ダム
「手、繋ぎます?」
「ううん。だって、どうせあの子の事考えてるんでしょ?」
「やっぱり、バレちゃってましたか」
「だって私もおんなじだし」
「まぁそうなっちゃいますよね」
「どうする? 今から帰る ってのもあると思うけど」
「ほんとにそう思ってます?」
「バレちゃったか」
「じゃ、そろそろ行きますか?」
「そうね」
「(やっぱり、繋いでおけば良かったかな……。あ、でもおんなじ事考えてる顔してる)」
「(繋ぐ必要、無かったですね)」
2足の揃えられた靴だけが、通路に残っていた。