さぁ、パーティーのはじまりです。
パーティー当日のレイチェル嬢です、頑張りました。
さて、厳かにするとは言いましたが、お金を掛けない訳ではありません。
侯爵家の威厳がございます。
お天気の具合で、雨の時は室内で、晴れの時はガーデンパーティーにするつもりです。
今日はとても良いお天気、前もって庭師のジョンに見透視が良いように、枝振りを整えて貰い、5月の新緑も美しく木々も賑わっています。
他国から取り寄せた花ばなを植え、優しい感じにしたのです。
ゲーデンスの声かけで、見張りの兵も近衛から数名来て下さいました、有り難い事です。
近衛兵も2隊制にするようで、燕尾服隊と騎士隊に別れ、いざと言う時のために直ぐ行動が出来るようにとのことでした。
なるほどその方が安全です、流石近衛兵隊長ゲーデンス伯爵です。
勿論、側近であるゲーデンス伯爵も出席されます。王子の側での警備です。
「レイチェル様、お客様達が集まって参りました、ご準備を」
「ええ、ありがとう。さあ パーティーの始まりね」
「はい、お嬢様。お誕生日おめでとうございます。女中一同からです」
可愛いらしいブーケです。
「ありがとうアンジェ」
アンジェは微笑んで、庭へと続くドアを開けた。
大体集まったようね、近くに居る息子、息女に声を掛けていく。
和やかな歓談の中、令嬢達の黄色い声が聞こえてきます。
そちらを見るとリクイド殿下のお姿を目に止めます。
リクイド殿下の側にいる 息子、息女達は殿下に挨拶をしていく。
以前のレイチェルならリクイド殿下の姿を見つけると、群がる令嬢を押し倒す勢いで前に出ていたわ。
だって、他の令嬢に愛想を降る殿下に、凄く腹を立てて居たもの。
ふぅ~っ、以前の私何やってるの、あかんやつやん、嫌われるやつやん。
今のレイチェルは違うわ、リクイド殿下が来られるの待つの、だって私だけ向かって来てくれているのだから。
「レイチェル」
リクイド殿下の声と共に、向き直る。
「リクイド殿下」
私は淑女の礼をして
「この度は、私の誕生パーティーに足を運んで頂きありがとうございました。」
「レイチェル、11歳の誕生日おめでとう、今日の装いとても綺麗だ」
いやだ~リクイド殿下たら、饒舌になってます、照れちゃいます。
以前のレイチェルには、全く無い言葉を言ってくれたのです。
嬉しくて仕方がないありません。
「リクイド殿下、殿下のお好きなフルーツティーをご用意しております、今日はストロベリーとローズマリーのティーです」
「クッキーも私が焼きました」
ふふっと、リクイド殿下の目を見て微笑んだ。
「今日のクッキーは、なんだ」
「はい、殿下のお好きなソルトバタークッキーは勿論、アーモンドを生地に混ぜ混んだ物とツイストチュロス、パイ生地にカスタードクリームを挟んだ物になります」
「いろいろと取り揃えたね、レイチェルが考えたレシピなのか」
「はい、カランイエ料理長と打ち合わせして、クッキーは私が作ったんですよ」
ちゃんとカランイエに味見して貰いましたよと、笑顔でリクイド殿下のお口へお手製のクッキーを渡す。
殿下は「ぱくっ」と召し上がりました。
はっとしました。
無意識にリクイド殿下に食べさせてしまいました。
令嬢にあるにあるまじき行為に、赤くなってしまいました。
どうしましょう
リクイド殿下を見上げたら、殿下もそっぽを向いて赤くなっていたのです。
ごほん 「上手いぞ」と言って頭を撫でられました。
へへっと笑って答えます、回りからも
「良い雰囲気ですね」とか「仲が良いのね」と噂されていますが、一部の令嬢から冷ややかな目で見られているのに、気が付きませんでした。
令嬢達の絡みも書きたいです。