始まり
ここは・・・どこだ?
まわりは青の空だけ、そこに俺は一人浮いている。そしてその奥に一人の少女が笑顔で笑いかけてくる。「る.....かける.....かける!」
体が揺らされる。目をゆっくり開けるとそこには一人の女の子がいた。幼馴染であり俺の恋人の春本 桜紀だ。
「うぅ.....ん。おはよう、紗紀。」
「そんなにのんびりしてる時間じゃないよ。遅刻するよ~」と俺の布団をはぐ。俺はしょうがなく起きて窓を開ける。とても心地いい春の風が顔を撫でていく。
「下に行ってるね。」
「ああ。」窓を開けっ放しにして着替える。制服を着る。今日から新学期の始まりだ。
「新学期。……2年生か。」俺は今高校2年生、いや、今日から2年生だ。今さっきまでいた紗紀という女の子も同じ学校に通う2年生だ。両親は海外勤務なので長い休みの時にしか帰ってこない。一階に降りるとそこには紗紀がTVを見ていた。
「おはよう。あ、朝飯ありがとな。」テーブルの上にはご飯が置いてあった。
「どういたしまして。」と言って微笑んでくる。その笑顔は幼馴染とはいえかわいい。そして俺の向かいの椅子へ座る。紗紀はいつも俺に朝飯を作るためにわざわざ家に来てくれる。俺は部活には入っていない。だけど生徒会に入っている。今は副会長の職についている。今季は2年生が学校の中心になるので俺が会長になる可能性が高い。紗紀は書記だ。
「今季は何事もなければ会長の挫に就任だね。それに現会長からの推薦ももらってるから確実なんじゃない?私は副会長がいいな~。」
「そうだな。俺も紗紀が副会長なら俺はやりやすいしな。」と俺も紗紀の顔を見て笑う。
「ほんとにそれだけ?」と上目遣いで覗いてくる。
(ドキッ)
「(こいつに上目遣いされるとほんとにダメだな。)いや……」
「ん、どうしたの?」
紗紀の顔をまっすぐ見て「好きだよ、紗紀。だから紗紀が副会長になってくれたらうれしい。」
「うん!。私も大好き」と顔を赤くして言う。
とまぁ、朝から甘い空気を堪能して朝食を終了。ひとまず各自部屋に戻って支度をする。
俺は今日学校に持っていく教科書と資料とノートパソコンをカバンに入れて家を出る。鍵を締めて外に出ると既に紗紀がいた待っていた。
「わるい、待たせたな。」
「ううん。大丈夫だよ。いこうっ。」
「ああ。」俺は紗紀の手を握る。
「えっ」と顔を覗いてくるが俺は目を向けずに歩く。紗紀も手をぎゅっと握ってくれた。
俺たちが通う学校は坂の上にある私立小宮山学園だ。この周辺では結構偏差値が高く、進学校として有名らしい。
そしてその坂に差し掛かると通学途中の生徒が増えるので俺たちは手を話した。紗紀は寂しそうな顔をしたが納得したようで普通に戻る。
学校につくと昇降口のところに人だかりができていた。
「あれ、なんだろう?」
「多分クラス発表じゃないか?」
「あっ、そっか。」と二人でその人だかりの方へ歩いていく。俺は理系で紗紀は文系なのでクラスが一緒になることはない。そこは残念だが見ないわけにはいかないのでバラバラに別れ自分のクラスを探す。
そして数分後。。
人だかりの外で紗紀と待ち合わせていたのでそこへ向かい
「紗紀は何組だった?」
「私は5組。天翔は?」
「俺は2組。結構離れたな。」俺たちの学校は2年生から文系と理系に分かれる。1~3組が理系。4~6組が文系だ。
「じゃぁ、今日は授業が早く終わるから俺のクラスに来てくれ。」
「うん。わかった。」と笑顔で手を振って走っていく。かわいいなぁ。
俺と紗紀が付き合い始めたのは去年のクリスマス。紗紀に遊びにいこうと誘われ映画を見に行き、その後学校近くの展望台公園で紗紀から告白された。最初は本当に驚いた。まさか紗紀が俺の事を好きだと思っていなかったから。俺は紗紀を幼馴染としか見ていなかったんだから。その時は
「天翔はずっと幼馴染がいいの?」
「いや…そういうわけじゃ。」
「私はいや。もう天翔の横に別な女の人がいるなんて耐えられない。私だけが天翔の隣にいたいの。もう……この気持ちを我慢できないよ。」
と泣かれてしまった。その時始めて気づいたんだ。俺は紗紀が好きなんだと、16年間ずっと隣にいて、それが当たり前になってて気づかなかった。だから俺は紗紀を手で包み込み。「俺も好きだよ」と伝えた。
しょうじきあれは予想を越えていてあせった。でもまぁ、そのおかげで今俺は紗紀と付き合ってるわけだが。
「おはよう、碓氷くん。」背中を叩かれた。振り向くとそこには生徒会長の木屋野 優月先輩がいた。
「おはようございます。優月先輩。」
「うん。早く教室にいかないと遅刻しちゃうよ。」
「はい。分かりました。先輩も早くしたほうがいいですよ。」
「ありがと。後今日は放課後生徒会室に集合ね。」
始業式もその後のHRも無事に終わって紗紀が教室にきた。
「天翔~。来たよ。」
「おう。」
「なんだよ。始業式からラブラブだな~。お前らの仲は新婚さん級かよ~。」後ろからはやし立てられる、その声の主は霧生 執行俺の小学校からの親友だ。
そして紗紀の方を見ると顔を真っ赤にして「し、新婚さん....」と呻いている。
「お~い、紗紀。戻ってこ~い。」と手を頬につけるとそのままの顔で俺を見てくる。顔が真っ赤のままで目が潤んでいてかわいい。ここが教室じゃなかったら抱きしめたいくらいに。
「紗紀。今日朝会長にあってな。放課後生徒会室に来てほしいと言われるから行こう。」
「うん。」以前顔は赤いままだ。