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第1編 Justice of Bullet  作者: SEED
第3章 革命を行う者
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依依恋恋

夏休みなだけあって駅前には6時だというのにまだ人が結構残っていた。


「沙紀、どこか行きたいところはあるか?」


「ううん、私はどこでもいいよ。」


「そっか.......なら、そうだな。俺たちが好きなお好み焼の店でも行くか?」


「え、私そこに行った事ないよね?」


「ああ、悠真とかと一緒に行ってたからな。」


「そっか。ならそこに行こうっ。」


「おう。」


そして駅前の広間から大通りへ入る。そこから裏道へ。


「こっちの方はあんまりこないね。」


「だろ?」


そこからさらに奥へ入っていくと、右側に小さい店が見えてきた。


「ほら、ここだよ。」


「あんまり見つかりにくいところにあるんだね。」


「ああ、穴場だぜ。」


「へぇ〜。」


そして中に入る。


「いらっしゃい!」


勇ましい?男の人の声が聞こえた。


「おっ?オメェ.......天翔か?」


「お久しぶりです。」


「久しぶりどころじゃねーぞ。どんだけこなかったんだよ。」


「いえ、いろいろあったもので。」


「まぁ、そうだろうな。」


「ね、ねぇ。天翔。知り合いなの?」


「ああ、前にきたときに話が合ってね。それからくるたびに話してたんだよ。」


「へぇ〜。」


「そっちのお嬢さんは友達かい?」


「と、ともだち..........」


「俺の彼女だよ。春本 沙紀っていうんだ。」


「あ〜、恋人か。............オメェいつのまにこんなに可愛い恋人見つけたんだぁ。」


「幼馴染だったからね、小さいころから一緒にいたんだよ。」


「そぉか。俺も自己紹介位はしとくぜ。蓮井はすい れつだ。よろしくな。ちなみに、歳は26だからな。いつも息子の面倒見てくれてるらしいな。ありがとよ。」


「いえ、俺も好きでやってることですから。」


「息子?」


「ああ、バイト先で俺が指導してる人がいるんだ。その人のお父さんなんだよ。今度紹介するから。」


「そうなんだ〜。」


「ま、今日は客だ。好きなだけ食ってけ、常連さん+世話になってるからな30%割引してやるぜ。もちろん彼女さんもな。ワハハ!」


豪快に笑いながら材料を取り出し俺のお気に入りメニューを作っていく。












お好み焼をおいしくいただき、俺たちは店を出た。そして時刻は7時30分。


「そろそろ時間だな。戻ろう。」


「うん。」


そして駅のホームへ入ると丁度電車が入ってきたところだった。俺は沙紀の手を取り、そのまま電車に乗り込んだ。


「このまま帰っちゃうの?」


「そうだな、もう時間ないから戻るしかないだろう。」


「そっか................か、天翔!」


「?」


「.....どうした?」


「............................」


「........あそこ.......よってくか。」


「うん。」




俺たちにはその言葉だけで十分だったんだ。






そこから少し歩き、俺たちが行き着いたのは俺たちの思い出がつまった展望台公園だった。


公園の中に入り、展望台の上にあるベンチに座った。




「................................」


「................................」



お互いに沈黙。しかしその沈黙を破ったのは俺ではなく沙紀だった。


「天翔」


「うん?」


「私ね。小学校の頃にこっちに引っ越してきたじゃない。」


「そうだな。あの頃は全部が新鮮で楽しかったな。」


「初めて天翔のこと見たとき、怖い人だなって思ったんだよ?」


「へぇ。それは初耳だな。なのになんで俺の事好きになったんだ?」


「それはね.............天翔が小学校の頃に私が周りになじめなくて公園でいじめられてるときにいきなり私の前に出てきて助けてくれたんだよ?」


「そんなことも......あったな。」


「うん。あのときの天翔ってば一人で5人も倒しちゃうんだもん。格好良かったよ!」


「..........そ、そっか。」


「その時からかな?好きになったのわ。」


「なるほどね。」


「天翔はなんで私のこと好きになったの?」


「いつも...........隣にいて、いつも.........俺の事心配してくれて。気づいたら..........好きだった。」


「そっか。」


「だから、いつまでも一緒にいたい。そう思えるんだ。」


「..........うん!」


「さぁ、戻ろう。」


そう言って俺は沙紀に手を差し出す。しかし、沙紀はその手を掴もうとして.........


「あっ!」


つまづいた。



「沙紀!」


俺はすぐに差し出していた手で沙紀の手をつかんだ。そのまま自分の胸に抱きとめた。


「か、天翔?!」


「大丈夫か?」


「う、うん。ありがとう。」


「.................」


「...................」


「沙紀」


「天翔」


俺たちは...............キスをした。一瞬だけど、甘い、甘い。心が暖まるキスだった。



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