SS 『恋』前編
新章に入る前にサイドストーリーを入れることにしました。
時を戻ること天翔たちが中学生の時までさかのぼる。
私、春本沙紀は恋をしてどこにでもいる中学生。しかし、私は今悩んでいる。
「(ど、どどど、どうしよう!・・・)」
今は学校からの帰り道。私が思いを寄せる相手、碓氷天翔と帰宅途中だ。天翔は学校内では結構モテる方だ。時には下の学年からも告白されていることもあったし。正直、ライバルは多い。そして時期は冬、もう12月だ。もうすぐクリスマス。みんな浮かれていた。私は先手を打つべく天翔を誘った。
そして今は大きな駅前を通り、徒歩で帰宅中だ。
「すごいな、もう駅前はクリスマス一色だ。」
「そ、そうだね。」
もうホントにどうしよう!どうやってクリスマスの予定を取り付けよう??
「あのさ.....天翔!!」
「うおっ!ど、どうした?」
「えっと.......あの......クリスマスに「天翔さ〜ん」まわって!!」
「?お〜、梨花か。久しぶり。最近あわなかったな。」
「はい、ずっと忙しかったもので。」
「あれ?そちらの方は?」
「ああ、紹介するよ。こっちは幼馴染の春本沙紀。」
とりあえず挨拶しておく。
「よろしく。」
「で、こっちは2年生の葉理 梨花。」
「はいぃ、碓氷先輩の彼女です!よろしくお願いします!」
「.........え?」
ちょっ、え??まって!!カノジョ?彼女?恋人のアレだよね?天翔って彼女いたの??!
「おい、何言ってんだお前は。」
「えへ♪」
「沙紀、ウソだから気にすんな。......?沙紀?」
「(天翔彼女いたんだ....そっかぁ。)」
涙が出ていきた。。。ホントに、だっていきなり現れた女の子が彼女なんだもん。
「あ、あの〜。沙紀?おい、戻ってこ〜い。なんで泣いてんだよ!!?」
「え?いや、ごめん。おめでとう、良かったね。今年は一人のクリスマスじゃなくて。」
「「.......」」
「それじゃ、私はお邪魔だから帰るね。」
そして歩き始めると手をつかまれた。
「おい。」
私の手には天翔の手があった。
「......っ!?(天翔の手と手つないでる!?)」
「俺はこいつと付き合ってないって。こいつの冗談だろ?」
「え?そうなの?」
「ああ。だから落ち着け。」
当然私はボー然。奥で梨花は笑っていた。
そして梨花と別れ、私は天翔の家にきた。
「そういえば天翔の家に入るの久しぶりだね。」
「そうだな。ずっと忙しかったから。」
「ねぇ、あのさ。沙紀。」
「?なに?」
「く、クリスマスってお前もう予定入ってるか?」
「え?入ってないけど....なんで?」
もしかして私と一緒に出かけようなんて言ったりして?それならいいのにな〜。
「一緒にどこか出かけないか?」
「.......」
え?今なんて言った?一緒に出かけよう?え???!!!!!
「やっぱダメか?」
「う、ううん!!?いいよ!!私も天翔と出かけたい!!」
「ホントか?良かった〜。断られたらどうしようかと思った。」
断るわけない、私も誘おうと思ったんだから。
そして次の日、天翔と一緒に学校へ行き。クラスに向かうと天翔は女子から猛烈な視線を、男子からは殺気を帯びた視線を浴びせられていた。それらを気にせず天翔は一番後ろの窓側の席へと座った。そして私も天翔の前に座る。
「なぁ、沙紀。」
「どうしたの?」
「視線がすごくないか?」
「そうだね〜。天翔はモテるから。」
「まぁ、な。」
といって天翔は小説を鞄から取り出し、読み始めた。こうなると天翔は周りの話を聞かなくなる、なんでも集中力がすごいからなぁ。
「私あっち行ってくるね。」と告げてその場を離れる。
そして私は女子の集団に入り、会話に混ざる。
「ねぇねぇ、何の話?」
「そりゃぁ、クリスマスに誰と一緒に過ごすかって話でしょ〜。」
「よことで沙紀は誰とまわるか決めた?」
「う、うん。」
「そっかぁ、沙紀は可愛いしね〜。」
「そんなことないよぉ。」
「私は碓氷くんに今日話しかけてみるんだ〜。」
「私もだよ〜。」
「あ、私も私も♪」
「.........」
このグループ全員が天翔狙いだった。
そして担任が教室に入ってきてH.Rを始めるそして後ろから声をかけられた。
「沙紀。」
「うん?」
「なんで俺と一緒に居るって決めたこと言わないんだ?」
「え、いや、それは。言いにくいから。」
「そうか。お前もおそらく他の男子から誘われるぞ。」
「そんなわけないよ。」
「.....お前は可愛いんだし、性格もいいんだから。そのへん自覚しろ。」
「ええええええっ!!!!!?????」
思わず席を立ってしまった。そして声を張り上げる。
「ど、どうした?春本。」
「い、いえ。スミマセン。」
「(今天翔がか、か、可愛いって!!??)」
こうして波乱のクリスマスムードの2週間はすぎていった。
短くてすんません!