、リークが私に心が向いていたから、やってこれた、しかし今度は違うリークがティアを選んでいる。
やっぱり駄目なんだ。
私はリークを好きになっている、この気持ちをどうすればいい。
すっごく、腹が立ってきた。
いずれ、悪役令嬢は婚約破棄される。
解消されても断罪されないように、しなければならない。
よく考えて行動しなければ。
あのふたりの良いようにさせませんわよ、と心に誓った。