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どんなシリアスな展開も、心の中でツッコミ入れれば大体なんとかなる説  作者: 東影カドナ
第3章:昨日の敵は今日の味方、展開早すぎる説

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4-2:戦闘訓練、なぜかリアクション芸の練習になる説(後編)


カーン!


 乾いた金属音を立てて、銀の剣が不可視の何かに弾かれた。

 弾かれた剣は、振り下ろされた剣筋をたどるように反射され、彼の耳元を掠めていく。


「おおっ!」

「すごい、セっちゃん!」


 ユズが目を輝かせるが、やった本人が一番わかっていない。


「え、えっと……私もよくわからんけど……見えない壁、みたいなのが……?」

(今の音、絶対タライの音やったやん……)


≪補足。セツの防御イメージが『金属製のタライ』で固定されているため、反射盾の音響特性がそれに準じています≫

(ちゃうねん! 私が悪いんちゃう! とっさに出てきたんがタライやっただけや! せめて、騎士の盾とか、もっとカッコいいイメージなかったんか!)


≪それは契約者の深層心理を反映した結果です。変更は困難と思われます≫

(一生、タライで戦わなアカンのか! 恥ずかしすぎるやろ!)

 私がミラと不毛な議論をしている間に、レイは腕を組み、真剣な顔で頷いた。


「なるほど、剣を反射したのか。 言うならば【反射盾】か。再現性はあるか? もう一度やってみろ」

「もう一回って言われても……!」


 私がパニクっていると、レイは腕を組み、何かを閃いたように言った。


「待てよ、セツ。 その盾、ただ防ぐだけか? 角度を変えれば、攻撃を別の方向に逸らせるんじゃないか?」

「え? 角度……?」

(なるほど! 反射……!)


 私は、遊びで氷のつぶてを飛ばしてきたユズに向かって、盾の出現位置と角度を必死にイメージする。


カーン!


 ユズの氷のつぶてが反射盾に当たり、例の音とともに、今度は右後方に軌道を逸らすことに成功。

 近くの木の幹にザシュッと突き刺さった。


「すごい! セツちゃん、天才じゃん!」

「ま、まぐれやけど……できた!」

「ねえねえ、この盾って、お料理にも使えるかな? みんなで楽しくBBQやる時に使えたらいいよね!」

「使えるか! ていうか、なんでここでBBQの話になるねん!」


(こいつ、緊張感ってもんがないんか! まあ、そのおかげで場が和んでるんやけど……)


 だが、そう上手くいくことばかりではない。 言うなれば、ここからが本当の地獄のチュートリアルだった。


「次! 俺が右に動くのに合わせて、ユズは左から回り込む敵を想定して氷の矢を放て! セツは俺と敵の間に盾を展開しろ!」


「「はい!」」


「行くぞ!」


 レイが素早い動きで右にダッシュする。

 私は彼の動きに合わせて素早く盾を展開しようとするが、感覚が全く掴めていない。

 素早く展開しようとすると、私の【反射盾】は、なぜか必ずレイの頭上に出現し、そのまま落ちてきて彼に直撃することが判明した。


カーン!


「ぐふっ!」


 見事なリアクションで、頭を抱えてうずくまるレイ。


「ごめん!」

「ナイスリアクション!」


 私の謝罪とユズの無邪気な賞賛が重なる。


 その後も訓練を繰り返すが、私の盾はより良い音を鳴らすようになり、レイはリアクション芸が洗練されていくのだった。


カーン!


「うぐっ!」


カーン!


「ごふっ!」


カーン!


「もはや!」


(レイくん、リアクションのバリエーション増えとるやん! これ、もはやプロの芸人やろ!)


≪補足。夜城レイの被弾回数:合計12回。うち頭部:8回、背中:3回、膝:1回≫


(統計取るな! ていうか、こんなに当ててたん!? 私、完全に味方キラーやん!)


「ごめん、レイくん……また当てちゃった」

「いや、構わない。これも訓練のうちだ」


(この人、12発も頭にタライ落とされて、まだ笑顔保っとる……。イケメンの忍耐力、半端ないわ)


≪補足。 夜城レイの痛覚耐性は常人の2.3倍です。 鏡守の訓練による結果と推測されます≫


(それでも痛いもんは痛いやろ! この人、ほんまにドMなんちゃうか……?)


 挙句の果てには、笑いのツボに入ったユズが放った氷の矢がレイの足元を凍らせ、彼は漫画みたいに豪快にすっ転んだ。


ツルッ!


ドッシャーーーーン!


(だめだ、全然だめだ……。 連携どころか、ただのコントになってる……)

(これ、訓練やなくて、お笑いライブの練習やん! レイくんのリアクション、もう往年の志村師匠くらい完璧やで!)


 私はすっ転んだイケメンを前に焦り始めた、その時だった。

 頭の中に、ミラの無慈悲なレポートが、追い打ちをかけるように届く。


≪現時点における三名の連携成功率は17.4%から8.2%に低下。作戦遂行は極めて困難です≫

≪参考データ:訓練前→17.4%、1回目→14.2%、2回目→11.8%、3回目→8.2%。右肩下がりの推移です≫


(グラフで見せるな! 余計絶望するやろ! てか、練習するほど下手になるとか、オトンのゴルフやん!)


≪統計的事実を述べているだけです。感情的な反応は――≫

(またロジハラ! 空気読めや!)


「もう一回! 今度こそ成功させる!」


 私が半ばヤケクソで叫んだ、その瞬間だった。

 私の『情報視』が、一瞬だけ周囲の異変を拾った気がした。


(今の……気のせい……?)


≪セツ、300メートル先に複数の人物の反応。ただし微弱なため、詳細は不明≫

(誰かが……見てる……?)


 だが、訓練に夢中のレイとユズは気づいていない。


(まさか、敵……? いや、考えすぎかな)


 そして、次の瞬間――


ザワッ…

ザワザワッ…


 周囲の茂みが、一斉に不自然に揺れた。

 明確な殺気と、土を踏みしめる複数の足音。


「……誰か、いる」


 倒れていたレイが、瞬時に体勢を立て直し、鋭い視線を周囲に向ける。

 茂みの中から現れた複数の人影――鏡守の隊員たち――を睨みつけた。



 ◇



━━━━━━━━━━━━━━━━

【訓練結果】

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【名前】: 沖名セツ

【新規スキル】: 『反射盾』Lv.0(未熟) ★NEW

【特性】: 攻撃を反射する盾を展開。ただし制御不能。味方への誤射率89%。音響特性:金属製タライ

【チーム連携率】: 8.2%(訓練により低下中) ↓DOWN

【レイの被弾数】: 12回 ★記録更新

【ユズの発言】: 「BBQに使える?」

【心境】: これ、本当に強くなってるのか? 訓練の意味、あるんか……? てか、誰かに見られてた……?

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